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■海水魚飼育ガイド■

本ページは海水魚飼育(飼い方)の全体的な総論です。各種の飼育方法は海水魚各種の飼育図鑑をご覧下さい。

※本記事は、基本的に初心者向けスタートガイドブック BL-EXTRA-1をご一読頂いた上での内容になっております。
初めて飼育される方はぜひ左記を先にご一読下さい。 一部、内容的に重複している部分もあります。

2023/07/18 最終更新・訂正(分かりにくい追記・訂正部は、ピンク色の文字にしています。)

2013年5月1日  全体改定(主にろ過の項目を重点的に追記・更新)
2008年8月19日 全改定(以後・部分改定をしました際は記述いたします。)

<※誠に恐れ入りますが、各記事・コラムは断り無く内容を変更することがありますので何卒ご容赦の程、お願い致します。>

更新履歴

<索引>

水槽の方針

ろ過器の基本的なポイント

海水魚に適したろ過方式の例    

還元ろ過とスキマーの使用

水質について

水槽の立ち上げ時〜安定まで

水換え作業後の死亡と注意

水温

比重

病気と治療法

 ・白点病・ウーディニウム病

 ・リムフォシスティス病

 ・トリコディナ症R2/9/18
 
●超低比重飼育+殺菌灯でトリコディナ症が回復の報告
  
R2/9/26追記

 ・その他の病気

 (えらむし・ビブリオ病・外傷・ポップアイ等) 

 低比重+GFGでのポップアイ等の治療の事例(お客様の記事)のご紹介
 
R2/12/22 

病気についての他(免疫力・リセットなど)

ろ過細菌と薬品の関係

魚のケンカと回避方法

隔離ケースのご注意

餌付けと餌

ご購入時のポイント

トリートメントと魚がお店に届くまで

 

水槽の方針の検討

チョウチョウウオ・ヤッコ・ハギ・フグなどを飼育するときはライブロックや無脊椎動物を一切飼わない"魚専用水槽"にしましょう。

 海水魚飼育で大問題になることのひとつに、海水魚は淡水魚にくらべて白点病、ウーディニウム病という寄生虫病に非常にかかりやすいということがあります。
これは、水質が安定していれば罹らないというものではなく、魚が健康でシステムが安定していても発生する可能性は常にあり、予め対策を講じておく必要があります。
ただ、これらの病気に罹りやすい仲間と罹りにくい仲間はほぼ分けることができ、チョウチョウウオ、ヤッコ、ハギ、ハコフグの仲間などが非常に罹りやすいです。
 これらの病気は、特に設備がない場合でも、やや魚に危険は伴いますが投薬によって治療・駆除が可能です。
しかし、これらの効果が確実に認められている薬品・治療法では、魚以外のほとんどの生物には使用できません。それゆえそういう魚以外の無脊椎動物などを飼育している
水槽で病気が発生してしまうとどうしようも無い状態になってしまいます。
 そのため、特に白点病などの病気にかかりやすい魚をメインに飼育したいときは、それだけを飼育する水槽とし、ライブロックをはじめ海藻、エビ・カニ、サンゴ等、他一切の無
籍堆動物などは一切飼育ない、飼育生物は”魚だけ”水槽にする飼育を強くお勧めします。
 

 無脊椎水槽でも使用できると銘打たれた駆除薬もありますが、現状の製品の多くは残念ながら白点などが重度にかかってしまうと効果が及ばず、回復はまず難しいです。
そもそも、白点病・ウーディニウム病虫はきわめて丈夫な生き物であり、サンゴなどが耐えられる程度の毒性物質でこれらだけを駆除することは理論的に困難と推測されます。
 (一応、対処方法もあり、後述します。)少なくとも、海水魚飼育における勝手がわからない間は、魚だけの飼育法をお薦めします。
 薬品は魚に悪いので、出来るだけ自然に近い水槽にしたほうがいいというご意見も確かにありますが、実際に病気が出た時、そういうことが如何に通用しないか痛感します。

どうか無責任な情報や流行にご注意ください

 以前よりすでに無脊椎動物と病気(白点病、ウーディニウム病)に掛かりやすい魚をなんらためらい無く一緒に収容し、白点やウーディニウム病が出てからその治
療をどうすればいいか、という質問が昔から継続してあります。(最近はページをご覧頂いた方も多いためか、ずいぶんと減りました。) 
 このような無脊椎動物・ライブロックと、病気にかかりやすい魚を一緒に飼育することが何の問題も無いように雑誌、お店などで薦められ、またライブロックを入れるのは常識
のように薦められ、それで安定をすれば病気は出ないかごとく言われたことさえありました。
 こういった無責任な情報発信が原因で一体どれだけの魚が死んでしまっているか分かりません。
 現にお店自身がどうすることもできず白点、ウーディニウム病蔓延状態で魚を売ってしまっている場合がよくあります。
「薬は魚に悪いからダメだ」という主張が間違いとは申しませんが、では病気で死んでしまい、またそういう魚を売ることはよいのかと思います。
 白点病が高い可能性で発生することが分かっていながら、出てもなんら対処法が取れない飼育方法を薦め、またそれが間違いだと分かっても、間違っていることを認めない
ために訂正も行わず、手のひらを返したようにあとから主張を覆すという事が起きているように思います。  

<2019/12/2追記>
 
これにつきまして、店長の後悔日誌 令和1年12月1日 あらためまして、無脊椎系水槽での ヤッコ・ハギ・チョウチョウウオ等の飼育について 
 
 でも詳細な事情を記述しましたので宜しければ、ご一読願えますと幸いです。

・薬品以外で病気を防ぐ方法 

 投薬以外で、白点・ウーディニウム病の対策や駆除法も一応はあります。ただ、別途かなりの費用がかかる上、完全ではありません。
白点・ウーディニウム病は、双方が一緒に出る場合が多く、いずれにしても双方の対策を行う必要があります。
 まず、ウーディニウム病の方は殺菌灯で極めて効果的に駆除できることが分かってまいりました。これは、当方機関誌B4〜6号に実験経緯を掲載しております。
現在、100Lに対して3W以上の殺菌灯をだいたいの器具に適応した通過流量で用いれば、駆除・回復が確認できています。
 問題は白点病の方で、まず殺菌灯は一切効果がありません。そして、オゾンをきわめて有効に作用させた場合のみ、辛うじて回復させられた例が上がっています。
 ただ、これには問題があり、回復できない場合もあったことと、特に水量が少ないシステムでオゾンのパワーをあげると魚が危険になることがあるからです。
当方の試験では、140L程度の循環システムで、パワーをあげると魚が不調となり、どうしても駆除ができなかった例がありました。 

 (殺菌灯・オゾンの利用方法は、飼育器具類のガイド、機関誌BL4〜6号をご参照願います。)

 現在のところ、器具だけで白点病を押さえ込むのは完全といえない面があることと、また現実的に60cm程度の水槽で、僅かな数の無脊椎動物と魚を無理に一緒に飼育す
るために、これら飼育器具がもう一式揃うほどの費用をかけて、如何なる場合もオゾンや殺菌灯をあわせて使用する事が常識で妥当とは申せないと思います。
 むしろそういう魚種をさしあたり避けることの方が適当な選択と思います。   

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●ろ過器の基本的なポイント

 海水魚、特に魚の水槽において、濾過槽は非常に重要です。単に生物・物理ろ過能力だけでなく、濾過槽の構造が悪いと、種々の病気の発生原因となり、諸刃の剣となり
ます。2013年度版の本記事、および次項の「海水魚に適したろ過システムの例」では、主に機関誌BL6号のろ過と濾過槽の特集から抜粋する形で要点のみまとめました。

 >※濾過システムについての専用ページもこちらに用意しています。<

魚専用(薬品治療をする)水槽と、無脊椎水槽のメンテナンスや管理の違い

 薬品治療をすることを予め目算に入れた魚専用水槽と、基本的に薬品を使わない(使えない)無脊椎やライブロックを入れた水槽では管理方法やそれに向いているろ過シ
ステムも変わってきます。
 無脊椎水槽で魚が少なく水をほとんど汚さないサンゴを中心とした水槽の場合、ほとんど掃除が不要である場合も多いです。これは、もともと汚れが少ないことに加え、上記
で述べましたように水槽内に繁殖する小さな生物がろ材の目詰まりをふせいでくれる作用があるためです。
 しかし、魚水槽の場合は発生するゴミや汚れの量も多く、薬品を使用することを前提にしているため、無脊椎水槽に発生する小さな生物もいないことから、汚れやゴミのろ材
が溜まりやすく、物理ろ過で一箇所に集め人為的・定期的に清掃する必要があります。

海水魚飼育での重要な濾過槽構造

 特に重要なことが物理濾過槽の掃除を行った時に、濾過槽内部の水の流れが変わり、生物濾過槽などから細菌やたまっている汚れが流出しない構造になっていることです
。そのためには、独立した二つの層をもっているろ過システムを持っていることが好ましい、あるいは必要です。(機関誌BL6号、特集 ろ過と濾過槽に詳しく掲載しています。) 

注意 ろ材・ウールを不用意にいじらない事

 特に一旦安定した濾過槽・ろ材は不用意にいじっては絶対いけません。
 物理的なろ過は、ある程度汚れた状態で初めて細かな濁りも除去できる状態になり、正常に機能するもので、新品の状態ではほとんど役にたっておりません。”汚れは汚れ
によってろ過されている”といえます。
 そしてこのバランスは、長い時間をかけて少しずつ蓄積した汚れ(有機物)や細菌と、ろ過器内の水の流れ方でパズルをはめ込んだように安定しており、少しでもろ材をいじっ
て動かしたりすれば、とたんに溜まって留まっていた汚れや細菌が流れ出し、水槽内に出てきてしまいます。いわば、ウールを流れている水で逆に洗うようなことになってしま
うのです。
 普段は一切いじらず、交換するときは一気にウール(物理ろ材)だけをすべて交換するなどの方法をとったほうがいいでしょう。
 ただ、もしいじってしまった場合は、ろ過器の前後だけで水の循環をつなぎ濾過槽内だけで水をぐるぐると回すようにして数十分でも経過させ、それからもとの循環に戻すと、
 そういった汚れや細菌が水槽への流出を大幅に軽減できます。

濾過層を初期から安定させる方法

 新しい新品のウールや、先に記述しました中途半端に汚れたウールをいじってしまって水質が不安定になった際、水槽内に生き物が居ない場合に限りますが、かなり早期に
安定させる方法があります。それは、他の水槽からもってきた水槽の汚れ(ヘドロ)を、投入する手法です。これは、濾過層の形状にもよりますが、濾過層に直接投入せず、水
槽に入れてヘドロをポンプから普通に水槽のゴミを吸うように吸水させ、濾過層内に順次汚れが撒かれるようにしたほうが自然に目詰まりがおき、安定しやすいと思います。
 上部式ではありませんが、私は今年3月頃、180*60*60cmのOF式濾過層2本を立ち上げる際、新品の濾過層・ろ材に他の水槽から集めてきたヘドロが多量に混ざった水と、
汚れたスポンジろ材を小豆砂の濾過層内に入れ込みました。当然、当日は水が濁っていましたが、2日後には水は非常に綺麗になり、長期間かけて安定させた水槽をあまり
透明度が変らないように思えました。その後、結構なペースで魚類や無脊椎動物を収容していきましたが、普通の場合より比較的かなり多くの生物を早期に収容できたと思い
ます。

 
新品の濾過層


他の水槽からあつめてきたヘドロ海水と、スポンジろ材


スポンジろ材を砂に埋め込んでいる最中です

●海水魚に適したろ過方式の例

 項目では、前項目の重要点を踏まえた上で、お勧めのろ過方式をご紹介します。
※以前まで掲載していた一般上部フィルターの改造などの記事底砂と一般上部フィルターを用いる記事は、下記二層構造の上部フィルターを用いる方が
 好ましいと判断し、改定版では割愛させて頂きました。

・2層構造を持つ上部フィルター 

 一般的な上部ろ過器の多くは一層(単層)のものですが、アクリル製のオリジナルなものや、メーカー品でも稀に2層構造として使用できるものがあります。 
GEXの上部ろ過器、グランデカスタム600が良い例です。2層になっていることで、ウールを交換しても、生物濾過槽への流れが変わらないのが大きな利点です。
また、本方式に限った事ではありませんが、水槽の底にサンゴ砂を敷いたり、ろ材をいれておけば生物ろ過の大きなプラスになります。3番サンゴ砂がお勧めです。


実際の使用水槽です。

・密閉式ろ過器同士、またはサブろ過器を連結する

  密閉式ろ過器を2個連結するか、あるいはエーハイムなどから販売されている密閉式ろ過器と同じ形をしたポンプの無い連結用サブろ過器を連結し、最初に水の入ってく
 るろ過器を物理ろ過として使用します。掃除は、物理濾過槽のみとします。

※密閉式フィルター1台だけで飼育する場合のポイント (一部追記改定)

  密閉式フィルターを用いる場合は、上記、また以下の方法等複数のものを用いる方法が安全と思いますが、1台だけ用いる場合、密閉式フィルターならではの掃除の際の
危険をかなり回避する方法があり、さしあたりこれを行うことをお勧めします。
 これは他のフィルターではできにくいで、それは、(主に物理)ろ過材の交換・掃除を行った際、循環を戻す前に密閉式フィルターの排水・吸水を直接ホースでつないで、密
閉式フィルター内だけでぐるぐると水を回転させ、掃除によって生物濾過槽内などから発生した汚れや細菌をあらかじめフィルター内に再度定着させられるということです。
 それゆえ、ひとつのフィルターだけで飼育するには密閉式フィルターは向いていると言えるでしょう。もちろん、極力物理ろ材だけを洗浄するようにします。

・密閉式フィルター+底面吹き上げ

 上部ろ過器や密閉式ろ過器を物理ろ過専用としてウールのみを使用し、ここから排水された水を底面ろ過器から吹き上げる方法です。上部ろ過器を用いた場合、エアーが
底面に入りやすく底面から出てくるのでろ材の掃除にもなり、見た目にも面白いのですが、不定期に不特定の場所でこの現象がおきると底砂を深部から荒らしてしまうので
海水ではあまりこのましくないと思います。エアーが入らないように底面へ流れるパイプを太くするか、エアーの出てくる場所を限定する等の工夫が必要です。砂の表層は
生物や水流でつねに変動し、安定を得るには役立ちませんので砂は6cm以上敷き、安定した“深部”を作る必要があります。また、底砂を生物に掘られないように園芸用の
鉢底ネットなどを底面全体の浅い部分に敷いておくと良いでしょう。他、吹き上げにした場合は水流やエアーレーションを別途設置する必要があります。

・二つの(普通の)フィルターを独立・併用する方法 

 一層式の普通の上部フィルターや、密閉式フィルターを2つ以上、併用する方法です。そして、それぞれに物理・生物ろ剤材を両方セットしき、普通に運転します。
 そして、掃除の際はかならず片方だけを完全に(淡水等で)洗浄・ウールを交換します。そして2ヶ月経過してからもう今度はもう片方を完全に掃除するという方法です。
 この方法では、片方のろ過能力のパワーの範囲内だけで飼育を行う必要がありますので、濾過能力は1個しかついていない状態と考えるべきでしょう。
 
 濾過槽の組み合わせとしては、上部フィルター、密閉式フィルターを使うのがもっとも良いと思われますが、ろ過面積の小さいワンタッチフィルター、内部式などの場合は、
底砂を3cm以上厚く敷いて生物濾過槽の補助としてこれと組み合わせて考えておけば、さしあたり1台のろ過器として見ることができるでしょう。  

・OF(オーバーフロー)式ろ過層のセッティング

 OF式の場合は特に前述のポイントに従った使い方であれば良いと思われますが、補足としまして一般的な三層式タイプのものにドライのウールBOXがついたものの場合、
ウールBOXが小さい、あるいは流量が多くて物理ろ過が見込めないものは、図のようにいっそ生物ろ過層の一層目もウール層にしてしまうのがお勧めです。あるいは後
ろの生物ろ過層を複数の層に分け、流量と相談して下から上の順に荒いろ材(20〜10番サンゴ砂)を敷くことで、生物ろ過層の局所的な目詰まりを防ぐことができます。サ
イズの違うろ材の間にはメッシュや園芸用鉢底ネットなどを入れて確実に分けておきましょう。

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●還元ろ過とプロテインスキマーの使用

還元ろ過の付加

 普通の水換えを行って飼育するのであれば十分ですが、還元ろ過器を設置し有効に機能させれば硝酸塩の除去・維持ができるため、水替えがほぼ不要なシステムにでき
ます。ただこの場合でも、1ヶ月に1回、3分の1程度は水を換えたほうが良いでしょう。

プロテインスキマーの設置

 昨今は無脊椎水槽での使用が流行していますが、汚れの多い魚の水槽でも使用する事は有効だと思われます。ただし、これも必須ではありません。 設置場所の問題もあ
りますので、魚が多い場合などで検討されると良いと思います。設置の意義は、こちら
飼育器具類のガイドをご覧下さい。

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魚と水質について

硝酸塩について 

 水中に時間と共に溜まってくる硝酸塩についてですが、一般的な魚で体調が良い状態であれば、20ppm程度なら十分に耐えることができます。その後、徐々に増加するの
なら、最終的に50〜100ppmくらいになっても耐えられる種が多いです。
 ただ、小型ヤッコなどやや敏感な種は、できるだけ25ppm程度以内で飼育するのが良いでしょう。また、買って来た魚をはじめて水槽に収容するときなども、できるだけ硝
酸塩を減らしておいたほうが良いです。いきなり高濃度の水にいれると、不調になってしまう場合があります。 

水変えしない飼育では、硝酸塩が無くてもKHとPHに注意しましょう。 

 とくに還元ろ過を使用し、長期間水替えをしない水では硝酸塩がほとんど無くても、KH値が下がり、それによってpHの値が下がりやすくなってきます。
また比重を低くして飼育している場合も、淡水に近い分pHが下がり気味になります。そこで、KH上昇材で、KH値(≒アルカリ度)を12〜18程度に上昇、安定させておいて
、それによってpHを8.0〜8.4程度にしておくことをお勧めします。
 今までは硝酸塩の増加によってPH値が下がりましたので、硝酸塩による害と重なってわかりにくかったのですが、どうやらpH値が低いことも特に新しく収容した魚にとって
は良くないようであり、長期間掛けて適応した魚ではあまり影響は無いようです。
 低いpH値の水質には慣れるのに相当な時間がかかることも予想されますので、普段から調整しておくことが得策だと思います。
pH、kH値は下がっていたときもいきなり上昇させず、数時間おきに徐々に行い、全体で1日以上くらいかける気で行いましょう。

添加剤は必要か 

 サンゴでは添加剤などをよく使用しますが、魚ではどうか?ということになります。2週間に1回程度の定期的なに水替え飼育の際は、とくに必要は無いと考えておりますが、
還元ろ過などで水替えをしない飼育などの場合はサンゴへの添加量の半量程度でよいので使用してやったほうが良いと考えております。魚類も水中からミネラルを取っていま
すので、多少は補給してやるべきでしょう。サンゴなどと違い餌をよく食べますので、それほど拘る必要はないとおもいます。 

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水槽の立ち上げ時〜安定まで

 ・立ち上げ初期〜1ヶ月 

 これは、淡水魚や無脊椎水槽でも同じことですが、水槽には当初、ろ過細菌がほとんどおりません。魚や生き物を収容・飼育したり、人工的に投入することで繁殖させていき
ます。 この一連の間、下の簡単なグラフのようにまず生物の出した水中の有害なアンモニアの濃度が上昇し、その後ろ過細菌の繁殖が進むとである時点から低下、次に亜
硝酸、最終的にもっとも害の少ない硝酸塩が蓄積されていきます。

・1〜2ヶ月の間(もっとも危険な時期!)

 実はこの間が、海水魚飼育でもっとも失敗しやすい時期です。なぜかといいますと、アンモニア・亜硝酸など化学的な水質はすでに安定しているのですが、ろ材にはまだま
だ細菌が継続して繁殖している時期で、細菌のろ材へ定着が悪く、繁殖しかかっている細菌自体がろ材から剥離し、結果的に水中の細菌濃度が高くなり、魚に影響を及ぼ
してしまっているようです。
 そのため、細菌病などが発生しやすく、水槽立ち上げ初期よりも水が”薄濁り”をしていることもあります。
この時期は特に細菌病に弱いヤッコの収容は控えたほうが良いでしょう。また、硫酸銅をこの時期に使用しますと、水中の菌濃度が更に増え魚が細菌に犯されて最悪です。
使用するときは、細菌病予防薬グリーンFゴールドとの併用が必須です。魚の病気防止には、殺菌灯が極めて有効ですが、安定は遅くなると思われます。 

・3ヶ月以降(安定期)

 これからは本当の安定期に入ります。すなわち、水中に細菌が少なく、ろ材に細菌が多い時期です。こうなるとやっと安定して魚が飼えるようになってきます。また、硫酸銅な
どを使用しても、上記の「ろ過細菌と薬品の関係」にさえ注意していれば魚が死亡するということはあまりありません。この状態まで無事にたどり着くことが先決です。 

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●水換え作業後の死亡と注意 

水換え後による危険・死亡の考えられる原因

水換えの後に魚が急死するという事故がよく起きます。当方の経験のある原因と対策を以下に列挙いたします。

PHショック:

 pHが低い水槽を急に多量に変えるとおき易く、症状が出るのは水換え翌日〜数日間、いずれもつい先ほどまでエサを食べていた魚が急に息があらくなったかと思うと、
1〜2時間で倒れて死んでしまいます。
 袋詰めされた通販の輸送等で一時的にpHが下がったものなら、その日の数時間の水あわせだけで大丈夫でも、長く低pHで飼育されたものは、戻す再も日数をかけなけ
れば危険らしく、慎重にあげるべきです。

対策:すでにpHショックを与えてしまった魚は助ける手立てを当方では知りません。他所へ移しましても、助かったためしがありません。
長く水を替えていない水槽でpHが著しく低下(7.0付近まで)している水槽の水を交換すると、当日中にいくら新しい海水を少しづつ入れても対応しきれず、全滅してしまうこと
さえあります。
 普通、比重をさげたりしていない場合は、7.0付近までもは落ちることはなく、かなり低下しても7.5以上はありますが、それでも上昇させる場合は慎重に行いましょう。
 pHが7.5以下まで落ちている著しく低い場合、水換えは全体の1/4程度にとどめる必要があります。また、KH上昇剤等を用いる場合も、1日にKHで1、pHで0.1くらいづ
つ、本当に徐々に上昇させて適応させなければなりません。

ヨウ素ショック:

 ヨウ素の多い(天然海水と同程度の)人工海水での水換え、またはヨウ素を過剰に添加後、ちょうど6〜10時間くらいでだんだんと息が荒くなり、倒れて息が荒い状態が
かなり続いて死亡します。この場合は少し症状が出始めた魚を早々にヨウ素のない水槽を移せば、助かったことがあります。
 あるいは、水槽・飼育生物により、ヨウ素が急激に吸収・消費してしまう水槽の場合、
ヨウ素は、海藻や藻類(コケ)にある一定量まで急速に(数時間で)吸収される性質があります。あるいはスキマーなどでも急速に失われるため、ヨウ素が早期に除去されて
助かるという場合もありえます。 
 当方の2002年頃の測定ではインスタントオーシャンという人工海水にはヨウ素が天然海水と同量(約0.05ppm)に近く含まれており、長く海水を替えていない水槽で半分以
上の急な交換を行うと、魚が全滅することがありましたのでご注意ください。

細菌感染:

 水換えや清掃の際に、ろ材や底砂を荒らしたり、巻き上げたりしてしまうと、白点病やウーディニウム病が翌日に出ることがありますが、それ以外でも、細菌による急激な
感染を起こして数日で死亡する場合があります。
対策:こういったことができるだけ起きないように前述のろ過のポイントを注意するのが先決ですが、そうなってしまった場合は、グリーンFゴールドなどの細菌病治療薬を使用
することをお勧めします。ただ、細菌感染による死亡は大変早いです。

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ろ過細菌と薬品の関係  

 細菌以前に、水槽の中にライブロックやなんらかの無脊椎動物を投入していると、それに付着しているような微小動物が水槽に繁殖していますので、この場合に薬品を使用
するとそれらの大部分が一気に死亡するために水が大変汚れてしまうのはもちろんですが、こと細菌だけに注目してもこのようなことが起きていると思われます。 

魚水槽で薬品を使用した場合、ろ過細菌などへの影響はどうなるのか?というご質問が大変多いですので、当方の見解をここでご紹介いたします。

 まず、ろ過細菌の中には各種の魚病治療薬に対して、耐性を持つものと耐えられずに死んでしまうものが双方おります。 
「薬品を使用するととたんに亜硝酸・アンモニアがでてきた」あるいは「ろ過能力が低下した」という場合があります。しかし一方で、当店の在庫水槽でもそうですが、グリーン
Fゴールドや、場合によっては硫酸銅を使用しても、水質およびみかけ上全く影響がでない水槽もあります。
 これは、あらかじめ薬品を以前から使用しているためすでにそれに耐えられない細菌が死亡しきっており、ろ材には耐性をもった種類の細菌だけが十分に繁殖しているから
であると思われます。
 硝化細菌でいえば、よく知られているニトロソモナス、ニトロバクター以外にも同様の役割を派果たす細菌は多種おり、アンモニア分解には、”ニトロソモナス”のようにニトロ
のあとに”ソ”がつく名前の細菌の属、ニトロソコッカス、ニロトソロバス、ニトロソスピラ、ニトロソピア など等多数、そして亜硝酸を硝酸塩に変える細菌には、ニトロバクターの
ほかにニトロコッカス・ニトロスピニア・など等・・があり、ようは同じ働きをしてくれる細菌はかなり種類がおり、これらの種のうち、もしくは同種でも薬害に耐えられるものだけが
残って繁殖をしていれば、後に薬品を使用したときでも、特に水質的な問題が発生しないのだろうと考えております。

 初めて薬品を使用し、耐えられない細菌が死亡すると、水が濁ったり、一時的にろ過能力の低下を招くこともよくあります。
それゆえ、当方では新たな”魚専用”水槽を作る場合、病気などが無くても最初から、あるいはある程度魚を収容するとグリーンFゴールドなどの薬品を予め使用しておきそれ
らの薬品に耐えられる細菌に”限定”してしまう、という事をおこなっています。

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水温

 マニラ・インドネシアものなどの一般種では、水温は26℃前後が良いのですが、多くの種類が水質さえ良好であれば31℃程度でも耐えてくれます。
過去ハシナガチョウチョウウオ、ナンヨウハギなどが白点病にかかったとき、治療のために水温を35℃にして1週間維持しても、死亡するものは少ないという結果が出ました。
 (決して高水温がよいということでなく、少しづつ慣らしていけば耐えるという意味です。)
 またこれはインドネシア産やフィリピン産の魚にいえることで、近海やオーストラリアなど赤道から離れた地域産の魚種は、26℃程度に抑える必要があり、少しずつ慣らして
も28℃程度までに抑える必要があるでしょう。
(種類によっては、飼育不可能なものもあると思われます。)
 低い方がどれくらい耐えられるかはあまり沢山の例をとっていないのですが、陰日性サンゴと一緒に飼育をした水槽の例では、一般種の多くが、20℃くらいでもほぼ問題な
く飼育はできるようです。また、当店が冬場の通信販売で水温が低すぎたため死着したと思われる場合では、15℃くらいに絶えられる限界があるように感じております。

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比重 R2/9/26 全体の構成を訂正

 通常、天然海水の比重は1.021〜1.025(濃度3.3〜3.5%)程度であり、一般的にはこの濃度で飼育するのが普通です。

 比重計の誤差

 一般的な鑑賞魚用比重計には、各製品によってかなり誤差があります。しかし、一流メーカーのものであれば同じ製品での誤差は少なく、あらかじめメーカー間の誤差範
囲だけを知っていれば十分に使用できます。メーカーさんを弁護するわけではないのですが、これら安価な測定器具で高い精度を出すことは非常に難しく、実際に正確な値を
測定できる実験用のガラスのボーメ計などは非常に高価な上、扱いに注意しなければ簡単に折れてしまう形状をしています。その意味では、観賞用製品は、価格的にも使用
時にも扱いやすい製品であるといえると
思います。  →こちらに、器具専用のページを用意し、解説を移しました。

 当店の記事では、今後はテトラハイドロメーター比重計および同形の旧インスタントオーシャン比重計を基準とさせて頂きます。 

 通常の比重と白点・ウーディニウム病駆除のための低比重

 以前から当ガイドでも紹介しておりましたが、魚が白点・ウーディニウム病にかかった場合、低比重+グリーンFゴールドによる治療法をとることができるため、普段から、
比重を1.012-1.013(テトラハイドロメーター/旧インスタントオーシャン比重計)程度にしておくと便利ではあります。
(治療法については、以下「病気についての白点病」の項目で記述いたします。)

 ※サメ・エイなどの軟骨魚類は、無脊椎と同様の扱いをする必要があり、これらを飼育をしている場合は、普通の天然海水比重で飼育する必要があります。

 (ご参考までに) 白点病・ウーディニウム病の項目に、比重1.008での超低比重の本治療法にこれまでに分かった種を掲載しています。

低比重の他の効果と影響

 当店の魚類を入荷する水槽でも1.012〜1.015のやや低比重を保っているところ、あきらかに入荷直後の死亡が減っております。これは、これらやや低めの比重が魚体のダ
メージを緩和しているためではないかと考えております。海水魚は、常に外界に水分を体表から奪われ、それを補うために海水を飲み込み、塩類だけを鰓から排出し、濃い尿
をだして体内の浸透圧と水分をたもっています。いわば普段から相当ストレスのかかった状態であり、それをすこし緩和するといういみで、大きな効果があると見ております。
 ただ、白点・ウーディニウム病等の発生率自体は、理論的に推測すると比重が低い方がいくらかでやすいことが考えられます。

低比重の時のpH値のご注意 

 低比重で飼育を行っているとき、いわば真水に近いわけですので、最終的に落ちるpHの値も低くなります。このとき、あわてて大量のKH,PH上昇材をいれますと、その上
がり幅でpHが一気に上がってしまい、魚にpHショックを与えてその後数日〜1週間くらいの間に死んでしまうことがあります。pHが低い状態はベストとはいえませんが、決
してそれで突然魚が死ぬことはなく、むしろ一気に上がることの方がよほど危険ですのでご注意ください。(当方でも以前、大失敗をしました・・。)
 低比重状態、水換えまたはpH・KH上昇剤などを使用しなければ、最終的にのとき、pH値は7.4程度になるようです。これは長期的にはやはりあ
まり好ましくありませんので、kH上昇剤を普段から定期的に添加して、KH値8以上、pH7.8〜8.2を維持するようにしましょう。

最終的には比重を通常レベルに戻しておくこともお勧めです。

 病気の発生率だけを見ますと、比重が高いほうがやや発生しにくい病気の方が多いです。(白点・ウーディニウムなど)
病気が発生する原因はいくつもありますが、たとえば白点病などはトリートメントされていない新しい魚を追加した場合などに多く、また一旦治療が終了してしまえば病原虫は
一応駆除されており、その後新しい魚を追加しないのであれば、最終的に海水の比重を徐徐に上げて、通常の比重(1.020〜1.023程度)にあげておくと良いでしょう。

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病気と治療法   

 冒頭にも述べましたように、海水魚は、淡水魚に比較して非常に病気にかかりやすいです。発生の多い白点病、ウーディニウム病などの治療法の多くは薬品を使用するも
のですが、ライブロックやサン ゴ、他無脊椎動物を飼育している水槽では投薬を行うことができませんので、治療を必要とする病気にかかりやすい魚は、”それらだけで飼育
する。”ということを基本におくことが大前提と思います。
 昨今どうしても無脊椎動物と病気にかかりやすい魚を一緒に飼育しようという傾向があり、またライブロックは無条件で使用することが常識という理由の無い慣習があります
が、これが原因でどれだけの魚が死んでいったか分かりません。
 どうか、魚の種類によっては治療はほぼ必須になるという前提のもとで水槽を立ち上げていただけるようお願いしたいです。

・白点病 および ウーディニウム病

 これら二つの病気はともに類似した寄生虫病で、同時に発生することも多いものです。
スズメダイやハゼ、ハナダイ、ベラなどはあまりかからず、特にチョウチョウウオ、ヤッコ、ハギ、ハコフグの仲間が非常によくかかってしまう病気です。
ただし、かかりにくい種類でも、かかりやすい種類と一緒に飼育して、これが発症すると結局もらってしまいます。 
 これらは海水魚の病気の代名詞になっているほどの病気で、原生動物の一種(白点病はクリプトカリオン・イリタンス、ウーディニウム病はウーディニウム・オセラタム)が寄生
し、体に白点病の場合は0.5mm以下の白点、ウーディニウム病の場合はさらに小さい0.1〜0.2mm前後のそれが見えるのが特徴です。白点がやがて増え、魚の鰓など
に寄
生し、最後には魚が死んでしまいます。
 白点病虫の生活サイクルは、まず魚に付着し、約3日間魚体から栄養を吸収し、大きくなって離れて即〜約日後、約100〜200の仔虫に分裂し、また寄生するというもので
す。ウーディニウム病はさらにそれが早く、いずれも早く恐ろしい繁殖力であり、放っておけばまず全滅に近いことになります。

 まず最大の対策は、冒頭に記述しておりましたように、「白点に罹りやすい魚を治療の出来ない水槽(すなわち無脊椎やライブロックの入っている水槽)で飼わない」という事
です。
 ただし、詳細は後述しますが、ウーディニウム病も対策は白点病と同様ですが、ウーディニウム病だけには、殺菌灯が絶大な効果があることが判明しています。
当店の試験では、100Lに対して3W以上のパワーと、だいたいの器具通水量で駆除できることが実証されています。  

  
重度の白点病にかかったオウギチョウチョウウオ 

・白点病、ウーディニウム病の発生原因 

 白点病、ウーディニウム病につきましては、水槽にそれぞれの寄生虫が全く存在していない状態では、 外部から持ち込まれない限りは物理的に発病する可能性は ありま
せん
しかし、無脊椎動物やライブロックなどを収容した水槽内には間違いなく白点病などの寄生虫は存在し、完全に居ないということはまずあり得ません。
 僅かに潜伏しているものが、何かの拍子(底砂やろ材をか きまわしたりしたなど)、または自然に魚についてしまって それで僅かに繁殖し、以後魚に少しずつ寄生と分裂を
繰り返して数を増やしていってしまうことが多いです。 ただ、ろ過が安定して除去する力が大きい場合,、また 魚の方が種類・個体的に白点が寄生しにくいものであれば、結
果的に見た目でわかるようないわゆる発病状態にはならない といえるのだと思います。  
 また、魚だけを飼育し、ライブロック・無脊椎動物等を一切飼育しておらず、 その上で硫酸銅などの薬浴を行って治療を行った水槽は上記の無脊椎水槽などよりはずっと白
点虫を減らすことが出来ており、この魚を他の水槽にうつしても白点を持ち込んでしまう ということは少ないと思います。
 一般に白点病な
どは、魚が不調になると発病しやすく、風邪を引いたようなものといわれることがありますが、これはやや不正確な表現でむしろ”虫に刺される”という比喩
の方が近いと思います。白点虫は細菌と違い、もっと大きな寄生虫ですので 魚の体調とは基本的にあまり関係なく寄生をするものであると思います。その魚が先天的に寄生
されやすいか否か、そして水槽内に どれくらい白点虫が存在しているか、除去できる能力がどれくらい あるか、で実際の発生率が決まってくると思います。
 ただ、ケンカなどで表皮の粘膜を傷つけてしまうと 大変寄生されやすくなることは分かっております。 これはスズメダイなどで顕著で、数匹が寄生されたために水槽全体に
白点が出てしまうようなこともあります。

治療・予防:

 治療法1.低比重+グリーンFゴールド顆粒(以下GFG)+ (場合によって、メチレンブルー併用) による治療法 

  これまでは、白点病の治療には硫酸銅および銅イオン系の薬品を用いるのが一般的でしたが、比重の項目でものべましたように、低比重+グリーンFゴールド(以下GFG)
 を併用した治療法をまずお勧めいたします。これは、比重を下げて淡水に近づくため、薬品の効果があがるもののと考えております。
 ただし、以下の魚はこの比重では死亡してしまうものが発生することが確認されていますのでご注意ください。
 小型ヤッコの4cm以下の幼魚(特にフレームエンゼル、マルチカラーなどのケントロピーゼ属)、ジョーフィッシュの仲間、ミノカサゴの仲間、など(当然、無脊椎動物
  ・軟骨魚類もの居ない環境である必要があります。)

 投薬と治療方法

 @海水の比重を1.015〜1.016(テトラ・旧インスタントオーシャン比重計)にしておきます。※これより少しでも高いとほぼ全く効かないことを確認しております。
  水温はとくに上げる必要はありません。

 AまずグリーンFゴールドを規定量の半分量を投薬します。これは、生体に対する薬品への”慣らし”を兼ねております。
 B12時間後、さらに規定量の半量を投薬します。
 CグリーンFゴールドの薬効は3日間程度ですので、Bの3日後、規定量をもういちど投薬します。
 D白点のライフサイクルから判断すると、2週間は薬効を続けたほうが良いのですが、実際はこの2回の投薬でほぼ完治が見られます。
  念のため、さらにCの6日後にもう一度規定量を投薬しておきます。 
 E全体を通して2週間が経過したのち、無事治癒しましたら、水槽内に活性炭を投入して、薬品による水の黄ばみを取ります。
  活性炭の使用量は、一般的な安価なものでは50Lにつき、
80gのもの2個程度で良いでしょう。1週間以内でほぼ綺麗になるはずです。
  もちろん、海水を交換してしまう方法でもかまいせん。

 なお、A〜Dの間で回復が見られない場合、またかなり病状が酷い場合は、メチレンブルーの併用を行います。魚への毒性もやや強いですので注意して投薬を行い、規定
量の4分の1程度を最初に投薬します。
一旦水についた色が、数時間のうちに色々なものに吸着・分解されてかなり薄くなる場合がありますので、その後、もういちど4分の1
程度を投入します。この後は、上記GFGを併用しつつ、見た目に治りきるまで水の色を確認しながら、あまりに濃くならないようにして1〜2日に一度、規定量の4分の1を使
用されることをお勧めします。見た目に直った際は、もう1週間、3日ごとにGFGを規定量投薬します。

 薬品を併用、またグリーンFゴールドを海水で使用するのは、あくまでメーカーのサポート外ですから、自分の責任において実施して下さい。
通常これでまず治癒させることが可能で、弊害も見られません。

 GFGは魚に対して硫酸銅より安全であり、上記に記しましたように硫酸銅は魚自体にも炎症などの原因になりますが、こちらは逆にそれを治癒させる働きももちます。
 この治療法は、水に色がついてしまうのが欠点ですが、よくわからない病気の場合でもこの処理でなおすことが出来る場合が多く、当方も非常に楽をさせていただいて
 おります。
 この記述のもとになった低比重飼育・トリートメントについての実験記事・記録はこちらです。

 グリーンFゴールドなど顆粒薬品を小水量で使用するとき調整・投入方法 (2010/4/9)

  グリーンFGなどの顆粒薬剤を小さな水量用に調整する場合、 まず1gをできるだけ正確に測り(1円玉を使用した自作天秤や、 種秤などが便利です。) これを、500ml
 や1Lの水に溶かしてペットボトルなどに入れ、必要な量を計算して入れると便利です。
  できれば、薬局で売っている500ml入りの精製水を使用すると保存にはなお良い
 でしょう。
  保存期間は特定できかねますが、数日以内に使用した方が良いと思います。グリーンFGの場合は 水槽の使用した色が、綺麗な蛍光イエローのような色であ
 れば新しく、 古くなりますと渋い茶色がかったような黄色になりますので ある程度の目安にはなると思います。
 

 治療法2.硫酸銅による治療法 

  銅イオン、また硫酸銅による治療です。白点が多く出てきてしまった時はこれに頼らなければいけないのですが、使用法を誤りますと魚に危険です。まずは上記のグリーン
 Fゴールド顆粒+低比重をまずお勧めいたしますが、それでも直らない場合、また水に色をどうしてもつけたくないという場合など、こちらの治療法が便利です。
  硫酸銅は劇薬であり、人間でも飲むと命にかかわります。魚に使用する際も、決して使用法、使用量を謝らないようにしてください。また、サンゴやエビ、海藻類は硫酸銅
 を使用するとほぼ確実に死んでしまいます。

 投薬と治療方法について

 @水温は、高水温に弱い生き物がいなければ、白点の魚からの離脱を早めるため、27〜28℃に設定します。
 (メーカー製の銅イオン治療薬の場合は、取扱説明書にしたがって投薬してください。下記は硫酸銅の結晶を用いる場合です。)
 A硫酸銅(五水和物)1gを1Lの水に溶かします。硫酸銅を計るには、園芸用のタネ計りなどを使用すると良いでしょう。ホームセンター等で数百円で売っています。 

  硫酸銅(五水和物)の水溶液のうち、問題になるのは銅イオンの濃度です。硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)の分子量は249.7で、このうち銅イオンの原子量は63.5
 です。すなわち、硫酸銅硫酸銅(五水和物)には全体の63.5/249.7(約4分の1)銅イオンが含まれていることになります。
 この水溶液を水槽の水量100Lに対して、40ml入れると、銅イオンが約0.1ppmになります。
 しかし多くの水槽の場合、銅イオンがろ材などに吸着されて中々濃度があがりません。かならず銅イオンテスターを使用し、初回投入は銅イオンを魚に慣れさせるため
 0.1ppm程度に抑え、翌日から銅濃度を0.2-0.3ppmに調整しましょう。

  (0.3ppm以下は効果が薄いというお話もありますが、実際は0.2ppmでも治療効果が十分にあり、また0.3ppmを越えるとあきらかに影響のでる種がかなりいるようです。
 また、比重を低下させているときは薬品の毒性もあがるようですので0.2ppm以内が安全のようです。)
 余談ですが、昔筆者が銅テスターも使用せず治療をおこなっていたときは、0.1-0.2ppm程度の濃度であったようですが、それでも治癒ができておりました。

 Bこの濃度を、2週間を維持すればほぼ治療できます。24時間程度ごとに濃度を測定し、追加で不足分を計算して投薬します。
 見た目に白点が消えていてもこの間は濃度を維持しましょう。魚の体から離れ、一見回復したように見えても、その白点が、数日後に分裂するときに殺虫をするためです。
 硫酸銅の濃度の特性として、最初は上昇しにくいのですが、一旦濃度があがると後、あまり投薬しなくてもさがりにくくなってきます。
 Dもし、魚が突然フラフラを変な泳ぎ方をした場合は、硫酸銅ショックです。ただちに新しい海水の別の水槽を移すか、アクアセイフを規定量の3倍程度使用すれば、銅を中
 和することができます。この処置はすぐに行えば間に合うことが多いですので、あわてずに対処します。

 -その他ご注意-

  使用法を誤ると魚を死亡させてしまいますので充分に注意が必要です。また、硫酸銅を使用した場合、ヤッコなどはヒレ、目などが曇ったり炎症を起こす場合がありますの
 で、様子を見て、できればグリーンFゴールドとの併用をお薦めします。
  硫酸銅は劇薬の有毒物質ですので絶対に子供の手の届かないところに保管して、紙にすわせてゴミとして捨てましょう。
 硫酸銅の入手は、薬局で印鑑の身分証明書をもっていけば販売してくれます。500gで¥600〜1000程度です。

 その他、白点病に関する当方の実験記述です。・・・白点病の対策と実態  

 治療法3.オゾン・殺菌灯を用いる方法 

 白点・ウーディニウム病は、双方が一緒に出る場合が多く、いずれにしても両方の対策を行う必要があります。
 まず、ウーディニウム病の方は殺菌灯で極めて効果的に駆除できることが判明しました。これは当方機関誌BL4〜6号に実験経緯を掲載しております。
現在、100Lに対して3W以上の殺菌灯をだいたいの器具に適応した通過流量で用いれば、駆除・回復が確認できております。

 問題は白点病の方で、まず殺菌灯はほぼ一切効果がありません。そして、オゾンをきわめて有効に作用させた場合のみ、辛うじて回復させられた例が上がっています。
 ただ、これには問題があり、回復できない場合もあったことと、特に水量が少ないシステムでオゾンのパワーをあげるとオゾンそのものの有害性で魚が危険になることがあ
るためです。
当方の試験では、140L程度の循環システムで、パワーをあげると魚が不調となり、どうしても駆除ができなかった例がありました。 
 現在のところ、器具だけで白点病を押さえ込むのは完全といえない面があることと、また現実的に60cm程度の水槽で、僅かな数の無脊椎動物と魚を無理に一緒に飼育す
るために、これら飼育器具がもう一式揃うほどの費用をかけて、如何なる場合もオゾンや殺菌灯をあわせて使用する事は現実的ではないと思います。
 むしろそういう魚種をさしあたり避けることの方が適当な選択と思います。   

 (殺菌灯・オゾンの利用方法は、飼育器具類のガイド、機関誌BL4〜6号をご参照願います。)

 治療法4.超低比重飼育+殺菌灯の併用飼育方法 

 2003年頃、海外のサイトで海水比重1.008(テトラ製)という非常に低い比重(薄い海水)で海水魚を飼育すると、魚は死なず、白点病だけが駆除できるという報告をお客様
からのお知らせで知りました。当店でも試験し、こちらのページに当時から掲載しております。→
白点病の対策・低比重飼育・トリートメントについて
 この結果から、確かに白点病は駆除できますが、ウーディニウム病には効果が全くなかったのですが、後年、ウーディニウム病に殺菌灯が効果が高いことがわかり、これ
を掛け合わせた飼育方法・対策です。
+KH上昇材によるPH調整で、7.8〜8.0にはしておくことをおすすめします(2018/9/18)。
 この飼育法をとれば、ウーディニウム病と白点病をほぼ完全に駆除・完治でき、一つの到達した飼育・治療方法ではないかと思います。
ただし、飼育できる魚種に一部、条件があります。また、海水濃度が極端に低いため、細菌性の病気に侵されやすくなることが考えられ、具体的にはそこ砂をまきあげたり
すると直後に死亡が散見されます。
 この方法で一応飼育可能と判明しておりますものは、ヤッコ(小型ヤッコの特に小さいものは無理)、チョウチョウウオ、ハギ、スズメダイ、ハゼ類です。

・当店の飼育・試験で飼育不可能・問題ががわかったもの(判明次第追記しています。) R2/9/18更新 

 下記、明確に試験した種類のみとします。同属の魚種は同様である可能性が高いです。

(短期的に死亡するもの)

 キンギョハナダイ、スミレハナガハダナイ、アカネハナゴイ ※特にオスが顕著で徐々に泳がなくなって元気がなくなり、一週間程度で死亡していまう
 ことが数度の試験で判明しています。
5-6cm程度の各メスは一応大丈夫でしたが、10cm前後のスミレナガハナダイのメスは、不調になってしまいました。
 ・
ゴールドスペックジョーフィッシュ

(数週間〜一か月程度は飼育できるが、ヒレに糜爛(溶解など)がみられ、後悪化または死亡したもの) 

 バイカラードティーバック、プリンセスモノクルブリーム、ヤエヤマギンポ、ニセモチノウオ、ホシモンガラ

・細菌性の疾病を鑑み、長期の飼育には向かないか R2/12/11 

 令和2年以降、店内でも継続して飼育試験を続けております。1〜2か月は問題なく飼育できておりますが、しばしば、上記
 基本的には、治療を目的とした期間限定での飼育が現在ではよいかと判断します。

補足 超低比重水槽でカルシウムリアクターBOXのPH維持効果を確認しました。 令和1年5月18日 

 カルシウムリアクターBOXが炭酸水素イオンの供給でpH維持能力をもっていることを確認しましたが、当店店舗の60cmOF、30cmOF(Marco300)式でそれぞれ
カルシウムリアクターBOX、およびそのミニを設置して数か月経過した水槽をあらためて測定しますと、かなり効果を発揮していました。硝酸塩がもともと多いのでリ
アクター効果が高くなるため、炭酸水素イオンの放出が多くなるためではないかと推測しています。(この水槽は水換えはしておらず、販売でた水量を補充しているの
みで、月間1割未満の交換です。)
 低比重水槽で、KH上昇剤でpHを調整するのは手間がかかるうえ、ショックも考えられるので、今後、大きな味方になってくれそうです。
 
 (測定値)
 60p:pH:8.3(テトラ)、KH:12(セラ) ※カルシウムリアクターBOX1個 使用
 30p:PH:7.8〜7.9(テトラ)、KH:7(セラ) ※カルシウムリアクターBOXmini 1個使用

       

補足 すでに魚類が居ない状態の水温を使った白点・ウーディニウム病の水槽からの排除方法

1.水温28〜30℃で1週間を維持する

すでに魚類が居ない状態、また仮に居ても白点病などに全然かかっていない魚だけしかおらず、しかし白点病は確実に存在しているという水槽で、できるだけ駆除したい場合
水温を28〜30℃に維持して一週間経過すると、かなり水槽中の白点病が体力をつかいきっていなくなることがわかっています。
 サンゴが居る場合、28℃で一週間くらいなら耐えられる種類も多いため、無脊椎の水槽でもなんとか使える方法です。

2.水温40度で5分維持する。

 これはすでに水槽の飼育生物が生存できない環境ですが、短時間で駆除できる方法です。水槽の生き物をすべてほかに一旦かわして、砂、海水、ライブロックなどだけに
して水温を40度にして5分程度待てば、白点病、ウーディニウム病もほぼすべてころすことができます。またこの温度でもろ過細菌は生存します。短時間にリセットに近い効
果を出したい場合に有効ですが、現状で魚がかかってしまっているとすぐに増えてしまうのであまり意味がありません。

低比重+GFGでのポップアイ等の治療の事例(お客様の記事)のご紹介 2020/12/22

当店のお客様で、低比重での療法+GFGの使用で、目の白濁・拒食症が治った事例を掲載されている方のブログ記事を以下に紹介させて頂きます。

 →ブログの該当ページへの直リンク 低比重水槽で目の白濁が完治した例

・リムフォシスティス病

 主に鰭などに半透明な吹き出物が出来、それがだんだん大きくなる病気です。原因になっているのは、DNAウイルスの一種でいわば魚の組織の表面にできる異常に増殖し
た細胞であり、その部分の魚の組織と同じ色の吹き出物ができる場合が多いです。腫瘍に近いものと言えるかもしれません。
 病気の原因はウイルスですから、もともとの海水にこれらウイルスなどが多いすなわちろ過システムの構造に問題があって、水中に雑菌などが多く出てしまっている
などが考えられ、予防のためにはろ過システムの点でこれらの安定をはかること、また殺菌灯なども効果が見込めます。
 
 発症した場合、普通は致命傷になる事は少なく、1mm程度のごく小さなものはある程度の大きさで外れてしまう事が多いですが、重症になるどんどん増えてきます。この場
合は治療する必要があります。この病気は、現在かかった水槽の比重から、別の比重に変化させることだけで直ることもありますが、重症の場合は直らない場合があります。

 これまでの治療法としては、比重を1.017程度まで下げて飼育する、あるいはまず水槽の水をバケツなどに魚を入れられる程度取って置き、中にエルバージュ等の抗菌剤
を少量入れておき、その後、魚を取り上げて、直接吹き出物を軽くこすって手で取り、魚をバケツに入れて5分ほど薬浴させ、魚のみを網でそっとすくって水槽に戻すという方
法をご紹介しておりました。
 また、ハタタテダイの仲間は他魚のリムフォシスティスを突付いて食べてしまう習性があるらしく、クリーニングしてくれるのですが、重症の魚といきなり同居させた場合、病
魚をあまりに突付きまわすため、そのストレスで死んでしまったことが何度かあります。
 他、当店では、ヨウ素の添加を行うとほぼ確実に治療ができるという結果が出ております。ただ、やや長い投与期間が必要で、2週間くらいは続けないと結果が出ないこと
があります。


胸鰭にかなり羅病したサザナミヤッコ。特に胸鰭に発生すると、それが触れる体表にも転移して死亡にいたることが多く、危険です。

<ヨウ素補給による状態改善>

※長い間、光に当たった古いヨウ素添加剤は効果が薄くなってしまっていますので、ご注意ください。
 ヨウ素は、特に慣れていない魚水槽に入れすぎると大変危険な成分です。添加は、必ず添加量と濃度の関係が記述されている製品で行ってください。
添加の初日および2日目は、まず自然界濃度(約0.05ppm)の約1/4以下にあたる約0.0125ppm程度になるよう投与し、3日目からは半量である0.025ppmになるよう、毎日1
回添加を行います。これを完全になおるまで続けます。 
 一旦ヨウ素が存在する状態に慣れさえすれば、当方の試験では、自然界の5倍濃度(シーケムヨウ素テスターでの値)の0.25ppmでも異常はありませんでした。
 (慣れていない魚の多くは数時間で死亡する濃度です。)
※動物薬事法の観点から、各製品のヨウ素が治療効果があると言うことはできませんので、あくまでヨウ素成分が一般的にそのように効果があるという解釈でお願いできま
すと幸いです。

・改善の記録

 上記のサザナミヤッコは、当初比重1.016の魚用在庫水槽にいたものを、無脊椎の水槽(比重1.024程度)に収容し、2週間程度をすごさせましたが、治癒せず益々悪化して
おりました。その後上記のヨウ素添加法を始めたところ、以下のようにあきらかな状態改善が見られ、最終的に1ヶ月程度でほぼ元通りの正常な状態となりました。

 添加量:水量450Lに対して初日は数滴、2〜3日間は、約0.02ppmになるようにし、その後は、毎日0.04〜0.05ppm程度を添加(幾分・誤差ありました。)

(2007年)11月22日                      12月12日                        12月22日 

・トリコディナ症

 ヤッコやクマノミ類がかかりやすい病気で、魚の体に白い膜が薄っすらと張る様になる病気です。進行が早く、数日で死んでしまう事があります。治療は淡水浴が有効です。
淡水浴をする方法は人によって違いますが、当店では、魚を買うときの生体用のビニール袋を利用して淡水とグリーンFゴールドを色がつくくらい僅かに入れます。
 それを病気になった魚のいる飼育水槽に漬け込んでおき、15分ほど待って水温が同じにしてからその中に魚を入れます。普通は魚の体を軽くこすって体表の白い膜を
落とすのですが、内部にエアーストーンに入れてエアーレーションをしておき、魚の体にエアーが当たるようにしておけば、ソフトに同様の効果を得られます。

 これで約5分〜10分を待ち、袋内の淡水に体表から剥がれた白や茶色の膜が浮いていればOKです。その後、袋の海水を魚と一緒に別容器に出し、魚だけそっと掬って水
槽に戻します。これを、魚に膜の発生が見られなくなるまで1日に3回程度行います。
 この病気は、元はといえば魚の体に出来た傷などが元で、そこに繊毛虫類など原生動物が寄生し、それが付着して体表がさらに細菌に犯されたり粘液の異常分泌が起こ
っているのだと思われます。いったん普通に飼育していれば発病はほとんど見られません。

淡水浴でのご注意

 淡水浴というものは一般的に病気が発生するとよく行われているようですが、実際はトリコディナ症など淡水浴でないと直せない病気以外はあまりお勧めは出来かねます。
これまで淡水浴を行ってきた経験から判断しますと、特に弱った魚へのダメージは幾分大きく、淡水浴の後に死んでしまうということもよくあります。
また、上記の方法であれば水温変化などはあまりありませんが、別容器で淡水浴を行う場合はこの点も変化しやすいため注意が必要です。

●超低比重飼育+殺菌灯でトリコディナ症が回復の報告   R2/9/26追記

 この記事は、R2/9/6の店のフェイスブックページに掲載したものを一部追記掲載したものです。

 同年8/11に入荷した2匹のハナビラクマノミがトリコディナ症を持っていたと思われ、薬浴はせず殺菌灯だけがあるイソギン・クマノミ水槽にそのまま入れますとハナビラ本人
は早々に数日で死亡、同じ水槽にもともと数週間も元気でいた約10匹のカクレクマノミが皆、ヒレや体が粘膜が白く濁り、一部はヒレが溶けてあきらかに罹患、死亡し
始めしました。最初ウーディニウム病を疑って殺菌灯はつけましたが、当然回復せず、6匹残った時点で 超低比重(1.008〜1.010)+殺菌灯のマルコ300F水槽にいれたと
ころ、続いて4匹が死亡、2匹だけが回復・生存しました。薬品は使用していません。回復したところ2匹がケンカをはじめたので1匹をもとのイソギン水槽に戻しました。
以後9/26現在、二匹とも元気です。
(すでに販売対象としています。) ( 病気にかかった状態の写真をとっておらず、以下、回復後の写真のみで失礼します。)

  
治癒した実際の30cmOF水槽(マルコ300F)の9/5の写真です。

 超低比重の水槽には他にハタタテダイ(8/28収容) ルリヤッコ(9/4)ほか、入れ替わりでフタイロカエルウオ等が居ますが、9/26現在も一応元気です。
 
ただし、上記の画像にもいるホシモンガラ(7/24入)はヒレが糜爛して9/23頃、死亡しました。(これは種類的にもともとヒレに糜爛を起こしやすく、超低比重は無理なのかもし
れません。詳しくは、
上記白点病の項目の本治療法にこれまでに分かった種を掲載しています。

 普通、トリコディナ症はかかると数日で死亡する怖い病気で、淡水浴が一般的な対策ですので超低比重も効くのではないかと思ってためしましたところ、効果があった可能
性が高いと思います。 淡水浴では短時間しか実施できず魚へのダメージも大きいですが、この飼育法ならさしあたり飼育し続けられますので、クマノミの治療・トリートメントに
は有効な可能性が高いと思います。

その他の病気

・えらむし

 魚の鰓に小型の甲殻類の様なもの(コペポーダの類)などが寄生して起こる寄生病です。ほかに理由無く、魚が鰓を異常に早く動かしている場合、寄生の疑いがあります。
早いものでは約1日で魚が死ぬ事があります。
 治療法としては、魚を一時的に濃い塩分濃度の海水に付ける方法がありますが、これは約半分の確立で魚が死んでしまうため、推奨できません。また、マゾテンと言う薬品
もありますが、これもかなり有害であり、当然無脊椎動物のいない水槽でのみの使用となります。
 もう一つ、アカスジモエビなどのクリーナーを同居させ、駆除させる方法があります。ほか、最近では低比重+GFGで飼育するようになってから、これらしい症状はみられませ
んので、効果があるのかもしれません。

・外傷

 魚が物理的な怪我による傷を負っている場合、放っておいても直ることが多いですが、できればヨウ素を安全に添加しておき、水中を制菌しておくと良いでしょう。酷い場合
は、水槽内にグリーンFゴールドやメチレンブルーを使用しておくのが一番ショックがなく、安全です。 バケツなどの別容器で10分ほど薬浴しておくと一応の消毒になります
が魚へのストレスを考えますと弱った魚はあまりこの別容器での薬用というのはしない方が良いと思います。これまで、あまりいい結果になったことがありません。

・ビブリオ病

 先日まで、外傷と同じ扱いで簡単に済ませておりました。すみません。魚が怪我をしている場合、また血がにじんでいる場合、外傷やビブリオ病の疑いがあります。
外から見ますと、赤い斑点状の傷が出来たり、血管にそって血がにじんでいるように見える場合もあります。あるいは、外観ではほとんど分からないこともあります。
ビブリオ病には数多く種類があり、治せるものと直せない場合もありますが、一応は、白点病と同じ低比重+GFGもしくは単にGFG、メチレンブルーを投薬する方法がお勧めで
す魚のみの飼育の場合は水槽内に直接投薬する方が効果的ですが、そうでない場合、リムフォシスティス病の時と同様に別容器でグリーンFゴールド顆粒での薬浴を行いま
す。また、身体の内側が侵されてる可能性もある場合、GFGを経口投与(食べさせる)ことも有効に働く可能性がありますので、エサと混ぜてあたえます。
 他、こういった細菌病が頻繁に発生する原因は、濾過槽の構造に問題があって、細菌が常に流出してきている場合が多いです。そのため、濾過槽の構造や状態を見直す
必要があるでしょう。

・ポップアイ(眼球突出症)

 ・明らかに片目(稀に両目)が飛び出している状態

 魚の目が膨らんで飛び出たようになってしまう症状です。原因は目の中に空気が入ってしまったか、あるいは細菌が入ってその細菌の影響、あるいはそれが作っているガス
によって目が押し出されたかです。病気がひどくなると目が外れてしまうことすらありますが、ありがたいことに命に関わる事は少なく、ポップアイだけの状態なら長期戦で徐々
に治ることも多いです。しかし、あまりに長期間時間がたってしまうと、でっぱった目が固定してしまい、そのまま直りにくくなってしまう場合もあります。

なんとなく、両目が魚体から少し浮き出ている?ような状態

 両目が魚体本体から少し浮き出ている?ような 状態の場合は、浸透圧の調節異常などで、疲れていたり、 ストレスによる場合があり、これはそういった状態に ならないよ
うに、隔離して(弱い水流やエアーレーションが必要です。)落ち着ける環境にしてやれば 1週間程度で、じきに回復をしてくることが多いです。ストレスを下げる意味で、やや
比重を下げめ (1.019〜1.021程度ディープシックス比重計)にしておくのも良いかもしれません。

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病気についての補足など

殺菌器具の常時使用による免疫力の低下 

 以前は、殺菌器具に対する反発心で言っているように思われた事でしたが、この殺菌器具の常用による魚の免疫力低下は、実際に確実にあります。
殺菌灯を用いている水槽の魚を、普通にろ過だけで安定している水槽にいれるとすぐに死んでしまうという現象が確かに見られます。
 また、コケを掃除しただけで死ぬ魚も、昔から確かにあります。これはコケの表面についている細菌類を魚がかぶってしまい、感染を起こすこと、あまりに多いコケを剥ぎ落と
すしたため、ろ過層にコケが沢山入り込み、ろ過器内の流れが変ってしまってろ過器から細菌が流出した。 
などです。

 昔、普通に海水魚を飼育していた場合、上記のような現象が起きても魚が死ぬところまではいかなかったものです。ただ、殺菌灯などを使用されている場合、魚が免疫力を
落としているとこのように、底砂を巻き上げたりかるく掃除するだけで魚が死ぬことが近年確実に多くなったように思います。 
こういった器具は、病気発生時以外はタイマーを
使用するなどでほどほどの使い方がおすすめです。あるいは、普段から底砂を攪拌するような生き物をあえて入れておくのも、水中に適度な細菌を与えて魚の免疫力を刺激
する意味でいいと思います。

リセットだけでは根本解決にならない

 白点病やウーディニウム病が発病して後、一旦水槽を全体的に洗浄しますと、確かに減らす効果はあり、一時再度の飼育が 可能になります。これがいわゆるリセットというも
のになります。   ただ、少し罹った魚が入ったり、また月日の経過で再度の増殖がだんたんと確実に簡単に起きてしまいますので、遅かれ早かれ同様の結果を招いてしまい
ます。
魚=白点等のエサですので、魚の数が多いほど、それが早く、また顕著になります。   発病した最後の魚が死亡した後、1週間程度経過しましたら、一旦白点は砂中の親虫
だけになって落ち着きますので、極端に罹りやすい魚種以外なら、1匹程度ならいれてもいきなり病気になることは少ないですが、やがて再発してしまいます。  
薬品は用いずにすめばそれに越したことはありませんが、実際にはオゾンや殺菌灯をかなり有効に併用でもしないかぎり、どうしても困ったことになります。  

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病気についての補足など

・白点病、ウーディニウム病の発生原因 (2010/2/13追加)

 白点病、ウーディニウム病につきましては、水槽にそれぞれの寄生虫が全く存在していない状態では、 外部から持ち込まれない限りは物理的に発病する可能性は ありませ
  しかし、無脊椎動物やライブロックなどを収容した水槽内には間違いなく白点病などの寄生虫は存在し、完全に居ないということはまずあり得ません。
 僅かに潜伏しているものが、何かの拍子(底砂やろ材をか きまわしたりしたなど)、または自然に魚についてしまって それで僅かに繁殖し、以後魚に少しずつ寄生と分裂を
繰り返して数を増やしていってしまうことが多いです。 ただ、ろ過が安定して除去する力が大きい場合,、また 魚の方が種類・個体的に白点が寄生しにくいものであれば、結果
的に見た目でわかるようないわゆる発病状態にはならない といえるのだと思います。  
 また、魚だけを飼育し、ライブロック・無脊椎動物等を一切飼育しておらず、 その上で硫酸銅などの薬浴を行って治療を行った水槽は上記の無脊椎水槽などよりはずっと白点
虫を減らすことが出来ており、この魚を他の水槽にうつしても白点を持ち込んでしまう ということは少ないと思います。
 一般に白点病な
どは、魚が不調になると発病しやすく、風邪を引いたようなものといわれることがありますが、これはやや不正確な表現でむしろ”虫に刺される”という比喩
の方が近いと思います。白点虫は細菌と違い、もっと大きな寄生虫ですので 魚の体調とは基本的にあまり関係なく寄生をするものであると思います。その魚が先天的に寄生
されやすいか否か、そして水槽内に どれくらい白点虫が存在しているか、除去できる能力がどれくらい あるか、で実際の発生率が決まってくると思います。
 ただ、ケンカなどで表皮の粘膜を傷つけてしまうと 大変寄生されやすくなることは分かっております。 これはスズメダイなどで顕著で、数匹が寄生されたために水槽全体に白
点が出てしまうようなこともあります。

殺菌器具による免疫力の低下 (2011/7/9追加)

 以前は、殺菌器具に対する反発心で言っているように思われた事でしたが、この殺菌器具の常用による魚の免疫力低下は、実際に確実にあります。
殺菌灯を用いている水槽の魚を、普通にろ過だけで安定している水槽にいれるとすぐに死んでしまうという現象が確かに見られます。
 また、コケを掃除しただけで死ぬ魚も、昔から確かにあります。これはコケの表面についている細菌類を魚がかぶってしまい、感染を起こすこと、あまりに多いコケを剥ぎ落とす
 したため、ろ過層にコケが沢山入り込み、ろ過器内の流れが変ってしまってろ過器から細菌が流出した, 
などです。
 昔、普通に海水魚を飼育していた場合、上記のような現象が起きても魚が死ぬところまではいかなかったものです。ただ、殺菌灯などを使用されている場合、魚が 免疫力を
落としているとこのように、底砂を巻き上げたりかるく掃除するだけで魚が死ぬことが近年確実に多くなったように思います。 
こういった器具は、病気発生時以外はタイマーを使
用すなどでほどほどの使い方がおすすめです。あるいは、普段から底砂を攪拌するような生き物をあえて入れておくのも、水中に適度な細菌を与えて魚の免疫力を刺激する意
味でいいと思います。

リセットだけでは根本解決にならない(2012/1/20追加)

 白点病やウーディニウム病発病して後、一旦水槽を全体的に洗浄しますと、確かに減らす効果はあり、一時再度の飼育が 可能になります。これがいわゆるリセットというもの
になります。 ただ、少し罹った魚が入ったり、また月日の経過で再度の増殖がだんたんと確実に簡単に起きてしまいますので、遅かれ早かれ同様の結果を招いてしまいます。
魚=白点等のエサですので、魚の数が多いほど、それが早く、また顕著になります。   発病した最後の魚が死亡した後、1週間程度経過しましたら、一旦白点は砂中の親虫だ
けになって落ち着きますので、極端に罹りやすい魚種以外なら、1匹程度ならいれてもいきなり病気になることは少ないですが、やがて再発してしまいます。  
薬品は用いずにすめばそれに越したことはありませんが、実際にはオゾンや殺菌灯をかなり 有効に併用でもしないかぎり、どうしても困ったことになります。  

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魚のケンカと回避方法

 基本的に、同種は同じ水槽で飼育するのは難しい。また、属が一緒だとケンカしやすい。

  海水魚は淡水魚よりケンカは激しく、ごく一部の種を除き同種は争ってしまう場合がほとんどで、水槽では飼育が難しい場合がほとんどです。自然界で群れを作る種類で
  も、水槽内では群れの中でケンカをしていおり、弱い順に死んでいき、最後に1匹しか残らないということもよくあります。
  ただ、すさまじい密度で飼育すればケンカを起こす余裕もなく飼育できるという事は事実です。しかし、これはスズメダイ、遊泳型のハゼなど、気が強くて気後れしない種に
  限っており、気が弱い魚は逆にストレスでダメになってしまいます。
   現時点で、水槽内で同種でほぼ問題なく飼育できると、お勧めできる種は、養殖のカクレクマノミ、クロユリ・オグロクロユリハゼの仲間、また、完璧にとはいえませんが、
  デバスズメ、沖縄産のルリスズメの3cmまでのもの、くらいでしょうか・・・。  

 あとほど大きな魚を入れるとケンカしにくい。

   これは必ずしもこのようにしなければいけないわけではありませんが、とくにヤッコやハギ、などを後から加えるとき、先住者のほうがまず立場が強い、というか、もともと
  先住者にとっては自分の家だとおもっていたところに別の魚が来ますので、追い払おうとするようです。ですので、あとほど大き目の魚をいれていったほうがうまくいく場合
  が多いです。また、後から入れたものへの先住者の攻撃があると、後から入れた魚が大変弱りやすく、もしその可能性がある場合は、以下Aの隔離などの方法が必要で
  す。

 ”気後れ”という性質 物怖じする魚は大きな魚が同居しているだけで、イジメがなくても弱ることが多い

   餌付いているのに、大変大きな魚と小さな魚を収容したとき、小さい方が苛められている様子も無く、最初は特に問題なさそうに見えるのに、だんだんと日増しに呼吸があ
  らくなり、大きさ魚を避けるようになって、食がほそって死んでしまうということがあります。この場合、特にヤッコでは腹部が膨れてしまう事があり、チャイロヤッコという種で
  顕著に見られた症状です。これは主にヤッコ、ハギ、などでおこります。残念ながら大きな魚がいるだけでストレスを感じてしまっているらしく、この場合、こういった魚が居な
  い水槽へ移動させてやるか、大き目の隔離箱にそっと入れてやるか、水槽を完全に仕切って魚を分けるしか方法がありません。

  ポピュラー種でこれが一番顕著な種はツノダシです。本種は、結構攻撃的なくせに、他のチョウチョウウオやヤッコが複数居る水槽でツノダシを1匹だけ収容するとまず1〜
  2週間以内でだんだん元気が無くなって最終的に死んでしまいます。かといって群れで収容すると弱い順に死んでしまい、本種を飼育する場合は、本種をボスにして飼育
  する必要があると考えております。  

 類似した種類の魚は特にケンカしやすい。    

   同じ属の魚はケンカしやすいですが、特に模様が類似した種類では顕著です。例えば、メガネクロハギとパウダーブルータンは色違いで形がそっくりで、こういうものもとて
  もケンカしやすいです。  

 とにかく隔離の準備はしておいたほうが良いです。

   お客様のお話でよく耳にすることですが、後から入れた魚が苛めれていてもそのままにしている場合が多いです。新しい魚を足したとき少しでも苛められていたら、苛めて
  いるほうをまとめて隔離してしまうのが一番良いです。それができないときは、新しくいれたほうを1週間くらい隔離しておくと、顔合わせにもなってダメージを受けることも少
  なく、うまくいきやすいです。とにかく、苛められている魚をそのままにしておいたら、まず不幸な結果になることが多いです。
  魚を少し多く飼おうとおもいましたら、よく売っているグッピーの産卵箱や隔離箱、またもちろん自作でもいいですが、用意しておくことを強くお勧めします。
  市販の隔離ケースは水どおりが悪い場合がほとんどのため、くれぐれも水流のある場所に設置し、内部が汚れないように掃除してやる必要があります。
  下
●隔離ケースのご注意もご参照下さい。

 同属をうまく一緒に収容すると、水槽に早くなれ易い。

  上の話と逆になるようですが、魚はイジメ・ケンカの問題と、その水槽に慣れるという2つのことが解決されないとうまく飼えません。
  ケンカでもないのに、人を怖がってずっと隠れているようでは元気になりません。ところが同属、また同じくらいの大きさの魚がいて、なおかつケンカをしていないと、魚はお
  たがいの存在で安心するらしく、水槽には慣れやすく人への恐怖心も薄らぐようです。
   昔、60cmの水槽に、イッテンチョウチョウウオを1匹だけ収容しましたが怖がっていつまでも出てこず、水槽の端に寄ったままでした。そのあとすぐにトゲチョウ、アケボノ
  チョウの同じくらいのサイズの魚を2匹を追加で水槽に加えたところ、イッテンはすぐに前にでてきて怖がることもなく、こわがらずに泳ぐようになりました。

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●隔離ケースのご注意

 隔離ケースは、なんらかの水流が無いと魚が死にます。

  隔離ケースに魚を入れてトリートメント、あるいは餌付けをする際、ケース内、もしくは下から弱いエアーレーション等をかけるなど、水流を起こしてやらないと、魚が主に細菌
 性の病気あるいは酸欠になって死んでしまいます。種類にもよりますが、ヤッコ、チョウチョウウオなどは期間の長短はあるものの、早ければ数日、いずれほぼ確実に死亡し
 ます。ケースの外から強いポンプからの直接の水流が当たっていれば別ですが、そうでなければケースの内部は無流、ほぼ止水に近くなっています。
  隔離ケースで餌付けをされている場合、死亡が多いのはほとんどこのためですので、どうかご留意下さいますよう、お願いいたします。

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餌付けと餌

  海水魚は多くの淡水魚と違い、最初はなかなか人工飼料を食べてくれない種類が多いです。そのため、数日で食べない魚はまず食べやすい生や冷凍のエサで餌付けを
 行って最終的に乾燥エサに餌付かせるようにします。餌を食べるようになるには、まず落ち着ける環境が必要で、他の魚に追いかけられている状態ではまず餌付きません。
 以下、人工の乾燥飼料に餌付かせる方法をご紹介します。 

 @餌付いていない個体を買う場合、出来るだけ太っているものを選ぶ

 Aまず、ふつうの人工飼料だけをあたえてみます。この時、他にすでに人口飼料を良く食べる魚をおとなしい魚を同居させておくとなお良いです。食べなくても、口に入れて
  吐き出したりしているようなら、そのまま続けてみて、食べ始めたら成功です。

 B魚のやせ具合にもよりますが、3日間以上全く口に入れない場合は、普通の餌に加え、冷凍やペースト状ブラインシュリンプまたはアサリを開いたものを水でゆすいだもの
  も一緒にやってみます。乾燥ブラインシュリンプも便利です。

 CBの生や冷凍のエサを食べるようになったら、給餌ごとにまず普通の乾燥エサをあたえ、そのあとで生エサなどを与えてみます。
  そして、乾燥エサを食べだしたら、乾燥エサのみをあたえるようにします。
  生のエサしか食べない魚でも、これを毎日繰り返して、しかも水槽になれるうちにある日、突然乾燥エサを食べだすこともありますのであきらめずにがんばりましょう。

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購入した魚の水あわせ

 輸送された魚・エビの袋の中の水は、pHが低下し、水槽に収容する際にはさらに時間を掛けて水あわせという作業を行う必要があります。
これを怠った場合、翌日〜1週間程度の間に突然魚が死亡します。(ちなみにイソギンチャク類・サンゴ類は温度あわせのみでOKです。)

 @まず生体の入った袋を水槽の水面に浮かべ、15分放置します。(この間に水槽内と同じ水温になります。)
 A袋を開封し、袋内部の水を、袋の容積の3分の1くらい残るように捨てます。
 B袋内に徐々に水槽内の水を入れて、水あわせをします。このとき、混ぜる水の量は、魚の場合、常に袋内の水量の1/5程度ずつ、エビ類で1/10程度ずつを目安にし約10
  分ごとに入れ、袋がほぼ満水になるまで行って下さい。

・水合わせの方法にも色々な問題とポイントがあります。

 魚をまとめて購入された場合、魚などをひとつの袋にまとめて水あわせをされることがあります。これは実は危険な場合が多く、このわずかな時間で、袋の中で魚同士がケン
カし、水あわせを終わってみると片方が殺されていた・・という事も少なくありません。
 当店でも入荷の際、できるだけ手間を省きたいので纏めて水あわせをしてみたことが何度もありましたが、魚種によりますがヤッコ、ハゼ、ベラ、また魚ではありませんが、
エビのランドールなどテッポウエビの仲間などは確実にケンカしてしまい、殺されるか傷つけられます。スズメダイ、養殖カクレクマノミ、ハゼ、一部のケンカしないエビ(サンゴ
モエビ、ペパーミントなど)はまとめて水あわせを行っても大丈夫でした。
 それ以外の魚は、結局すべて別々に水あわせを行い、下の写真のように温度をまずあわせ、徐徐に海水を混ぜていく方法を取っています。

  
スカンクシュリンプを水あわせ中です。時間と手間はかかりますが、大量に入荷するときでも結局この方法しか確実とはいえません。

・バケツでの注水水合わせにはご注意ください。

 バケツでエアーチューブなどで海水を少しづつ注入し、水あわせを行う方法は以前からよく取られるのですが、これには注意が必要です。
水温の問題がありまして、水あわせを1時間近くもかけて行っているうちに、外気温の影響でバケツ内の水温が水槽の水温とかなり差が出てしまっているのを気づかずに水
槽に入れてしまっている場合がしばしばあります。意外に魚が死なないで大丈夫な場合が多いのですが、やはりわざわざ水あわせをしているのですから一番大事な水温が
合わさるようにしたいものです。

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トリートメントの重要性と魚がお店に届くまで

・魚の輸入からお客様までの流れ 

 近海産などを除いて、海水魚の多くは海外や沖縄から空輸で日本に送られてきます。この時、特に海外からは航空運賃の重量の関係で大変少ない水量で輸入されてくる
ことが多く、現地シッパー(輸出業者)によりますが、とくにマニラ産などの安価な魚はそれが顕著です。
 まずこの輸送でダメージを受けており、卸業者さんのところに入り、それからさらにもう一度袋詰されてお店のほうに送られて来ています。
 人気種では流通が早いためだいたいが翌日〜2日後くらいに卸業者さんからお店への輸送されます。この際は水量もたっぷりとあります(送料は店側への請求になるので
あまり遠慮がありません。)ので、それ自体の輸送は本来であればそれほどのストレスをうけないのですが、2回の輸送を連続して行われているのでかなりの疲れやダメージ
も受けている場合がすくなくありません。
 また各段階において十分な水あわせなどが行われていないと、1週間くらいのうちにPHショックの影響で突然死んでしまう場合があります。
 当方は通販ですので、さらにもういちど輸送のリスクがあるため、販売前に魚の状態を完全に回復させる必要が絶対にあります。

・トリートメントの必要性 

 あくまで当方での意味ですが、トリートメントとは購入、輸送後などにダメージを受けていたり、病気にかかっている生体を治療し、かつ生理的な体力を回復させる事をさして
います。方法には色々な手法が考えられ、殺菌灯やオゾンを使用されたり、色々な薬品を使用される場合もあります。(2012年以降、当方でも使用しています。)
 ご購入時にトリートメントされている事が明確に分からない場合は、ご自身でトリートメントをされる事を強くお勧めいたします。購入魚の体力回復はもちろんですが、その魚が
白点虫などの寄生虫を持ち込んでいる恐れがある場合、それを完全に治癒させる必要があるためです。

・薬物採取の問題

 大きな問題としてマニラ、インドネシア、紅海などで行われているシアン化化合物による薬物採取があります。輸出元によってかなり差があり、入荷してくる魚がすぐには死な
ずに、1週間〜3週間くらいかけて死んでいくという状態があります。内臓に影響をうけている場合などは、時間をかけて死亡するため、非常にわかりにくいです。
 魚の症状としては、白い糸状のシュルシュルっとでる糞をする場合、薬物で採取された恐れがあるということです。
 しかし、昨今では日本の業者さんの現地シッパーへの指導、開拓ものご努力もあり、かなり状態が改善された魚種も多いようです。

・昨今の販売されている魚の状態

 当店も一介のショップながら他店様の販売にもかかる事を記述するのは心苦しいながら、残念ながら昨今お店で売られている魚の状態は必ずしも良い場合ばかりではなく
、むしろ病気に罹っているのが普通になってしまっているようにも思えます。それまで好調であった水槽に病魚を1匹収容したために病気が蔓延して魚が多数死んでしまったと
いう事もしばしば伺います。
 1990年頃までは、まず魚以外の生体が今より少なく、お店は魚を飼育する時には薬浴などを行って病気が蔓延しないように注意をしていた事が多かったのですが、ナチュ
ラルシステム、ライブロックの人気と、これらが水質を安定させて病気の発生も抑える?というようなイメージをセールスポイントにしてきたため、魚水槽で重要な水質安定の
要素であるろ過器を蔑ろにし、しかも薬も使えないようなシステムで販売・在庫魚の管理をするようになってから、病気が蔓延状態で魚が売られている状態が多く見られます。
 昨今、やっとそれを考え直して、魚は魚、サンゴはサンゴ、と管理を見直されているお店もでてきたようです。 とにかく、入荷してくる魚は毎回病気を持ってきます。生半可な
病気対策では絶対に通用しませんので確固たる対策が必要であります。

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