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■ろ過システムのガイド■


初期掲載:2014年6月19日 最終更新日:2014年6月24日

●索引●

■はじめに 海水魚でのろ過システムの予想外の重要さ

 ●ろ過器の無いナチュラルシステムから比較してみるろ過器の役割

 ●無脊椎水槽と海水魚専用水槽での生物ろ過層の特性の大きな違い   

 ●生物ろ過と物理ろ過の順番が逆転することもありえます

 ●本ページの趣旨

■ろ材・ろ過層の取り扱い・構造上の重要点 (2014年6月20日)

 ●ろ材中の水位を不定期に変動をさせてはいけない

 ●生物ろ過層の掃除をしないための物理ろ過層として利用する

 ●物理ろ過材と生物ろ過材は、密着していないことが好ましい

 ●ウールの交換頻度について 2019/11/22追記 

 ●ポンプの流量・循環量 (2019/10/24/-11/4)

■各単体ろ過器の紹介 (2014年6月22日以降 記述中)

 ●上部フィルター (2014年6月25日画像等追加) 

 ●外掛け式フィルター 

 ●底面フィルター

 ●密閉式フィルター

■各ろ過システムの徹底解説 (2014年6月25日〜日々追記中) 

 ●上部フィルター(単体使用) 

 ●二層式(ウエットアンドドライ)上部フィルター 2014年6月27日

 ●外掛式フィルター(単体使用) 2014年6月28日 

 ●外掛式フィルター+底面直結 2014年6月29日 

 ●上部フィルター+底面直結 2014年7月2日 

 ●密閉式フィルター+底面直結式 2014年7月4日 

 ●上部フィルター+底面吹き上げ式 2014年7月5日

 ●底面フィルター(パワーヘッド) 2014年7月8日

 ●密閉式フィルターの複数連結使用2014年7月9日

 ●密閉式フィルター+底面吹き上げ2014年7月11日

 ●底面フィルター(エアリフト)2014年7月12日

 ●OF式 2019/3/10 ウールBOXの改善案を追記 

 ※以下は、ご参考までに・・。

 ●始祖活性底面法 (+部分底面フィルター) 2014年7月30日

  

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■はじめに 海水魚でのろ過システムの予想外の重要さ

 今更ながらこのようなガイドを設けましたのは、海水水槽でのろ過器、またろ過器を含めたろ過全体のシステムによって、飼育の成功の可否が決まるといっても過言ではな

いためです。また昨今、ベルリン式等ナチュラルシステムが人気になる一方でろ過層やろ過層そのものが軽視されている面があるように思えます。そのためか、ろ過器を使

う場合のそのもっとも大事な使い方や構造まで軽視されており、結果的に飼育が成功せず、それをろ過器自体が悪いからとか殺菌灯がないからであるとか別の理由に誤っ

た転嫁がされている面もあるように思います。

 ろ過層やろ過は大変重要なもので、これがきちんと機能していないと特に海水魚にとっては逆に特に細菌病を引き起こす諸刃の剣にもなりかねません。

一定期間が過ぎた水槽の場合、硝化(いわゆる好気的な生物ろ過)はほとんどの場合、機能しております。ろ材や砂があるのに硝化反応が起きていない水槽はまずありま

せん。

 ここで特に重要視していますのは、物理ろ過能力の性能です。これはいわゆる物理ろ過器またはウールそのものだけではなく生物ろ過層も含めたろ過層全体での、細菌や

目にみえない有機物を水中から除去するミクロの物理ろ過能力です。

 ろ過層構造や使い方に欠陥があると、逆にこれらろ過層にたまった汚れと細菌が流出し、慢性的に魚が特に細菌病になってしまう状態になります。

 (追記)機関誌BL6号のろ過とろ過層では、主に安定するなろ過の構造やろ材の細かさによる各実験や通水率など、かなりマニアックなことを中心として特集しましたが、

ここでは、一部基本的な部分だけ重複しながら、その延長的に主に各ろ過方式を幅広くどこまでも書いていこうという趣旨です。(笑)

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●ろ過器の無いナチュラルシステムから比較してみるろ過器の役割

 少し話がそれますが、前述のような意味で考えると、いつ病気を引き起こすかわからない危険なろ過層がむしろ無い、ナチュラルシステムの方がいいという考えさえありえる

かもしれません。(ナチュラルシステムは、ろ過層が生物ろ過によって硝酸塩を生み出すから無いほうがよいという話とはまた別のお話です。)

 実際、ベルリン式等ナチュラルシステムのように、多くのライブロックやサンゴを入れた上でほんの少し、水質や細菌病発生等の問題にならないくらいの僅かの魚だけを飼育

する場合ではその方法でも実際に安定した飼育が可能ですし、行われています。

 ただ、やはり魚類が増え、有機物やゴミ・フンが増えてくると生物ろ過だけでなく、積極的に水を通過させ”こしとる”ろ過器の機能が重要になってきます。

もしそうでなければ、いわゆるナチュラルシステムで多量の魚が飼育できるはずですが、実際にこれを実行するとまず各種病気が発生します。さらにそれを抑えて殺菌灯など

を使用し、一部の病原菌やウーディニウム病だけをなんとか抑えて飼育がなされている場合もあります。 

 また一言でろ過器が無いと言っても、状況は様々です。たとえば底砂が敷かれていて水流が強い水槽では、水流で砂中にゆっくりとした循環が生まれ、結果的に物理・生

物ろ過器として機能し、安定している場合もあります。

 (※ちなみに純粋のベルリン式の理念としては、すべての有機物をプロテインスキマーで取ることが方針で、底砂はその障害となるため基本的には使わないものです。)

 水中から積極的に細菌や寄生虫を取り除く機構があるのとないのとでは、魚にとっては大きく変わります。

現に、ろ過層を下手にいじると白点病などが発生するということは、ろ過層に多く溜まっているからで、逆に言えばろ過層は普段からそれを水中からある程度除去する能力をも

っているということです。同じ意味で、水中の細菌や有機物を強くこしとる力は、サンゴなどの腐食を未然に防ぐ力、あるいは水質に以上が発生した場合の緩衝力としても重要

です。

 そういう意味でも、ろ過層は単に好気的ろ過(硝化)だけでなく、魚やサンゴの病気・腐食、また水質変動を緩衝・抑える意味で重要であり、それを生かす使い方をするべき

であるというのが、私の考えであります。

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●無脊椎水槽と海水魚専用水槽での生物ろ過層の特性の大きな違い

 ろ過層の話に戻りまして、次に無脊椎水槽と海水の魚専用水槽での大きな違いについて申し上げたいと思います。

 普通のろ過器は、昔からまずウールなどを利用した物理ろ過を行って大きなゴミを取り除き、その後に生物ろ過(硝化)を行うためにサンゴ砂等各ろ材を用います。

そして、物理ろ過層(ウール)を定期的に洗浄・またろ材を交換することで汚れを排出するというのが、基本的な考え方でした。この物理ろ過は、生物ろ過層を目詰まりさせない

役目ももっており、物理ろ過による前処理がないと生物ろ過層は目詰まりしてしまい、やむを得ず生物ろ過層をむやみに洗浄すると硝化能力が低下あるいは一時停止し、しか

も細菌や有機物が流出して、魚や生物に高い確立で悪影響を及ぼします。だからこそ、生物ろ過層を清掃したりせず済むための物理ろ過が非常に大事なものとなります。

 上記が、普通の淡水魚の水槽や海水魚の魚専用水槽での基本的な概念です。しかし、海水の無脊椎動物の水槽では、この条件が大きくかわってきます。

 前述のように、普通、淡水魚や海水で魚だけを飼育するいわゆる魚専用水槽の場合、水槽の底砂や生物ろ材には汚れがたまってくるものです。

 しかし海水の無脊椎水槽で10番(小豆大)以上のサンゴ砂を底砂やろ過層に使用していると、ヨコエビやアミエビ、ウミケムシ他プランクトン等が豊富に砂の中に繁殖し

、これらは砂の表面に落ちたエサ等をよく食べ、たえず砂の中を動き回るため、砂の間の汚れを随時下に落としてくれます。

 水槽の側面から砂の中を見ていると、砂の間を歩き回っているヨコエビなどをみかけることができます。

結果、砂の中にはゴミがほとんど目詰まりしません。汚れの発生量にもよりますが、落としきられた沈殿物が水槽やろ過層の一番底に少しづつ蓄積してきます。

   
(左)砂の中には、よく見かけるヨコエビやウミケムシの他、写真のような小さなヒトデやヒザラガイなどの仲間もみられます。
(中)無脊椎系水槽のろ過層の底部です。スノコの下一面に、茶色の沈殿物、いわゆるヘドロ(オリ)が溜まっています。
(右) (左)の写真中央部の砂を拡大した写真です。砂中にはヘドロがほとんど見られません。

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●生物ろ過と物理ろ過の順番が逆転することもありえます

 上記の特性を利用し、当店では昔から現在も、無脊椎、サンゴ水槽では底面フィルター、また同じ方法でのOF式を多用してきました。

底面フィルターは淡水熱帯魚・海水の魚水槽では、瞬間のろ過能力は大きいですが底砂にどんどん汚れがたまってきて目詰まりし、少し砂をまきあげると水が大きく濁り、

底面全体が汚れたろ材となるため掃除しにくく、昔からあまり良い方法ではありませんでした。

 しかし、海水の無脊椎系の水槽の場合はもともとの汚れの発生量が少ない場合が多いことに加え、上記写真・前述のように、砂中が汚れ続けるということがなく、砂の

中の微小な動物が食べて、最終的にサラサラとした沈殿物(オリ)が水槽のもっとも底部にだけたまっていく様子が見られます。これは、溜まっていること自体は問題は

ありませんので底面フィルターでもサンゴ水槽が十分に維持できるのですが、やはりある程度もう一度ポンプに吸われて水中に放出されていきます。この部分に物理ろ

過を設けてやれば、この最終的な沈殿物を水中から遅れながら除去することができることになります。

 すなわちこの場合、目詰まりせず、エサの残りやゴミが生物によってある程度消化する能力をもった生物ろ過層である底砂を通りぬけた、最後の有機物・沈殿物を物理

ろ過で取り除くということで、普通のろ過の場合の逆の順番である生物ろ過→物理ろ過を行う、またそういうことができるということが言えます。

 さらに、生物ろ過層が目詰まりしないということは、逆にいえば、目詰まりすることで(ゴミがよくひっかかり)ろ過の精度もあがっているという理屈からして、生物ろ過層の

物理的なろ過能力が、普通の生物ろ過層よりやや劣っているということが言え、それを補強する意味でもその後ろに物理ろ過をもってくるということは、より有効なことです。

 従って、底面フィルターに直結でワンタッチフィルターや密閉式、上部フィルターなどを接続するという、本来魚水槽や淡水ではあまりよくない方法が、海水の無脊椎水槽

では微小な砂の中の動物の作用をもっとも引き出して有効に用いることができます。

 魚水槽に適した(物理ろ過材を定期的に掃除する意味)の方式でも、無脊椎水槽では十分に飼育可能です。ただ、無脊椎水槽では各フィルターの吸い込み口(ストレーナー

)に吸い付けられ、またつまってしまうトラブルはかなり多いです。まず飼育生体自体のイソギンチャク、ナマコ、小さな魚、などがすいつけられて死んでしまう事故、さらに

魚水槽では普通はあまり生えない糸状の藻類や石灰藻、海藻など、少なくともストレーナーの掃除はしばしば必要になります。これらは、底面フィルターを用いた場合、また

接続して使用した場合は、心配がありません。(以上追記)

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●本ページの趣旨

 長々と最初から失礼致しました。本項目では、上記の意味を踏まえながら、改めて色々なろ過器・形態を紹介し、それぞれにどのような特性・特徴、どのような生物の飼育に

向いているか、また管理のポイントなど含め、一方式づつ、これまでの研究と経験から詳しく説明をつけていきたいと思います。

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■ろ材・ろ過層の取り扱い・構造上の重要点

 すみません。大事な項目を抜かすしておりました。)

 種々のろ過システムの説明に入ります前に、ろ過層やろ材の扱い、構造的な重要点を先にお知らせしておきたいと思います。これは、機関誌BL6号でも主にとりあげたこと

で、魚飼育ガイドにも一部それらしいことをすので、端的にまとめておきます。

 なお、さらに綿密なサンゴ砂・ろ材やろ過の原理、細かさによる通水可能量の違いの詳細、ウエット式やドライ式の違いなどは機関誌BL6号に掲載いた

しましたので、この項目では部分的に重複しているもありますが、基本的には割愛いたします。

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●ろ材中の水位を不定期に変動をさせてはいけない

 ろ過層の中にろ材がはいっていて、この水位がろ材を上下するのは好ましくありません。ろ過層の安定とは、常に変わらない状態を維持し続けることで得られるもので、少し

でも水の流れがかわったり、まして水上・水中がかわったりしますと、ろ材表面に付着している細菌や有機物などが剥がれて流れ出してしまいます。

 そのため、ろ材の入っている水位は動かない工夫がされている構造のものが好ましいです。

 下の図は、機関誌BL6号で用いたものを一部再利用したものです。Aが水位が変動する構造、Bが水位変動しない構造です。


(機関誌BL6号より引用)

 今でも、双方のろ過器が販売されています。特に海水魚ではぜひBのタイプを用いましょう。 

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●生物ろ過層の掃除をしないための物理ろ過層として利用する

 前述しましたように、物理ろ過層とは本来、生物ろ過層を目詰まりさせないためのものであり、いつも物理ろ過層と生物ろ過層を一緒に掃除してしまうならほとんど

意味がありません。物理ろ過的にも生物ろ過的にも安定した生物ろ過層を常に維持し、物理ろ材だけを交換したときにも安定が維持される状態があるからこそ意味があります

 そのためにも、生物ろ過層が汚れないようなしっかりとした物理ろ過、あるいはセッティングをしましょう。

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●物理ろ過材と生物ろ過材は、密着していないことが好ましい

 上記の続きのようなことで、すでに魚飼育ガイドでも同じ内容を端的に記述しておりますが、例えば一般的な単層の上部フィルターを用いていて、下の図のように、生物ろ材

として砂、その上に物理ろ材としてウールマットを直に敷いている状態で、汚れたウールを交換しますと、すぐ下の砂に部分的にいままでとまったく違う、また不均一な強い流

れが生じ、生物ろ材である砂中にある程度たまっていた汚れや細菌が流出してしまいます。


(機関誌BL6号より引用)

 (以下、訂正部)

 上記のような状態になるくらいなら、いっそその(単層の)フィルターのろ材は全部ウール等、物理ろ過専用として、交換する際には全部ろ材をいれかえるか、洗浄してしまっ

たほうが、(ろ材が新品になってしまうことで、物理ろ過能力が一旦は激減するものの)まだ安全と考えています。ただ、この場合は別の場所に生物ろ過を用意しなければな

りませんので、そのために底砂を厚く敷くようにすれば事足ります。(機関誌BL1号で最初に紹介した魚水槽なども、この方法でした。)

 この方法では、チョウチョウウオ等敏感な魚の飼育にはやや懸念がのこりますが、もともと水をよごしにくく、魚よりは細菌病が問題になりにくいサンゴではむしろ問題が少な

いといえるでしょう。特に底砂がある水槽である程度の水流があれば、最低限の物理ろ過ができます。

 ただ、特に魚を本格的に飼育し、安全に上記のような現象を根本的に防ぐのためには、互いに最低限の距離があって、独立した二つの層をもっているろ過システムを持って

いることが好ましいです。

また、完全に独立したろ過層・ろ過器でなければならないわけではなく、スノコなどで少し間があいていて、互いの流れが影響されない状態であればまず大丈夫です。

※実際の実用については、次章以降で紹介します。

★余禄 言葉の問題

 これはまったく余談ですが、ろ過層・またろ過方式として水をためないドライフィルター、ためる状態で使うウエットフィルターというものがありますが、そもそも、ドライというの

は乾いているということで、ウエットはぬれている状態を言い、実際と意味がずれています。日本語ではそれぞれ散水ろ過、浸漬ろ過といいますが、こちらの方がずっと実体に

近いです。本来英語では、今のいわゆるドライフィルターがウエットフィルターで、今のウエットフィルターは、”プール(ド)フィルター”などと呼ぶ方が適当だと思います。

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●ウールの交換頻度について 2019/11/22追記 

 今更な追記ですいません。お客様のご質問におこたえすることがありましたので、こちらにも転載の形で追記させていただきました。

 上部フィルターやOF式、密閉式などで用います物理ろ材(ウール)の交換の目安は、飼育の方針によって違いまして、以下はあくまで当店の場合ですのでご参考にお願

いします。他の記事などでも類似したことを書いているかもしれず、相違がありましたらお詫びいたします。あくまで現時点での最新の当店の方針です。

 まず特にサンゴや無脊椎系の水槽の場合、目詰まりさえなく、水が通っている限りは交換の必要なしとしています。(当店の奈良に移転後も、システムによってはもう半年

以上、そのままです。)これは安全・安定重視で、汚れは自然分解に任せてしまう方法です。頻繁に交換したほうが硝酸塩の増加は防げますが、それは還元ろ過BOXなどに

まかせるという方針です。また当店の場合、大きなシステムはウールの前に沈殿槽(※下のOF式に例を掲載してします)を設けているシステムが多いので、結果的に目詰ま

りがなく、長期に運転ができている面もあると思います。また無脊椎水槽では特有の微小な動物が多く、魚だけの薬品などを使う水槽に比べてもともとの汚れが少ない上に、

明らかに分解が速い面もあります。

 魚専用水槽(薬品などを用い、細菌以外の微生物がいない水槽)または汚れの多い水槽では、まず物理的に目詰まりして水が流れにくくなった場合はその時点で、また少

しでも硝酸塩の増加を減らしたいという場合は未然の除去を目的として、できるだけ頻繁に交換しますが、この場合で1〜で2か月に一回程度としています。

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●ポンプの流量・循環量(2019年10月24日) 

 大変久しぶりの追記になります。ポンプの流量についてのご相談を最近しばしば頂きますので、ご相談にお応えした記事に一部加筆させていただき、追記させて頂きます。

昔から特にOF式などでどれくらいの水量にどんな流量のポンプを使うかということが、ほとんど根拠も無くなんとなく目安になってしまっているように思います。しかもそれが月

日を経るごとにさらに無意味に多くなっているようにも思われ、いつのまにか、200〜300Lの水槽に、50〜70Lものポンプが使われていることも散見されます。そこで実際

の必要性から本当に適正な流量を割り出すため、自分でも整理して記述することにしました。

 必要な流量につきましては、各目的によってかわってきますので、それぞれの目的に必要な流量や条件について、記述いたします。

●生物ろ過について

 まず、濾過槽を稼働させるためのポンプとしてもっとも大きな目的の生物ろ過につきましては、亜硝酸やアンモニアを硝化できれば達成していることになります。

見た目に流量が少なく見えても、ろ過層の面積や機能が十分(普通の一般的な各ろ過機程度)であれば、 飼育水槽が実際には1時間に2〜3回転するくらいで充分に足

りている場合がほとんどです。 (参考までに、例えば水族館などの大型水槽では、1時間に一回くらいしか水が循環していない場合もあります。)

 すなわち、例えば100Lの水槽では、濾過槽さえある程度稼働しているなら 毎分2〜3Lの実際流量があれば足りていることになります。

 これは、特に濾過槽をそなえておらず、底砂だけを敷いた水槽で、エアーレーションだけでも実際は亜硝酸などが増加せず、生物ろ過が足りている状態でも同様のことがい

えます。

 また、流量を多くしたことで濾過槽で水が物理的に通り切れなくなり、結果的に粒の荒い(表面積の小さい)ろ材しか使えなくなれば、潜在的なろ過能力が低くなり、流量だ

け増やしても単なるパワーロスで意味がなくなってきます。

 さらに、過去の実験から、一般的なろ過機を一度通過したときに硝化されているアンモニアや亜硝酸はせいぜい数%〜1割程度と推測され、家庭などで使うような、濾過槽で

溶存酸素を消費しきってしまうことがほぼありえない容積のろ過器で、同じ濾過槽・ろ材では水をできるだけ遅く通した方が、酸素がある限りろ過(硝化)率はあがるため、流量

さえ増やせば比例してろ過能力があがるというものではありません。

 ただ、上記はあくまで生物ろ過だけを考えた場合で、特に100L程度の水槽で無理に循環ろ過の流量をしぼって、後述の別の水流ポンプなどをつける必要もありませんので

、濾過槽が現状で問題なくうごく状態なら、水流も考慮して流量を決められるといいと思います。

●物理ろ過について (11/4一部修正追記)

 物理ろ過につきましては、まず水槽内からろ過機へ入る過程では、ゴミがろ過機に流れていけばよく、流量以前にそのような構造に水槽やシステムがなっていればいいとい

うことになります。 無論、流量が多いほどよくゴミをろ過機に吸い込むということはありますが、 逆にいくら増やしても、吸い込めない場所や死角があります。

 生き物の存在やほかの水流などもふくめて、ゴミを運べるような構造であることがポイントになりますので流量だけで目安とすることはあまり意味がないと思います。

 次に濾過槽・ろ過器内での流れについて、

 同じろ過器でも流量をふやすほどウールなどに水圧がかかり、強制的に溶解していく汚れも増えてしまうので、これも一概に多ければよいということはありません。

主にOF式のウールBOXなどのドライ状態でつかっている場合です。

 ウエット(浸漬している)状態で使用していると、普通ウールなどは流量が多いと目詰まりして流れきれなくなるのことが多いです。

 ただ、水の濁りや細菌などは少しでも除去した方が絶対に生物に良いため、そういう意味では生物ろ過よりも流量とろ過の効率が大事と考えています。

 ウール・物理ろ過については ●OF(オーバーフロー)式 に詳しく書いておりますのでご覧ください。

●飼育水槽内の水流 について(主にサンゴなどのために)

 水槽の水流を循環で兼ねたいとなりますと、これがおそらく一番の流量を必要とします。

 とはいえ実際のシステムの多くでは、100Lの水槽の場合でも実際に 毎分10L程度のろ過機などの流量がある場合が多いため、普通はそれで水流も概ね足ります。

 (ただし同じ流量でも、上部濾過槽などから自然落下してくるものと、ポンプなどからの水圧をかけた流れではおきる水流の強さが全然違います。

 上部フィルターからの落下水では、サンゴのための水流を全体につくるには足らないでしょう。気泡が入ってしまうこともサンゴに悪いので欠点です。)

 大きな水槽の場合は無理に循環と水流を兼ねるより、水流は別途用意した方が配管や濾過槽の構造など、 いろいろな無理やロスがすくなくていいかと思います。

また、水槽には場所によって必然的に水流の強弱がうまれますので、どうしても水流の弱いところに水流を好むサンゴを置きたい場合などは追加せざるをえません。

●あらためてOF式の場合の流量とポンプの選択の目安 

 上記のように、目的によっての流量はかわってきますが、 以下OF式でポンプを選択し、サンゴ飼育を前提とした水流も考慮しまして、あくまで当店の目安の流量を

示させていただきます。  ほか、こちらサンゴ飼育ガイドでも、水流の目安と、各種に適正な水流条件やを紹介しています。

飼育水量
(L)
目安の実際循環量
(L/分)
該当する
マグネットポンプの
最大流量
L/分
該当する水陸両用・
水中ポンプの
最大流量
L/分
サンゴへの水流との関係
50 4〜6 8〜10 15〜18 水流も兼用
100 8〜10 12〜15 20〜25 水流も兼用
150 10〜15 15〜20 25〜30 水流も兼用
200 15〜20 25〜30 30〜35 場合によっては水流を追加
300 20〜30 30〜40 40〜50 場合によっては水流を追加
600 30〜40 40〜50 50〜60 場合によっては水流を追加


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■各単体ろ過器の特徴 (ただ今、記述中で、毎日少しづつ加筆・画像追加等しています^^;)

 以前から一度、記事として挑戦してみようと思っていたのですが(笑)、思い付く限りのろ過方式とそれらの各組み合わせの特徴やを延々と徹底的に紹介してみたいと思い

ます。その前に、まず部品となる各単体のフィルターそのものの特徴を改めて紹介しておきたいと思います。

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●上部フィルター 

主な定義:水槽の上部・奥のワクに載せて設置し、専用ポンプで揚水して使用するフィルターです。なお、海水専用のポンプ付きのものを用いましょう。

 

利点

 ・水上タイプのポンプを採用しているものは、熱が水に入らない。
 ・案外、メンテナンスが楽(実際には密閉式フィルターより楽な場合が多い。) 
 ・水槽の上面を一部塞いでしまうが、逆に水槽以外の場所をとらないのでスペース的に綺麗。 
 ・専用の水槽ガラスフタと相性がよく、余計な隙間ができにくい。
 ・冷却ファンを設置しやすい。 

欠点

 ・発生する水流が必然的に口径の大きいパイプからの落下水のため弱く、エアーが発生する。
 ・上面を一部塞ぐため、サンゴ飼育にやや向かない。※(ただし、電球型LEDを前方向から奥を照らせば、ほぼ問題にならない。下で追記)

 ・音について、一般に上部フィルターは、水が落下することに音が発生しますが、ニッソースライドフィルター等、消音装置のついているものは音が静かで、確実なエアーレー
  ションができます。実際、密閉式フィルターや底面フィルターでパワーヘッドを用いた場合、それ自体が静かでも、別途エアーレーションをしなければならないためにその騒
  音が発生します。
 ・
(追記)水槽の上面を一部塞いでしまうことは確かに欠点ですが、以下の写真のように、昨今の電球型(スポット)LEDを用いて、水槽の前上部から水槽のやや斜め奥を
  向けて照射するようにすれば、実際、ほとんど照らせない部分はありません。


(当店の過去の水槽です。)

 ・ポンプのメンテナンス・寿命など 

 まず昔からある水上型の寿命は、大事に使えば大変長く、ポンプの内部のローター等の金属部分は、海水がかかったりしなければ10年以上は持ちます。
ただ、金属本体はもつのですが、周囲のプラスチック部分がどうしても痛んできて、とくにポンプ本体を固定するネジ穴部分が4〜5年経つと割れてくる場合が多いです。
 よく、動かなくなったものは単に海水で少しサビて固まり、油が切れているだけの場合が多く、ほとんどが復旧可能です。 

 今はもうありませんが、昔の上部フィルター用ポンプには、油をさす給油口がありました。
また、昨今では給油や修理自体を禁止事項にしてしまっているため、すべて自己責任でする必要があります。
個人的には、油切れで動かなくなったものを処分するなど、資源の無駄も甚だしいと思うため、よく修理はしております。

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●外掛け式フィルター (ワンタッチフィルター)

  
                                テトラOT-60です。

主な定義:水槽のワクにひっかけるように設置し、本体付属ポンプで揚水して使用する手軽なフィルター。
      ポンプは飼育水槽内にある型と、フィルター側(外部)にあるものがある。

利点

 ・水槽の外にポンプがあるタイプは、熱が水にあまり入らない。(水中ポンプの半分程度)
 ・メンテナンスが楽 
 ・小さいながら、物理ろ過能力を持ち、しかも水槽の上面を塞がない。
 ・60cm水槽以上では、サイズ的に複数台設置ができる場合が多い。
 ・ポンプが込みとしてもかなり安価
 ・冷却ファンを設置しやすい。

 ・60cm水槽未満では、全体にゆったりとした、LPS系ハードコーラルに適当な水流ができやすい。

欠点

 ・設置方法の問題でせいぜい60cm水槽程度まで使用可能。
 ・水面が下がると、水が瀧のようにはいるので、良い水流がくずれてしまいやすい。 
 ・ろ材体積は大変小さいので、わずかながた、物理ろ過能力ははたすが、生物ろ過能力は小さい。
 ・水槽後方に5〜8cm程度のスペースが必要。

 ・エアーレーションについて、水面のできるだけあげ、フィルターの放水口にかかるくらいまで入れると、水中に気泡はほぼ発生しなくなりワンタッチフィルター独特の渓流の
  ような水面を巻き込むような流れで、静かに、ある程度エアーレーションができます。水面がさがると、ジャブジャブと音がます。

お薦め機種について

 ・(追記)機種につきまして、以前はポンプが水槽の外部にあるものが主でしたが、最近ではポンプが水槽内にあるタイプが多くなっています。確かに、スタートはスムーズ
  ですが、せっかくのポンプの発熱が影響しにくいという利点がなくなってしまい、残念です。とはいえ、GEXの簡単ラクラクフィルターなど、まだ外部ポンプの現役機もあり
  ます。
  個人的にはすでに廃盤になってしまったテトラのOT-60は流量的にも名機だったと思います。

 ・外側にポンプのある機では、まだ試したことがありませんので確信流量だけをみるとコトブキプロフィットフィルターBIGが毎分11Lで、おそらく現行ではもっとも流量の多い
  ものではないかと思います。(追記)

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●底面フィルター

主な定義:水槽の低部に砂をしく前に設置し、主に底砂そのものをろ材として運転するフィルター。揚水には水中ポンプ(パワーヘッド)、またはエアリフトを使う。
       また、応用で上部フィルターやワンタッチ、密閉式フィルターなどとの接続も可能。

利点

 ・ポンプにパワーヘッドを用いると、効率よく、また強い水流を起こしやすい。
 ・生物ろ過能力は、底砂の量に比例し、容易に強化でき、一般的に大変強い。
 ・水槽の上面を塞がない。
 ・
イソギンチャクや小さな生き物、藻類、海藻がストレーナーにひっかかり、吸い付けられるトラブルが無い。(追記)
 ・安価  

欠点

 ・底砂・底面フィルター底部に汚れが蓄積し、掃除が必要になり、しかも底面全体のため、綺麗には掃除できにくい。また、それによる汚れの流出
  ただし、後述の水槽のタイプによる。
 ・水中ポンプを使うので熱が水中に出てしまう。
 ・パワーヘッドを用いる場合は、別途エアーレーションが必要。(ポンプのディヒューザーを用いると、水槽全体が気泡だらけになって、サンゴにあまりよくない場合が多い。) 

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●密閉式フィルター(パワーフィルター・外部式フィルターとも呼ばれる。)

主な定義:水槽の外部に設置するフィルターで、密閉されたフィルターでポンプが内蔵されており、水槽から排水・給水のホースを接続して使う。
       図では、密閉式フィルターを水槽の横に置いているが、水槽の下や上でもセット・使用可能。

利点

 ・大小・各サイズがある。
 ・水槽の外にポンプがあるタイプは、熱が水にあまり入らない。(水中ポンプの半分程度)
 ・水槽から完全にはずして別場所でメンテナンスができる。(ただし、解体しての交換はそれなりに手間がかかる)
 ・物理ろ過能力を持ち、しかも水槽の上面を塞がない。
 ・連結することで、2層化しやすい。(ポンプの無い安価な増設型フィルターもある。) 
 ・クーラーや殺菌灯などの循環型の周辺機器を接続し、使用しやすい。(ただし流量が低下するので、それを見越したパワーの機種を選ぶ必要がある。)

欠点

 ・水槽外に設置場所が必要。
 ・特に物理ろ材の目詰まりによる流量低下を招きやすいため、ろ過的にはあまり問題にはならないが、水流の低下を招く。
 ・全体的に高価(ただし、最近は格安品も多い)
 ・基本的にシャワーパイプで放水する設置を想定されており、
この場合、直接放水するより水流が弱くなり、水流が作りにくい(ただし、直接放水するよう、若干工夫すれば
  改善できる。)  

 ・単層式のもの、内部で容器で各ろ材を分けられるものがあるが、実際にはメンテナンスのとき、すべての層を取り出し、また水も撹拌・また排水することになってしまうため、
  前述した「2層の分かれた構造で、物理ろ材を交換した時に生物ろ過層への影響を抑える」という点があまり意味が出せない。
 ・放水口を完全に水没させると、エアーレーションが起きないので、別途必要になる。 
 ・騒音について、密閉式フィルター自身は特にエーハイムなどは大変静かではあります。ただ、実際は別途エアーレーションをする必要が起きてくるとその音の方が大きく
  なる場合が多い。 

・単体の使用

  一般的な単層の上部フィルターを単体で用いた場合、上記で説明しましたろ過の掃除等を行った時の安定を保つことに懸念があります。
 生物ろ材と物理ろ材(ウール)を重ねて敷いて、物理ろ過・生物ろ過の双方を行う方法がもともと一般的ではあるのですが、ウールを交換したりいじりますと、どうしても上記
の汚れ流出の問題がおきます。それを防ぐには、いっそ全部ウールにしてしまって、交換するときは全部交換し、ろ過器ごと洗ってしまうという手もあり、むしろ私はこちらを近
年では薦めておりました。ただ、この場合でも、ウールが全部新品になると物理ろ過能力が一時ほぼゼロになってしまうため、一定期間の懸念があります。
 このように単層のフィルターだけを用いるとどうしてもさけられない部分があり、チョウチョウウオやヤッコなど、病気に敏感な魚の飼育は避けたいところです。

 ただ、実際にはそういう環境でも飼える丈夫な生き物だけに限定すれば飼育は可能です。スズメダイなどの丈夫な魚、エビ、ケヤリ、貝類などならまず問題はありません。

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■各ろ過システムの徹底解説

 ここからは、実際に各フィルターや各組み合わせの使用方法で、どのような管理の特徴、生き物に向いているのか、などを徹底的に以下で延々と紹介していきたいと思いま

す。上記で紹介しました単体での使用も改めて解説し、それぞれの時に周囲のセッティング、例えば底砂などはどうするべきかなどもあわせて解説し、各フィルターを用いた

場合のベストセッティングを考えてまいります。OF式も、最後に数種、解説してまいります。(以下、続きます。)

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●上部フィルター(単体使用) 

 上部フィルターだけを単体で使用した場合だけを想定してみた方法です。
 先にも解説しましたが、最大の欠点は前述した項目 
●物理ろ過材と生物ろ過材は、密着していないことが好ましいで述べましたことです。
 セッティングとしては、上部フィルターはウールマットだけを用いて物理ろ過専用とし、水槽に3番サンゴ砂等を敷いてこれを生物ろ過層とした方が比較的安全でしょう。
 底砂は、水槽内に水が流れていれば、十分に生物ろ過層の役割をはたします。また、エアーレーションは、フィルター内で自然に十分行われます。

 より安全な方法が判明した今となっては上部フィルター単体使用でのチョウチョウウオやヤッコなど敏感な魚類の飼育は避けた方がいいと思います。しかし、、エビ、カニ、
ケヤリ、貝類、スズメダイ、ベラ、ハゼなどの飼育は普通は問題ありません。上部フィルターにはウールだけを入れてそれを全部交換するので、案外汚れの多い生き物にも
向いています。

 また、ソフトコーラル、LPSのハードコーラルの飼育も他の方式から比較して、向いているとは言えませんが、敏感種でなければ飼育は一応不可能ではありません。現に
上部フィルターでサンゴを飼育されている方も多いです。
 ただ、上部フィルターからの落下水は、水流源としては弱いです。また、気泡が多いこともサンゴにはあまりよくないため、あたらないように注意します。
 流れの方向によっては、強い流れを好まない種(特にLPS)ではちょうどくらいになる場合も多いです。
 スリバチサンゴ、スターポリプやチヂミトサカなど、やや流れを必要とする種の場合は追加で50L水槽で毎分5L程度のパワーヘッドを追加したほうがいいでしょう。 

 また、90cm以上の上部フィルターになってくると、層が左右2層に完全に分かれたバスケットに入っているものがあります。この場合、1ヶ月以上をあけて片方づつ洗浄・ま
た交換すると、安定を維持することができます。これなら、魚類の飼育もほぼ問題がありません。くれぐれも、メンテナンス時に、もう片方のバスケットやろ材を少しでも動かさ
ないように、慎重に行う必要があります。また、シャワーパイプの設置角度なども変わらないようにしましょう。

特に向いている飼育生物:丈夫な無脊椎(エビ、カニ、ケヤリ、貝類等)、丈夫な魚類(スズメダイ、ベラ、ハゼ、ハナダイ類など)

ろ過層のメンテナンス:汚れに応じて1〜2ヶ月に1回、ウールを交換または洗浄。

水槽例:

    
エビの水槽です。(2008年頃)フリソデ、オトヒメ、スカンク、ホワイトソックスなどを飼っていました。ちなみにこの水槽はBL5号に載せそこねた写真です。

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●二層式(ウエットアンドドライ)上部フィルター 

 特に60cm水槽で魚専用水槽をするとき、もっとも手軽に安定するお薦めの方法です。60cm水槽用の製品では、ずばりGEXのグランデカスタム600です。 

 物理ろ過(ウール)層がドライ層として完全分離しているため、ウールを交換しても、下部生物ろ過層への変化・影響が少なく、安定を維持しやすいです。
 (本来は、物理ろ過層もウエットである方がより好ましいですが、構造上、仕方がありません。)
もはやグランデカスタムの特異的な説明になりますが、ドライ層になっているためゴミが通り抜けやすいこともあり、ウールはできるだけ多く(2枚)使用したほうがいいです。
 なお、下部の生物ろ材は水面から出ないようにセットしましょう。それ以外は、上記
上部フィルターを単体で使用した場合に準じます。

特に向いている飼育生物:魚専用水槽(薬品等の病気治療を行う前提のとして)、特にチョウチョウウオ、ヤッコなど。

ろ過層のメンテナンス:物理ろ材を1〜2ヶ月に1回交換。

水槽例:


魚専用水槽です。(すみません魚飼育ガイドと同じ写真です。^^;)

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●外掛式フィルター(単体使用)

 外掛式フィルターを、単体で使用した場合です。ろ過の状況としては、前述の上部フィルターを単体で使用した場合に近く、物理ろ過能力がが低くなった状態です。
もちろん、生物ろ過を補うため、底砂は用いた方がよく、外掛式フィルターは、ほぼ物理ろ過専用と考えておいたほうがいいでしょう。

 外掛式フィルターならではの良い点も多く、実際に私も2000年頃、店をする前にLPS水槽をほぼ状態よく維持していたことがあります。

 まず水槽上面が完全に使えることで、照明に有利で、意外とで、活性炭を使用・取りだしやすい利点もがあります。
(下の写真上です。)当時はテトラOT-60でしたが、流量が上部フィルターより流量も多く、しかも気泡が水中にほとんど入らないいため、サンゴには適当でした。
 また、底砂があって水流が強いと、仮に外掛式フィルターのろ材を交換した直後に物理ろ過能力が低下していても、モナコ式のように底砂がかなり補助になってくれるという
利点があります。
 底砂は、硝酸塩のことだけを考えると汚れがたまりにくく、外掛式フィルターに集まりやすい細かい3番砂のほうですが、補助的な物理ろ過的な安定では10番の方が、水が
 砂中に入りやすい店で安定度が高いでしょう。見た目では3番、安定は10番をお薦めしておきます。(パウダーは吸われる上、好気・物理ろ過としてあまり働かず、嫌気層
 ばかりができるのでやめておいたほうがいいです。)
 レイアウト用のライブロックや岩で、ストレーナーを覆い、藻類などが引っかからないようにしておくといいでしょう。これはイソギンを飼育するときにも重要です。
 実際には水槽全体としての物理ろ過能力が低いこともあってか、硝酸塩が少なくても、糸状の藻類がやや生えやすい傾向にありました。
 その意味で、以降の底面直結式がさらに適すると言えるでしょう。   

向いている飼育生物:丈夫な無脊椎動物全般、サンゴ水槽の場合は魚を極力控えるといいでしょう。

ろ過層のメンテナンス:物理ろ材を2〜3ヶ月に1回交換。  底砂3番サンゴ砂(元祖活性底面法)

水槽例: 


こんな写真しかなくてすみません。これは2000年頃、
まだ店を始める前に飼っていた時の写真です。
ちなみにこのときは、まだ活性底面BOXは無く、
水槽の底面に敷設する元祖活性底面法でした。
ステータスは今でもよく覚えています。

水槽サイズ:60*30*36cm
フィルター:テトラOT-60
ライト:自作3灯式(カリビアンブルー、PG-B、三波長昼光色)
添加剤:ミネリッチアクアーレ週に30〜50mL、
     ライブシーCOM-1
人工海水:ライブシーソルト
底砂:3番サンゴ砂(元祖活性底面法)

機関誌BL5号にも掲載しましたケヤリ・ゴカイ水槽です。

水槽サイズ:60*30*36cm
フィルター:テトラOT-60
ライト:スーパールミックス110W
   (別にこれほど明るい必要はありませんでした)
特にハードチューブのための水流補強にRIO180を1個追加
添加剤:不明
人工海水:リーフパワーソルト(旧) 
他、カルシウムリアクターBOXを1個使用していたと思います。
底砂:3番サンゴ砂

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●外掛式フィルター+底面直結

 

 60cm水槽くらいまでで、種々の無脊椎動物を飼育するのにかなり便利な方法です。当店でも、昔から多用していました。上面をほとんど塞がないので照明のスペースも
問題なく、水流もワンタッチどくとくの柔らかく太い水流があります。
 ろ過的には、まず底面フィルターがメインで、無脊椎系水槽での微小な動物による消化と好気ろ過・物理ろ過がを行い、その上で最終的な沈殿物を外掛式フィルターの物理
ろ過で除去するというものです。(底砂には10番サンゴ砂が最適です。)
 以下、底面フィルターを使用・接続するすべての方法に言えることですが、生物や海藻、藻類などがストレーナーにすいつけられる事故がありません。
 外掛式フィルターには冷却ファンも取り付けやすいです。
 一般に外掛式フィルターは、あまり大きな水槽にはとりつけることができず、仮につけても排水の幅がひろいため、同じ流量でも全体的な水流発生量はパワーヘッドよりずっ
と弱くなります。
 そういう意味で、60cm水槽に特異的に有利な方法といえるかもしれません。  

向いている飼育生物:LPS、ソフトコーラル サンゴ全般、イソギンチャク、海藻、観賞用無脊椎なら全般。

ろ過層のメンテナンス:外掛式フィルターの物理ろ材を1〜3ヶ月に1回交換。 

水槽例:  


機関誌BL5号、BL-EXTRA-1にも掲載しましたイソギン・水槽です。

水槽サイズ:60*30*36cm
フィルター:テトラOT-60 底面フィルター:ニッソーバイオフィルター
ライト:GEXCL603
添加剤:シーケムリーフプラス、ミネリッチアクアーレ
人工海水:リーフパワーソルト(旧) 
還元ろ過BOX1個使用。
底砂:10番サンゴ砂

生体:LT,センジュ(バヌアツ産)、タマイタダキ、シライト、クマノミ数種

機関誌BL創刊号のハードコーラル飼育水槽を、
撮影前に少しアレンジしていた時のものです。

水槽サイズ:60*30*36cm
サンゴが一部入れ替わっており、魚がオウテンハナゴイを飼育しています。
※オウテンハナゴイが長期飼育不可能とわかり、
掲載に不適当として、当時変更しました。

フィルター:テトラOT-60 底面フィルター:ニッソーバイオフィルター
ライト:蛍光灯2灯式(カリビアンブルー、PG-B)
添加剤:シーケムリーフプラス、ミネリッチアクアーレ
人工海水:リーフパワーソルト(旧) 
カルシウムリアクターBOX1個使用。
底砂:10番サンゴ砂

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●上部フィルター+底面直結式

 前項の底面フィルター+外掛式フィルター直結式の、物理ろ過を強化したような方式です。
 外掛式フィルターが一般的になったのは、今から15年くらい前でそれまではあまりなく、底面との直結式といえば主に上部フィルターを用いた方法でした。当店が底面フィ
ルターを活用する場合の多くは無脊椎籍水槽で、その場合は照明条件や水流、価格のこともあって、多くは外掛式フィルターを使いますため、今ではこの方法はあまり出番
がなくなりました。
 しかし、上部フィルターにウールを全部つめればしっかりとした物理ろ過ができるため、砂中の微小動物が食べたのこりの沈殿物が底面フィルターを通りぬけたゴミをしっか
りとキャッチできます。
 そういうことから考えますと、無脊椎水槽でもやや魚やエサを与える生き物が多く、水の汚れの多い水槽に向いているといえますでしょう。
 主な出番では、ゆったりとした流れを好むLT,センジュ、シライトイソギンに、クマノミの仲間やや多く一緒に飼育するような水槽であれば、水流の追加もほぼ不要で向いて
います。 

向いている飼育生物:無脊椎動物の水槽で、やや大きなエビやカニを飼育する水槽など

ろ過層のメンテナンス:外掛式フィルターの物理ろ材を1〜3ヶ月に1回交換。 

水槽例:


機関誌BL2号にも掲載しましたイソギン・クマノミ水槽です。

水槽サイズ:60*30*36cm
上部フィルター:GEXデュアルクリーン 底面フィルター:ニッソーバイオフィルター
ライト:蛍光灯2灯式(カリビアンブルー+ホワイト系)
添加剤:シーケムリーフプラス、ミネリッチアクアーレ
人工海水:リーフパワーソルト(旧) 
還元ろ過BOX1個使用。
底砂:10番サンゴ砂
生体:タマイタダキ、シライト、クマノミ数種

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●密閉式フィルター+底面直結式

 直結式第3弾です。前項の底面フィルター+外掛式フィルター直結式、物理ろ過を強化したような方式です。
水槽上面を覆わず、光を必要とする無脊椎に向き、しかもろ過能力が強力で、密閉式フィルターからの水流を自由に設定しやすいのでサンゴにも向いた方法です。
 無脊椎向きの底面ろ過直結シリーズでは、最高のろ過能力と条件を持っているといえるでしょう。
密閉式フィルターの中はすべて物理ろ過材、必要に応じて部分的に水の黄ばみを除去するために活性炭を用いてもいいでしょう。
 あと、図には書いておりませんが、放水口を完全に水没させますとエアーレーションが無いので、別途つける必要があります。

 ただ、個人的には密閉式フィルター自体が、水槽の外に置き場所を必要とすること、外掛式フィルターに比較してメンテナンスに意外と手間がかかるので、正直あまり使った
記憶がありません。また、物理ろ過材が目詰まりしやすく、水流が低下してくることもやや欠点です。

 しかし密閉式フィルターには大きなサイズもありますので、外掛式フィルターが使えないような大型の水槽でも対応できます。まだそのような大きな水槽で施行したことがあ
りませんが、もしサンゴ・無脊椎系水槽である程度魚も飼育する大きな水槽の場合、底面下にたまる沈殿物を随時キャッチ、メンテナンスで排出できる方法としては、OF式
以外では非常に有効といえるかもしれません。 

向いている飼育生物:特に大きな水槽で、やや魚も多く飼育するサンゴ、他無脊椎動物全般

ろ過層のメンテナンス:外掛式フィルターの物理ろ材を1〜3ヶ月に1回交換。 

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●上部フィルター+底面吹き上げ式

 今や伝説の手法です。(笑)上部フィルターで物理ろ過を行った水を、底面に送り込んで底砂の下から拭き揚げる方法です。
物理ろ過と生物ろ過が別れており、双方にしっかり面積をとれるため、きちんとセッティングできればかなり安定度が高い方法です。
 掃除して管理し、綺麗な水を底砂からふきあげるわけですから、よごれがたまりにくく、上部フィルターの物理ろ過に集中させやすい方法で、掃除・メンテナンスによる管理を
メインにする水槽、すなわち魚専用水槽に向いた方法です。 
 もちろん、この方法でも底砂にゴミは溜まりますが、普通に敷いた場合や、いわんや底面フィルターの時とはまったく違います。
 画像では底砂が薄いですが、イメージとしてもっと厚く敷いたほうがよく、5〜6cm以上はしっかり欲しいところです。砂は10番サンゴ砂が適当でしょう。

 ただ問題もあり、まずメーカーからは、上部フィルターから降りる水を底面に送り込むパイプの製品は販売されていないため、自分で造らなければなりません。
この接続パイプの自作は、多少工作能力がありましたら簡単で、塩ビパイプを用いて作製します。 コツは、まずパイプは太目のものを用い、毎分10Lの水量でしたら、
30〜40mmのパイプを使います。また、底面フィルターとの接続は、塩ビパイプの異型ソケットなどのパーツを使い、さらにビニールテープ等でテーピングし、底面フィルターの
接続口と径をあわせれば一応つなぐことができます。ただ、60cm水槽用の上部フィルターの流量(毎分10L程度まで)なら、底面フィルターのパイプ口が広ければこれでほぼ
水が流れきるのですが、昔のニッソーバイオフィルターみたいに接続部分が細いとうまく水がながれきらないことが多く、この場合は底面フィルター自体に大きな穴をあけて加
工し、直接太いままのパイプをつないで接着して、水が流れきるようにしていました。

 他、運転上の問題というか特徴としては、図のように、底面にかならずエアーが入り込み、それが間欠泉のように下から時々上がってきます。これは、底砂のろ過層の安定
上、あまり好ましくない事なのですが、実際には、いつも同じ場所、あるいは数箇所の同じ場所から拭き上がるので、恒例となってあまり問題にはなりません。
 むしろ、若干の水流を起こしてくれることに加え、見た目にも面白かったりします。私はこれだけで魚類の飼育をさしあたり無事に行っていたこともありますが、水流不足であ
ることは否めませんので、病気に弱いチョウチョウウオやヤッコを飼育する場合、小さなパワーヘッド1つでも追加すると良いと思います。

 あるいは、底面へ降りるパイプの途中に水流用に分岐する部分を作って、一部を水流用に放出してもいいでしょう。

 私も昔よく採用していました。またいつかやってみたいと思う方法です。
 また、昔の方に聞いたところでは、今ほど多様なフィルターが無かった頃には、一説にはOF式意外で唯一、海水魚がうまく飼育できる方法として思われていた部分もあった
そうです。 

向いている飼育生物:魚類

ろ過層のメンテナンス:上部フィルターーの物理ろ材を1〜3ヶ月に1回交換。 

水槽例:

今からもう20年前、高校の生物部(尼崎市北高校)の
文化祭(北高祭)で展示していた写真です。^^;

水槽サイズ:60*30*36cm

上部フィルター:GEX(ファイブプラン)ビッグボーイを、ろ過層
を延長改造したもの。
底面フィルター:自作塩ビパイプ。途中で水流用に分岐放
 
写真の底面へのパイプは、このときは上部フィルターの
流量が少なく、また水流に放出することを見越して細い13
mmの塩ビパイプを用いていますが、普通はもっと太いパイ
プが適当です。

ライト:普通蛍光灯(40Wを2本の水槽にまたがって使用。)
天然海水使用 
底砂:10番サンゴ砂
生体:トゲ・アケボノチョウチョウウオ、カクレクマノミ、
デバズスメ数匹、カクレクマノミ

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●底面フィルター(パワーヘッド)

 もっともシンプルなパワーヘッド(水中ポンプを用いた)底面フィルターの使用方法です。(画像のように、エアーレーションが別途必要です。)
 海水魚飼育当初は、もっとも原始的で海水魚には向かないろ過システムと思っておりました。すでに、上記の単体ろ過器
●底面フィルターの項目でも述べましたように、
実際、
特に病気などに敏感で数多い魚類の飼育には向いた方法ではありません。ただ、特にサンゴや海藻などの生体によっては、水流が起こしやすく、シンプルでベストな
場合も多い方法であることを実感しました。
 パワーヘッドで水流とろ過の双方を行うため、パワーの消費効率もよいです。ただ、パワーヘッドで水温が少しあがってしまうことはやはり欠点です。
この場合、水面の高さが微妙になりますが、ポンプの頭を出来るだけ水面に出すようなセットをするとだいぶ緩和されます。
昔は、レイシーのPシリーズ(上部フィルター用ポンプ)で底面ろ過をされていた方も多く、水温が上昇しないこの方法は、セッティングとしては本来とても好ましいのですが、
私自身も、やはりセット・固定の問題やフタとの関係などで水中のパワーヘッドを使うことがほとんどです。

 底砂のサンゴ砂には10番が適当ですが、エサをほぼ与えない水槽に限っては、3番サンゴ砂でもなんとか使用可能です。この場合、底面フィルターの上にサランネット
(防虫網)のもっとも細かい0.8mm目のものを敷いて使用し、砂の厚みは3〜4cmまでがいいでしょう。
 ただ、10番サンゴ砂は魚類のエサになるプランクトンが豊富に繁殖する場となるため、結果的にこちらの方がエサを与える量を減らし、より自然に近い形をとることができま
す。機能的な面をいえば、やはり10番が無難でしょう。100Lくらいの水槽で砂を4〜5cm敷き、十分にプランクトンやヨコエビが繁殖してからなら、3〜4cmの小さな雑食魚
1匹くらいなら無給餌で十分飼育でき、太る状態が確認できています。
 しかも、この方法でSPSも十分飼育可能であることがわかりました。
 実際、当方の養殖サンゴ水槽のSPS水槽もOF式ですが、これと同じ方法のろ過方式を用いております。当店では還元ろ過BOXは使用していますが、エサをほとんど与
えない場合ではライブロックの使用だけでも硝酸塩は下げられるのではないかと思われます。
サンゴ砂を用いていることで、初期はリン酸が出やすいですが、エサを与えずこのまま運転していてもやがて減り、また急ぐ場合は市販のリン酸吸着材、液を用いてもいい
でしょう。 (詳しくは、
SPS(補足)飼育ガイド をご覧下さい。)

向いている飼育生物:魚類等エサを与える生き物が極端に少ない、各サンゴ水槽、ミドリイシも可能

ろ過層のメンテナンス:原則なし 

水槽例:

(SPSを入れたサンゴ水槽 2011年頃) 

水槽サイズ:60*45*45cm
底面フィルター:ニッソーバイオフィルター
ポンプ:マキシジェットMP1200?
ライト:R.P.LEDマリンパープルブルー20W 
添加剤:エックス(旧ハードドレース)
人工海水:旧リーフパワーソルト 
底砂:3番サンゴ砂
カルシウムリアクターBOX1個使用?

主にR.P.LEDの各色の写真撮影に用いていた
SPSを含む水槽でした。

エサをほとんど与えない水槽で、底砂に3番サンゴ砂を2〜3cm
敷いていましたが、とくにポンプの流量が落ちることはみられませんでした。

(サンゴ水槽 2004年頃) 

水槽サイズ:60*45*45cm
底面フィルター:ニッソーバイオフィルター
ポンプ:マキシジェットMJ750
ライト:蛍光灯計4灯
添加剤:シーケムリーフプラス、ミネリッチアクアーレ
人工海水:リーフパワーソルト 
還元ろ過BOX1個使用。
底砂:10番サンゴ砂

機関誌BL6号のイソギンチャク線用水槽の別写真です。

水槽サイズ:60*45*45cm
底面フィルター:ニッソーバイオフィルター、
ポンプ:RIO800
ライト:スーパールミックス110W
添加剤:シーケムリーフプラス、ミネリッチアクアーレ
人工海水:リーフパワーソルト 
還元ろ過BOX1個使用。
底砂:10番サンゴ砂
生体:イソギン各種、スズメダイ各種

すみません。この水槽は不適等な部分が多いです。
まず魚が多すぎです。また、
LTやシライトと、ハタゴ・イボハタをなんでも
一緒にいれるのはやはりよくありませんでした。
刺胞毒の弱い組、強い組で分けたほうがいいです。

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●密閉式フィルターの複数連結使用

 上の画像は、魚飼育ガイドの海水魚に適したろ過方式の例に掲載したものの使い回しです。<(_ _)> さらにこのもとは、機関誌BL6号だったりします。<(_ _)><(_ _)>
密閉式フィルターを2台、もしくは1台と、ポンプの無い同じ形状のサブフィルターを連結して使用した豪華な方法です。なぜ分けているのかというと、前述の
●物理ろ過材と生物ろ過材は、密着していないことが好ましいの理由です。
 最初のメインフィルター(ポンプ付き)を物理ろ過層にし、そのあとのサブフィルターを生物ろ過層にしている理由は、物理ろ材だけでなく、ポンプのメンテナンス(インペラ交換
など)を行う可能性のあり、本体を動かしたり振動させるメインフィルターは生物ろ過層にしないほうがいいという理由です。もし活性炭を用いる場合も、物理ろ過層と同じ
層にしましょう。(交換時がありますので)当然、生物ろ過層になるサブフィルターは、極力振動させたり、不用意に動かさないように注意しましょう。
 掃除をする前提の魚専用のシステムに最適と思われる方法の一つで、なかなかに贅沢な方法だと思います。

向いている飼育生物:主に魚類(専用)

ろ過層のメンテナンス:物理ろ過層のウール交換など。

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●密閉式フィルター+底面吹き上げ

 前述で上部フィルターを用いた吹き上げ方式を紹介しておりましたが、こちらは密閉式フィルターを用いたタイプです。ほぼ既存の製品・パーツで実施できるので、こちらの方
がやりやすいと思います。また、底面にエアーが入らないので、ろ過層としてもより安定するでしょう。水流とエアーレーションがほぼまったく起きないため、別途エアーレーショ
ンや、必要に応じてパワーヘッドが必要です。ただ、流量に余裕のある密閉式フィルターの場合、T字パイプで水を分岐させ、一部水流用に放出してもいいでしょう。
 また、普通は底面フィルターの底砂は10番サンゴ砂を用いますが、この方式の時は、汚れのやや多い魚水槽でも底砂にやや細かい3番サンゴ砂を用いることができます。
 特に3番砂を用いる場合は、密閉式フィルターの物理ろ過材ウールはしっかりとセットし、底面に汚れが回らないように注意しましょう。
(もちろん、
●底面フィルター(パワーヘッド)で申しましたように、サランネット等を用いて底面フィルターに砂が入らないようにする必要があります)
 私の使用経験では、ずいぶん昔だけですが、無脊椎のサンゴ水槽で実施していたことがありますが、以降は密閉式フィルター自体を使わなくなったので用いなくなりました。

向いている飼育生物等:主に魚類、やや大型の水槽でも用いやすい方法です。

ろ過層のメンテナンス:数ヶ月に1回、物理ろ過層のウール交換。

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●底面フィルター(エアリフト)

 もっとも原始的と申しますか、基本のエアリフトによる底面フィルターです。いまやこれで海水魚を飼育されている方を滅多にみかけませんが、スズメダイ、ハゼ、ベラ、ケヤリ、
カニ、エビなど丈夫な生き物なら十分飼育できます。エアリフトによる循環量はパワーヘッドのそれにくらべて非常に少ないですが生物ろ過は十分に足り、これだけで確実な
エアーレーションができます。パワーヘッド等を用いないので、それによる水温の上昇もありません。
 また、無理にサンゴなどを飼育することを決してお薦めはしませんが、40cm水槽くらいまでの小型水槽では、特に強い水流を必要とする種でなければ、サンゴやイソギンチャ
クでもほぼ足りる水流を起こすことができ、実際には飼育可能です。
 エアポンプが中心のパワーになるため、ついでに申しますと、エアーポンプはできるだけいいもの(丈夫なもの)を選ぶようにしたほうがいいでしょう。金魚水槽セットなどに付
属している小型のものは、替えパーツが無い使い捨てがほとんどで、だいたい数ヶ月でエアーがあまりで無くなり、寿命がきます。そこで買い替えになりますが、
 一般メーカー品の汎用的なものも、最近は非常に寿命が短いものが多いです。当店でのお薦めは、水作かアデックスシリーズをお薦めします。
エアーレーションで飛沫が飛ぶ以上、水槽の周りには塩ダレがおきますので、時々の掃除が必要となります。 

向いている飼育生物等:小型水槽で、汚れをあまり多く出さない丈夫な無脊椎動物。(エビ、カニ、ケヤリムシ、カイメン、魚類ではスズメダイ、ハゼなど(強い水流をこのむもの
               は不適。)

ろ過層のメンテナンス:特に丈夫な生き物だけを飼育している前提で、水を交換するときなどに底砂掃除用ホースなどで部分的に砂を掃除品から排水すると良い。

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●OF(オーバーフロー式各種

     
構造例1                                       構造例2          

 OF(オーバーフロー)式で用いるろ過層は、色々な構造のものがあり、また作ることができますます。上記の画像は一例です。
OF式の利点は、まずろ過層が大きいこと、また画像のように各層を独立的にわけることができ、前述しました掃除などの際に、生物ろ過層の流れがかわってしまうという
問題になりにくいことなどがあります。また、OF式はポンプからの放水先をホースなどでろ過層にもどして一時的にろ過層内だけで循環をさせることも容易なため、ろ過層
を掃除などでいじってしまった場合でも、ろ過層内だけの循環で水を綺麗にしてから、飼育水槽にもどすということもできます。

 ただこの、大きなろ過面積を持つという特徴が生きるのは、ほとんど魚類の飼育においてであって、サンゴの飼育の場合など、単純にろ過能力的にはOF式までは不要です。
またベルリン式など濾過槽のためでないOF式も含めて、殺菌灯やクーラー、大型プロテインスキマーなどの周辺機器が設置しやすいことや、飼育水槽の上面にろ過器やパ
イプなどが出ないデザイン的な面も最近は重視されているようです。

 話をろ過層自体に戻しまして、上記では私が過去に作成してきたものなどの典型例、ろ材なども考慮した使用例を以下にあげてみました。

●物理ろ過層について

 まず、物理ろ過層について、最近は構造例1のように、ドライのウールボックスがついているものが多いです。そして、下のウエットろ過層は、普通は生物ろ過層として用い
られます。ただ、物理ろ過層で同じウールを用いた場合、ドライとウエットでは、ドライのほうが水圧がかかるため、汚れが押し流されてしまうことが多く、結果、あまり
物理ろ過が機能せず、結局その下の生物ろ過層にだんだんと汚れがたまってしまう傾向になります。そのため、ウールボックスには水ができるだけ均一に落ちるように
工夫して、汚れをうまくキャッチできるようにした方がいいでしょう。
 ただ、流量にもよりますが、どちらにしてもドライのウールボックスでは汚れが押し流されてしまう傾向が強く、いっそ構造例1のようにウエット層の一層目もウールにしたほう
がいいと考えています。
 生物ろ過層が減るのは残念な気もしますが、実際OF式ではかなり多くの魚を飼育しても生物ろ過層の面積不足で飼育できていない、また亜硝酸が発生するということは
ほとんど見られたことがありません。

 2019/3/10 追記 

 以下、OF式のウールBOXを少しでも有効に使うためには、水ができるだけ分散し、均一に、静かにウールにおちるようにすることが重要です。下記、一般的な改善方法を
掲載しま。
 

●生物ろ過層について

 OF式で生物ろ材は少々悩むところですが、個人的にはサンゴ砂で十分と考えています。ただ、贅沢するならリングろ材などを検討してもいいでしょう。
これらは、概ねサンゴ砂に比して軽く、ろ過面積が広い上、水通りがいいので、流量を多くしても使用できるという点があります。しかし、そもそもそんな流量自体が必要なの
かといわれると、ほとんどそんなことは実際なく、たとえば200Lくらいの飼育水槽で毎分10L以上も循環していればろ過が間に合わないなどということはまずありません。
それで足らないとしたらろ材に問題があります。そもそも、こういった高性能ろ材は、ろ材を多く使えないOF式以外で本来は生きるものではないかと思います。

 そこで、もっとも一般的なサンゴ砂をOF式で用いる場合、まず基本は水通りとろ過面積などを考えて15番サンゴ砂がいいと思います。
ただ、できれば上の構造例1のように、仮に生物ろ過層が一層しかなくても、部分的に一段細かい10番サンゴ砂をわずかでも使用できると、生物ろ過能力だけでなく、細菌
などを取り除くミクロの物理ろ過能力が高くなり、たとえば物理ろ過層を新品に交換した時、一時的に物理ろ過能力が低下したときでもここがその代役を果たしてくれます。
 とはいえ、面倒なら15番サンゴ砂だけでも時間がたてば安定はします。
 最近、ポンプの流量がおおすぎるため、選択の余地なく20番などの荒いサンゴ砂を用いなければならないという状況もあるようですが、これはできるだけ検討・調整したほ
うがいいでしょう。

●沈殿槽のアイディア

 私のような店では魚の飼育数が多かったため、7〜8年前から構造例2に示しました沈殿槽を物理ろ過層の前に取り入れました。物理ろ過層(ウール)の前にこれを設置する
ことで、ウールにひっかかるゴミを事前に大幅に減らすことができます。沈殿槽に沈んだゴミは、1〜2ヶ月に一回くらい除去していました。家庭用水槽ではここまでする必要は
ないかもしれませんが、多く魚類を飼育し、メンテナンスの回数を減らし、また頻繁なろ材交換による不安定を解消するためには有効な方法です。

向いている飼育生物等:魚類を多く飼育する水槽

ろ過層のメンテナンス:沈殿槽やウールの交換

水槽(ろ過層)例:

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(魚類を大量に飼育した水槽2011年頃) 

水槽サイズ:120*45*45cm×2、30*18.5*22.5cm×6 
ろ過層サイズ:沈殿槽:60*45*45cm
         物理・生物ろ過層:90*45*45cm

循環ポンプ:イワキMD-30RX-N
ライト:蛍光灯20W×12本 
添加剤:エックス(旧ハードドレース)
人工海水:旧リーフパワーソルト 
飼育水槽底砂:3番サンゴ砂
還元ろ過BOX×10〜14個使用 

機関誌BL6号に掲載した水槽です

以下はご参考までに・・・。

●始祖活性底面法 (+部分底面フィルター)

 

 これは方式の紹介というよりも過去、私が実施した特殊な方法の紹介に近いため、参考程度に願えますと幸いです。

 現在の活性底面BOX(還元ろ過BOX、カルシウムリアクターBOX)に到るまでの過程には何種類かの底面で還元ろ過の作用を起こす活性底面法を経てきていました。
 最初は、糖分(主にグラニュー糖や氷砂糖)を底砂の底部全体にわずかずつ添加して、還元ろ過とカルシウムリアクターの作用を起こそうとしていました。
 この頃の糖分を用いた最初の活性底面法を”始祖(原始)活性底面法”などと呼んでいますが、実際にはこれも何種類かの違う方法を試していました。 

 上の図は、実際に私がしたの水槽で実施した方法です。底面を4対1くらいに仕切りをいれて分け、一部を底面ろ過フィルターとして使いました。このときは、3番サンゴ砂を
全体に用い、穴をあけた塩ビパイプにウールマットを巻きつけ、砂の中に沈めるというような、あまりよくない方法でした。しばらくすると目詰まりして、流量が減ってしまったこと
を記憶しています。
 そのため、上の図のように一旦施工したのち、底面ろ過からの放水は水槽の端にシャワーパイプを設けてエアーレーション・ろ過専用とし、水流は別のパワーヘッドだけで
起こしていました。下の写真は、その後の状態です。もし流量低下さえなければ、上記の図の通りでいいと思います。(エアーレーションは別途必要です)

 また、それ以外の底砂部分(活性底面法)は、普通の底面フィルターをしき、その上にスポンジをかぶせ、その上に砂をかぶせていました。
左側のパイプは、糖類の添加器で、パイプの中にいれた糖類が、自然に溶解、拡散してすこしづつ底面にとどくようにしました。パイプは繁殖した細菌でドロドロになるため、
しばしば清掃する必要がありました。普段はパイプからはすごい硫化水素の匂いがしましたが、一度別の水槽でとてもいいアルコールの香りがしたことがありました。

 水質的にはうまく硝酸塩が下がり、しかもカルシウムリアクターとしての効果もきわめて大きく作用し、pH7.8、カルシウム:550-600ppm、KH15-18、硝酸塩がほぼ0ppm
、リン酸は2ppmの限界値までありました。
このとき、LPSの状態はきわめてよく、日に日に大きくなっていたことをはっきりと記憶しておりますため、”リン酸はLPSに悪影響なし”ということを、自信をもっていえる所以
です。
 実際、これが初めてサンゴがある程度長期に維持できた時でした。ただ、当時はストロンチウムや海水の微量成分などの知識が無く、添加剤も適当でしたので、肉剥がれ
などを起こし、ダメにしてしまうことが多かったです。

向いている飼育生物等:サンゴ

ろ過層のメンテナンス:(当時)底面ろ過のパイプ周辺の底砂があまりに目詰まりして流量が低下したとき、排水ホースなどで砂を掃除しながら排水掃除しました。

水槽例:

(2001年頃)
水槽サイズ:90*45*45cm  底面フィルター用ポンプ:マキシジェットMJ750 ※水槽の左側でホースにつながっているものです。
  水流ポンプ:RIO800 
ライト:蛍光灯30W×4本(マリングローミラクルブルー※現在のカリビアンブルー) 
添加剤:レッドシーカルシウムプラス3、ケントエッセンシャルエレメント
人工海水:シーライフ 飼育底砂:3番サンゴ砂 

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