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照明器具専用ガイド 2020

この記事は、過去 飼育器具類のガイドと実験での一項目でした照明器具の部分を独立、追補したものです。


最終追記・訂正日:2020年10月05日
初期公開     :2020年10月04日
(2014年までの過去記事は含まず)

(分かりにくい追記・訂正部は、ピンク色の文字にしております。)

<※各記事の内容は断り無く内容を変更することがありますので何卒ご容赦の程、お願い致します。>


(読まれる前にお願い)

 ご覧いただき、有難うございます。 当店は照明器具商品は、2020年10月現在ほぼ扱いを中止しており、本記事はあくまで一般のお客様のご相談にお答えするための第三

者としての説明・資料です。はばかり大きいことながら、逆にこれらの情報を掲載したことで当店で購入され、何か不都合が生じたときに苦情の原因になってしまうことを考えま

すと、販売は一層控えさせていただきたいという気持ちです。 良識・常識ある方にはお耳汚しの極みながら、情報は有効に活用していただければ無上の喜びで、お買い物は

遠慮なく他店様でお願いしますが、ご使用や判断は一切、自己責任でお願いします。

(索引・ブックマーク) 

■LED器具の選択と使い方 (2020年) (初心者の方向け)

 ●販売されているLED器具全体の状況

 ●海水水槽では、どんな色のライト(光)が好ましいのか 

 ●LED器具のタイプ

 ●1.水槽の上にのせる”載せ型”器具

 ●2.スポットライト型LED(LED電球)器具

  ●一番の問題 固定方法

  ●特徴と有効な使い方

  ●照射角度の有効利用

  ●各水槽サイズでのランプ使用の目安

■照明器具の過去の記事(主に2014年まで) 

 蛍光灯・メタルハライドランプ・初期LEDの紹介、各照度測定結果 など

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■LED器具(2020年)の選択と使い方 (初心者の方向け) 2020年10月03日初掲載

 過去、下部にあります2014年の記事で追記が止まっており、最近の器具の説明ができておらず、申し訳ありませんでした。

あらためまして、ここに水槽用の照明器具を飼育器具ガイドから独立させて、特に初心者の方向けに改定・追補させていただきました。

 過去も照明については 飼育器具のガイドの過去部分や、サンゴ(好日性)飼育ガイドサンゴの照明・光合成・色揚がりについて でも説明してきましたが、もともと

当サイトの欠点で、随所追記するためだんだん各所がバラバラに追記になっているのでわかりづらい点、また昨今初めて飼育される方から、何をつかったらいいのかという質

問がしばしばあり、あらためて2020年9〜10月現在の段階で、製品の選択とその基準に重点を置いて基本的なことから本ページでまとめて掲載させて頂くことにしました。

●販売されているLED器具全体の状況

 これから初めての方に器具を説明する前に、余計なことかもしれませんが、過去〜現在の販売されている器具の状況をお伝えさせていただきます。

 かつて2010年くらいまでは、一般的な器具としてまず蛍光灯器具、高い出力でハイレベルなサンゴ飼育のためのメタルハライドランプ、そして当時新しくでてきていたLED

が大きな3つの選択肢としてありましたが、2020年現在、水槽用の照明はほぼすべてLEDが主流となりました。(余談ですが、かつて10万円近くしたメタルハライドランプが

、ヤフオクで中古販売しても数千円にしかならないという状態です。) 

 今どちらかというとマニア・ハイエンド向けのLED照明器具で、天井からつるすシステムライトタイプなど以前のメタハラに匹敵するもので、本体が数万円以上、設置も専用

工事などというようなLED器具は多数あります。しかし逆に、はじめて海水水槽を始められる方に「とりあえずこれが無難ですよ」とすすめられる一般的・常識的な価格で、普

通に使えてお勧めできる汎用的な物が少なく、実際に買っていただくのは多くの場合が他店で,その説明だけに毎回苦労しているという悲しい状態があります。^^;

 簡単にこれがいいとお勧めできる器具が豊富にあるなら、それを紹介するだけでこんなページは必要なかったかもしれません。

 そこで、ここでは現状を踏まえて特に初めての方でもわかりやすく、LED器具の選択や照明全体の基本的なことから浅く、大雑把に解説させていただいて、当店が知りうる

かぎりの適当な(数少ない)器具の紹介をさせて頂きたいと思います。

●海水水槽では、どんな色のライト(光)が好ましいのか 

 まず、どんな色の照明をえらんだら良いという点が初めての方にわかりにくい点だと思います。 

 巷にはGEX,コトブキ、ニッソー、テトラなど大手メーカーから白を基調としたLED器具はたくさん販売されています。これでも海水魚水槽でけっして飼えないわけではなく

、見た目と光の強さはともかく、波長的にはサンゴの育成そのものにはほぼまったく問題はありません。ちゃんと飼えますし成長もします。実際に当店の養殖サンゴのライトも

多くが家庭用の白(昼光色)LEDを使用しています。ゆえにここでは見た目の色の説明だけにし、細かい波長の話などは省かせてもらいます。

 もしサンゴ・海水魚以外の海藻や、いわゆる自家採集の”磯の生き物”等を飼う水槽でしたら、白い照明だけでもよく、むしろ自然に見えるかもしれません。

 ただ、白い光だけでは蛍光色をもつサンゴの色などは全然綺麗に見えません。くわえて水槽内の石やサンゴ砂、さらに古くなった海水もですが、薄く黄色いため全体が”黄

ばみ”がかって見えます。したがってこれらの製品は、淡水・海水両用と書いてあっても、実際は主に淡水用の器具と考えた方がいいでしょう。

 海水魚水槽用の照明は、綺麗に見せるために昔から白+青あるいは青みがかった色を基本にしており、これは過去の蛍光灯等から今のLEDでも同様です。

 そして、同じLEDのW数でも見た目上、青LEDの光は、白よりずっと弱いです。(実は照度は測定してみると同じくらいあります。) 

 LED器具で白の中に、ごく一部だけ青や赤LEDをいれたりしたものもありますが、すこしあざやかに見えるものの全体としてはほとんど白い光にしか見えません。

 海水用としては、最低でも全LEDの半分が青であるものでやっと黄ばみがなくなった感じで綺麗に見えます。これで最低限、やっと海水用という感じです。

 蛍光色を持つサンゴが綺麗に見えるためには、さらに青の割合が多いものが好ましく、また、青の光だけで飼育すると、蛍光色だけが強くうきあがる美しい幻想的なみために

なります。ただこの場合、普通の色のもの(蛍光色をもたないサンゴや魚)が鮮やかさが全然なくなって見えなくなりますので、蛍光色だけを特に浮き上がらせたいという目的

がある場合以外は、魚を中心とした水槽では白:青=1:1程度、サンゴを中心とした水槽は、白:青=1:2〜3くらいの割合の光を使用するのが多くの場合、適当だと思います。

 (※補足としまして、上記のことをカバーする意味合いからか”RGB”という色が自由に変えられるLEDがあり、それを用いた器具も発売されています。

 (製品ではゼンスイさんのマルチカラーLED等) 一見、これならなんでも対応できそうなのですが、RGBのLEDは白色の時が最大出力で、たとえば青色にした場合は他の色

 (黄色と赤色)を消して、いわば光量を削って照射しているので、白色の時よりずっと出力が弱い状態であり、実際に得られる光がどうしても少ないので光量が問題になる海

 水魚水槽では、正直あまりお勧めはできかねます。) 

  以下、30cm水槽の海水水槽でで青と白LEDの割合がそれぞれ違う照明器具を使用したときの色合いを撮影しました。

 器具の形状・タイプの違いは後述しますので、まず色合いだけを比較下さい。

       
@白:青=5:1 (置き型ライト 6W 中国製メーカー不明)           A白:青=1:1  (置き型ライト 16.9W ゼンスイシャイニングブルー)
                                                30cm用器具がなく、60cm用の器具を載せて撮影しています。

            

       

        B白:青=1:2 (スポットライト18W60° スプリング グランクリエイト)    C青のみ (スポットライト実測18W約30° (中国製Esbaybulbs led アマゾン購入)


@とCの一部拡大した比較です。青い光のみで見ると、蛍光色を持つサンゴは浮き出てとても綺麗ですが、蛍光色をもっていないサンゴは
逆に黒っぽく見えて逆にあざやかさを失います。

以下、各使用器具です。

 @     A  

   

B       C

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●LED器具のタイプ

 ここまでを踏まえて頂き、やっと器具の紹介です。 水槽に使える器具には、大きくわけて、下記の3つのタイプがあります。 詳しい説明は後述しまして、まずおおまかな

特徴だけを手荒に申します。

 1.水槽の上に載せてそのまま使える”置き型”器具   

    良い点:手軽、本体器具だけでそのまま使える。

    問題点:海水魚水槽に適した色の製品が少ない。蛍光灯時代より高価な製品が多い。   

 2.スポットライト型LED(電球型LED)

    良い点:ランプ゚が豊富、効率のよい照射、個数や角度など自由なセットがしやすい。

    問題点:水槽への固定方法が器具が意外と乏しく、費用も結構かかる。

 3.主にハイエンド向け、吊り下げ型システムライトなど (当店ではほぼ扱ったことが無く、ここは初心者の方向けの記事につき省きます。
                                                     もちろん興味のあられます方は遠慮なくご選択下さい)

●1.水槽の上にのせてそのまま使える”置き型”器具


 (2019年 ゼンスイナノスリム オーシャンブルーを用いていた当店水槽) 

 例としては上記の@、Aが該当する器具です。

 これらの器具は、従来のいわゆる水槽の上に載せるタイプの汎用的な蛍光灯器具に変わる、”載せ型”または”置き型”器具とでもいうべきものです。(この名称は当店が

勝手につけている名前です。)基本的に、これだけを購入して使える照明器具です。

 すでに申しましたように、淡水の世界では過去の蛍光灯器具にかわり最近すでに主流になっており、扱いやすい点で主に初心者の方向けの器具といえると思います。

ただ形状的に”散光型”のため、水槽の外部に漏れてしまう光も多く、同じW数でも下記で後述の”スポット型”照明に比較して照度は低いです。

 したがって、強い光を必要としないサンゴや魚用の照明としてお勧めです。 

 必要な器具の光量(出力)としましては、非常に曖昧な目安ですがソフトコーラルやLPS系ハードコーラルを飼育する前提で、30×60cm、または45×45cm程度の底面に

対して、15W程度の器具があればさしあたり飼育は可能でしょう。 (というより最初からその位の器具が多いです。)

 ここまで踏まえていただいた上で、”載せ型器具”を紹介させていただきたいのですが、残念ながら現状では海水魚用の器具は少ない上、蛍光灯時代より全体的に高価で、

初心者向けといえるのかどうか、悩む次第です。 (※当方の狭い見解のほかで、もし何かいい情報がありましたら、ぜひ教えてくださいませ。)

 上記で試験・紹介したものも一部かぶりますが、国内メーカーでは以下のような製品です。(※製品名がメーカーサイトさんへのリンクになっています。)

 ・青:白=1:1、またはそれに近い比率のライト (魚を中心とした明るい(サンゴ)水槽向けライト) 

  (ゼンスイ)シャイニングブルー   (ボルクスジャパン)グラッシーフラット マリン(R2/9月末〜発売予定ということです。)

 ・青:白=2:1 またはそれに近い比率のライト (蛍光色を持つサンゴ水槽を中心とした水槽向け)

  (ゼンスイ)ナノスリム オーシャンブルー   (ゼンスイ)ナノレビル ブルーホワイト   (アクアシステム)エルシー ブルーホワイト

 ・青のみ、またはそれに近い比率のライト (蛍光色を強く浮き上がらせたい水槽)

  (ボルクスジャパン)グラッシーフラット ディープ(R2年9月末〜発売予定ということです。)  (ラボック・旧 興和システムサービスKSS BB450

  (実勢価格は、アマゾンさんや各通販店様で、検索してみてください。 60cm用でだいたい1万円前後はしております。)

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●スポットライト型LED(LED電球) 

        
      本体製品の例です。(ボルクスジャパンさんのグラッシーレディオです)          7W程度の器具をクリップライト器具に装着して使用してる状態。

 先の照射例ではB、Cが該当する器具です。主にE26型という家庭にも使われる口金につけて使用する電球型LEDとよばれるものの一種で、いわゆるスポットライト型LED

または、LED電球と呼ばれるものです。 本体のランプだけでは使用できず、なんらかの灯具と組み合わせて使用します。(後述します。)

 国内の製品としては、(アクアシステム)アクシーファインスポットLED35Wボルクスジャパンさんからは多数の種類が発売されています。

●スポットライト器具の 一番の問題 固定方法

 スポットライトLEDの利点をもうしますまえに、まず問題を解決する内容を先にお伝えいたします。

 問題は、使用するには別途「灯具」が必要なことです。電球本体を専用のクリップライトソケットなどの器具に装着し、また水槽に設置できる器具を用いる

必要がありますが、これが下記の3通りくらい方法があるのですが、販売されている製品がそう多くなく、また場合によっては結構な費用になります。 

  ●方法1.ソケット固定具一体型器具 を用いる

 

  主にフレームレスタンク専用で、ソケットと水槽への固定具が一体となったものです。水槽に設置できるかどうか、水槽の厚みなどをよく確認する必要があります。

  以下が主な現行の器具です。 ※下記はすべてアマゾンの商品ページのリンクになっています。メーカーサイトは、上記までのリンクを利用ください。

    (ボルクスジャパン)レディオアーム (カミハタ)ネオアーム (アクアシステム)アクシーファインスポット ※

  ※アクシーファインスポットは、メーカーとしては同社のランプのみを正式な対象ランプとしており、それ以外のランプは自己責任で用いる必要があります。

  また電球をとりつけるソケット部分が細く奥行きがあるのでランプによってはとどかない場合も多いため、その際は下記のような延長用ソケットが必要です。  

  ただ、本体価格が¥2500〜2900、延長用ソケットは¥200〜300 程度で実現でき、比較的安価な方法であります。


上記写真で用いていた、本体と延長用ソケットです。 

 ●方法2.クリップソケットライト + アクリル製のスタンド を用いる方法 ※フレームレスタンクの場合

 まず、観賞魚用品に限らず、LED等の電球を接続し、クリップでどこかに固定してつかえる”クリップライトソケット”と一般に呼ばれる器具があります。

 ただ、これは普通、形状的にそのまま水槽に固定できないため、別途、これを水槽に固定できるようにするために、主にアクリル製のスタンドが数社から販売されています。

 これをまず水槽につけ、これにクリップライトをはさんで固定して使う方法です。

 上記のクリップライト製品の他、一般観賞魚メーカーからでているお品は下記のようなものです。

   クリップライトソケット: (ボルクスジャパン)レディオクリップ シリーズ カミハタ) クリップスタンド アクア (アマゾンへのリンクです。)  

   アクリル製スタンド: (スプリング端材工房)ライトスタンド 直型  (トゥービック)クリアライトスタンド など     

 ●方法3.クリップライト + アーチ台 を用いる


(当店には市販のアーチ台が無く、この写真は自作の木製アーチ台です。すみません。)

  水槽本体にまず専用のアーチ台を用いて、それにクリップライトソケットを設置する方法です。上記の方法1、2をとれず、他に固定できる場所もなく、いい方法がない主

にフレームのあるような水槽、アクリル水槽などで使用します。基本的には大きな水槽向けの選択肢と思われ、大きな水槽なら価格的に相応でやむを得ないという気がし

ますが、60cm水槽までの水槽には正直、費用的に割高という気が否めません。主な市販商品は下記の通りです。

  (ボルクスジャパン) レディオアーチ シリーズ  (カミハタ)アーチスライドシリーズ  コトブキアームスライド ※廃盤で在庫限り

  ※ほか、大手通販店様などのオリジナルな製品もあるようです。

●スポットLEDの特徴 と 有効な使い方

 スポット型LEDはランプの選択肢も比較的多く、E26型の口金に合うもので灯具の許容範囲内の消費電力なら基本的に何でも使えます。国内メーカーの他、アマゾンなどで

も安く買えるものもあるので、固定方法さえ整えば選択の幅は広いといえます。(ただし中国製のものは故障等の可能性が高いものもあるので重々ご承知下さい。)

 個人的には、サンゴ飼育を本格的にするならこちらスポット型ライトをお勧めしたいです。個数とランプ、照射位置、方向などが自由に決められるので、ある意味ではマニア

 、こだわり派向けと言えるのでではないか、とも思います。

●照射角度の有効利用

 次に、もっとも大きな特徴が、過去の記事でも書いていますがスポットLED器具の大きな利点は、照射方向・範囲を限定でき「照らしたいところだけを強く照らせる。」

「散光が少ない」ということで、光源の小さいLEDのもっともよい所を生かすことができている器具であると思います。

 照射する範囲の角度(以下、照射角度)が30度、60度、80度等があって各製品によって違います。(レンズの交換で調整できるものもあります。)

 ※ただしこの数字の角度、照射範囲はあくまで目安で、実際はかなり曖昧です。

 この各機の照射範囲(角度)が大変重要なポイントで、広いものほど大幅に散光し、狭いものほど局所的に強くなります。

 下記の画像は、以前LED電球の販売ページにつかっていたものですが照射角度の違う60度と80度での違いをあらわしたものです。80度などとされる器具はかなり範囲が

広くなるものが多く、幅または奥行30〜45cmの水槽ではガラス面を透過する部分が多くなることをあらわしたものです。

 

 意外と意識されていないのがこの「ガラス面を透過させないように照射する」ということで、透過する光はそもそも無駄になっている光でしかも「コケ」の発生を招くため、できる

だけ、水槽の底面(またはサンゴ)だけを照射するような照明の仕方が好ましいです。

 特に上記の照射例B、Cでもそうですが、特に60度(以下)の照射角度のものは水槽の底面だけを効果的に照らせ、不要な光の散光が1.の置き型ライトよりずっと少ない

ので、効率的です。 ミドリイシなど強い光を必要とするものでも、ライトから30cm前後の直下に置くことで、一灯でも強く十分な光が足りる場合が多いです。

 そこで、どれくらいの光(W数)・高さ・奥行と幅のところに照射したとき、各サンゴに適した光量になるのかをだいたいの目安にあらわしたのが下記の図です。

 左の図は、Zが水底から照明までの距離(高さ)、Xが水槽の奥行または幅、Rがランプ照射角度、Wがランプの消費電力(パワーの目安)をあらわしています。

 右の図はその一例として、奥行きと高さ45cmの水槽に約20W前後、照射角度60°のランプ1個を用いた状態と、適したサンゴの置き場所をあらわしたものです。

       

 図のように、60度のランプの場合、あくまで目安で器具によっても差異はありますすが実際につかってみると X と Z がだいたい同じ距離で底面部分だけが照射され、

ランプの真下(直下)に近いほど明るいです。照射範囲を広げたい場合、上面にスペースがあれば、Zを大きくし、ランプの設置場所を高くする方法を取ります。

 実例としまして、90*45*45cn水槽でこの値をあてて2灯のランプで管理しているのが以下の水槽です。

       
(左)当店の一般サンゴの在庫水槽です。18W60度(スプリング グランクリエイト)のランプを90*45*45cm水槽で2個、用いて、底面にサンゴを置いています。 
(右)2020/3/13頃、比較的在庫していたサンゴが多いときの写真です。ランプ直下でなくてもLPSには十分な光量があるように思います。

●各水槽サイズでのランプ使用の目安

また上記から鑑み、各水槽で約10〜20Wランプを用いた場合の各水槽サイズでの最低限、必要と思われるランプの目安を下記に表にしてみました。

こちらも当店で採用している基準とほぼ同じです。(あくまでおおまかな目安で、場合によっては大いに変動します)

 

LPS・ソフトコーラル等を飼育する場合

  (強い光を必要とする)
浅場のSPS等を飼育する場合
水槽の大きさ 
(幅×奥行×高さ)

W(消費電力)
×個数

R
(ランプの照射角度)

 

W(消費電力)
(×個数)

R
(ランプの照射角度)

30×30×30cm

10〜15×1 60°   20 30°〜60°
60*30*36cm 20×1 80° ※   20×2 30°〜60°
45*45*45cm 20×1 60°   20×2 60°

60*45*45cm

20×2

60°   20×2〜3 60°

90*45*45cm

20×2

60°   20×4 60°
※80°のランプは当店では普段あまり利用しませんが、30〜36cmなど比較的浅い水槽で光を必要としないLPSやソフトコーラルでは広い範囲を一灯でカバーできる意味で、

上記のように用いることがあります。

 一応、上記までが2020年10月追記分の器具使用の解説とさせていただきます。以下、照明に関連する記事ですのでもしご参考になりましたら幸いです。

 サンゴの照明・光合成・色揚がりについて  

余談 大手メーカーさん、ぜひ検討をお願いします。 海水水槽用の汎用LED器具  

 上記でも一部こぼさせていただきましたが、不思議なことは2010年頃から本格的に観賞魚にLEDが使用されるようになってもう10年程度にもなりますが、スポット型など

他の形状のライトでも、2020年9月現在でも大手のメーカー(GEX,コトブキ、ニッソー、テトラ等)からはすでに紹介した淡水・水草のための白を基調とした器具はたくさんあ

りますが、上記のような海水魚用の色合いの器具が、ほとんど出ていないという状況にあります。また、電球型ライトを水槽に固定・設置する器具も、豊富とは言えません。

 したがって、大手以外の特定器具のメーカーさんしかなく、価格も蛍光灯の時代よりずっと高価で、商品の入れ替わりも多くなります。

 大手メーカーさんは海水市場をもはや諦めているのか?と思ってしまうほどです。

 以前の蛍光灯の時代は水槽各サイズにむけて、1〜3灯式など、汎用的な器具があり、そこにたとえばブルー系のランプとしてニッソー(PG-B)、コトブキ(ブルックス)

、スドー(カリビアンブルー)、興和(BB450)とブルー系の蛍光ランプが豊富に出ていて、ホームセンターにもよく置いてあったので手軽に入手でき、球を交換して自由な組み

合わせができたのですが、LEDは交換ができない上高価です。ハイエンド向けのシステムライトなどは豊富にありますが、ローエンド向けの器具が本当に少ないです。

 メーカーさんも、不景気で売れない売れないといっているなら、もうすこし、あきらかに定番に”当たり前につかえる”器具をだしてはどうかと思います。

 まずは今現行の淡水用の器具を、そのままLEDだけいれかえて、青:白=2:1の、”海水で普通につかえる載せ型ライト”を、現実的なお値段で出してほしいです。 

 あるいは、スポット型LED電球を水槽で普通に使える器具(上記、アクシーファインスポットのような)を、大手メーカーさんも球と一緒に考えてくれないものでしょうか。

 私達工作ができて勝手がわかっている人間は自分で器具を作ってスポットライトを上手に使えたりしますが、初めての方にお勧めする手法が本当にこまってしまう現状にあ

ります。ライトひとつ照らすのに、例えばスポットライト器具なら、電球本体がまず約1万円、クリップライト約¥2000、場合によってさらに固定器具が¥2500〜10000では、昔よ

りはるかに皆がお金がないときに、こんなものしかないなど非現実的です。現に、アーチ器具などはニッソーもコトブキももう廃盤になっています。

 なんで前商品と似たような新商品をどんどん出すのに、海水用の当たり前の照明器具を当たり前につくってくれないのか理解に苦しみます。海水市場をもう捨てているなら仕

方がありませんが、そうでないなら、今からでも考え直していただきたい次第です。私も業者さんに稀に会う機会にはこの話をよくしております。

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照明器具-過去の記事(主に2014年までの記事)  2010年8月18日記述 (2014/4/14訂正)

※以下の記事は、本格的なLED器具が登場した2010年頃の古い記事ですが、照度の測定結果などもあり、参考に残しています。

●LED照明器具の紹介 2010年8月18日記述


購入後レンズの照射範囲の選択が可能な電球型LED器具(アクシーファインスポットLED)です。 

 LEDの照明のパワーが最近目覚しく上昇してきています。昨今、問い合わせや相談が多く、当方で実験水槽での導入を行っておりましたので、特にメタハラとの比較点など
をご報告します。 
 LED照明は、登場時は本体が高価であったと同時に同じ費用では光量がメタハラには到底及ばないものでした。点光源としての見た目の美しさ以外では蛍光灯を使用した
ほうがはるかに明るく効率的で、ミドリイシなどの飼育でパワーの必要な場合はメタハラをメインに使用する以外選択肢が無かった状態でした。
 しかし、1個3WのLED球が登場し、21W,27Wなどの機器が価格¥15000〜¥23000程度で販売されるようになり、状況が変わってきました。

LEDを使うなら、レンズ付きスポットタイプの”電球型”(上記写真のようなもの)がお勧め 

 LEDは、消費電力に対する発光効率自体は蛍光灯とあまり変わらず、むしろ蛍光灯の方が良い場合もあります。(よくエコと言われていますのは、あくまで白熱電球とくらべ
てのこと、
他は寿命です。)
ただ、LEDには非常に大きな利点があり、もともとLED球自体に指向性(照射範囲・角度の限定性)がある程度あり、さらに光源が小さく”点光源”に近いため、適切な反射鏡
やレンズが用いられた電球製品は、照射したい場所だけを大変効率よく照らせることです。これは非常に大きなことで、逆に言えば蛍光灯の光は、実際に放射されている光の
多くがサンゴ・または水底以外の関係のない方向に散光してしまっている、ということが言えます。

 そこで、上記レンズ付のスポットタイプのLED電球を用いると、照らされているサンゴが強く明るくなり、他の場所や岩の裏側などははっきりと暗く、陰影・メリハリの効いた見
た目になり、しかも結果的に蛍光灯の半分程度の消費電力で数倍の(水底部分の)照度を得られます。
 たとえば60*45*45cm水槽で、蛍光灯なら20W×4本くらいは欲しい状態でも、LED電球では20W2灯でそれよりはるかに高い(水底部分の)照度を得る事ができます。
(ためしにレンズをはずして使用しますと、底面の照度は激減し、光は大幅に散光してしまいます。)さらに水面が揺れているとこれがレンズの役目を果たし、水底がキラキラと
して陰影が強い水槽になり、見た目になんとなく綺麗で高級な印象ともいえると思います。
さらに、ガラス面に光が透過しないよう角度をつければ、藻類の発生もかなり抑えることができます。

かつて販売していましたR.P.LED、現在のアクアシステムさんのアクシーファインスポット、ボルクスジャパンさんのグラッシーレディオシリーズなどもそれに該当します。
 あと電球型LEDの利点は、複数の水槽があり、複数の照明を用いるとき、各水槽で個数や必要照度を調製し、自由に使い回しがしやすいことです。
ただ、本体以外にクリップライト器具と、それを固定するアーチ台などを別途用意しなければならないのが費用的にやや負担がある点です。 

 他、LED器具でもLED球が平面に普通に点在するように配置され、レンズが無い器具、また蛍光灯型LED等もあります。これらは多くが水槽にそのまま設置できるため、設
置は容易ですが、普通の蛍光灯に近い照射状態となってしまうため、LEDの良いところがあまり生かせず、結果的にそういう器具を規定どおりの使い方をした場合、蛍
光灯器具よりW数が低いものでは見ためがあきらかに暗くなってしまう場合が多いです。

(追記:もちろん、全方向に放射する蛍光灯と違ってLED球は下向きについており、また球自体に指向性(放射角度の限定性)がある程度あるので、蛍光灯よりはずっと効率
は良いです。)

長々と申しましたが、あえてLEDを用いるなら、レンズ付きのLED電球等を用いた方が、LEDとしての意味をより発揮できると申せましょう。
また、波長へのこだわりさえなければ、十分にメタハラの代用となり、同程度の水槽の底面照度を実現した場合に比較にならないほど少ない発熱・消費電力です。

 
             (右)電球型LEDを多灯した水槽です。(当店の過去LED試験水槽です)

・必要数の目安

 あくまでまったくの目安ですが、各水槽でアクシーファインスポットLED20Wなど、20WレベルのスポットLED電球を用いてSPSを飼育する際の必要台数をお知らせします。

水槽の大きさ

20WLEDスポット電球の必要個数

150Wメタハラの照度で換算した数

60*30*36cm

2個

1台

60*45*45cm

3〜4個

1台

90*45*45cm

4〜6個

2台

各照明の50cm下での照度測定 2020/5/30 整理・見苦しい部分を修正しました。

 LEDのほか、メタハラや蛍光灯などの50cm直下の(0cm)から5cm刻みで平面にずらして照度を測定しました。
 (スーパークール115サンホワイト集光、一般の散光型メタハラとしてTFW150w、エムズワンさんのME-250も測定しました。)

 測定条件・測定の様子など

 床は白色。部屋の他の明かりをすべて消灯して測定。光源と床の距離が50cmになるように調整し。直下照度(0cm)はもっとも照度が高くなる前後位置で測定。
 直下から、5cm刻みで平面にずらして、各照度を測定。  
測定器具:佐藤商事ライトメーター

 測定結果  

 実際の測定時は、値が上下に変動し続けますため、上記の結果にはだいたいの平均値を掲載しています。
 
 ※スーパークール115の15cm、30cmの値は、それぞれ20cm、40cmの地点で測定した後、計算から割合で出した値です。
 不正確な恐れがありますのでご容赦願います。

機種 実際消費電力
照射角度(概算) 0cm
(直下)
5cm 10cm 15cm 20cm 25cm 30cm 35cm 40cm 45cm 50cm
R.P.LED(旧製品)パワーマリンブルーU 21 約60度 16610 13690 8526 4884 2680 1382 760 424 266 176 130
R.P.LED(旧製品)スポットマリンブルー 15 約30 22560 17780 9327 3317 973 443 234 168 111 80 68
R.P.LED(旧製品)マリンブルー 15 約80 3700 3500 3300 2500 1900 1450 900 550 340 200 130
以下、他の照明・メタハラなどの測定結果                          
三波長昼光色20W蛍光灯*1灯(直管)
蛍光灯に平行して測定 (2015・1・13追記)
22   600 550 540 528 480 440 381 336 280 240 200
スーパークール115マリンブルー集中光 150   18300     8600※     2500※        
スーパークール115サンホワイト集中光 150   35000     12500※     3500※        
T.F.W.インターナショナルサンライトS150W
リーフ球(ブルー)
150   3058     2600     1513        
T.F.W.インターナショナルサンライトS150W
アクア球(10000K)
過去の測定比較値より
上記リーフ球×1.8から算出した計算予想値です。 
150   5500     4680     2723        
エムズワンME-250 10000k(250W) 250   13500     11400     7690        


ロイヤルブルー・紫外線波長をもつLEDの効果 
(2016/5/26)

 紫外線のLEDが含まれているLEDでは殺菌効果があるのではということを考えておりましたが、普通の殺菌灯の場合、サンゴにも悪影響がありますので、あまり含まれて
いないと思います。
 (ちなみに、こちらの実験では蛍光灯の紫外線を水上から照射し、数種のサンゴで試したところ数十分〜1時間の照射で翌日にはほぼ全滅してしまいました。)

 そのため、いわゆる殺菌効果のある波長はほぼ入っていないと思われますので、殺菌効果は望めないと思います。(逆に、あるようでは生体にも危険になります。)
普通、照明用のライトに含まれているのは、近紫外線というほぼ有害ではない紫外線に近い波長で、これはサンゴの蛍光色の維持・増強に効果が見られます。
 ただ、この波長はLED球では”ロイヤルブルー”球の色にも入っているため、結果、実際の見た目の照明効果とあわせて、こちらではUVまでは必要ないと判断し、
ロイヤルブルーでよく、より便利・適切と考えています。実際に、こちらではウミキノコに、UVの入ったブルーライト、別途、ロイヤルブルーだけのもの
 双方で試しておりますが、同様の効果が見込め、あきらかに普通のブルー球では色があせてしまいました。 

 波長についての詳しくは サンゴの照明・光合成・色揚がりについて にも掲載しております。

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 蛍光灯について

 特徴

 ・ランプが大変豊富で、色々な色を選びやすいです。
 ・熱の放出がメタハラより少ないです。(→クーラーを使用しなくても管理ができる可能性が高くなります。)
 ・集中照射に向かず、大変散光した灯具、ランプであることが多く、蛍光灯で飼育できるサンゴでもあまり水深が深い場所への照明は不適で、通常、深さ45m未満、限界で
  も60cm程度の水深の水槽がよいと考えられます。したがって、通常の水槽であればたいがい向いているといえます。
 ・一般に漠然と、メタハラの方が明るいといわれますが、同W数では、電気の変換効率は蛍光灯の方がずっと効率が高いです。
 ・実際に必要な蛍光灯の本数は一概に言えないと思いますが、だいたい下の表を参考にしていただけたらよいかと思います。
  また、水深45cmまでの水槽であれば、水槽の奥行き10cmごとに蛍光灯が1本ついている状態が好ましいと思います。

 メタルハライドランプについて

 特徴

 ・光源の形状が点光源であり、器具によって、散光型と集光型があります。集中照射では部分的に強い光が得やすく、ミドリイシなどSPSを中心に飼育する際は、単に光合
  成で育てるだけでなく、増えすぎた褐虫藻を除去する役目も果たしているらしいため、この強い集中光はあったほうが有利です。
  また器具の形状上、多灯しやすく必要な場合は沢山の光を得ることもできます。
 ・点光源であるため、水槽内に水面の波による反射や、魚や生態の陰影がはっきりとで、蛍光灯には無い美しいコントラストの状態を楽しむことができます。
 ・ランプ、灯具にもよりますが、LPSやソフトコーラルまた時にはSPSでもメタハラの直下での照射は光が強すぎて死なせてしまうこともあります。
  推測ですが、これは光源の力が強すぎる場合以外に、波立ちなどで水面がレンズの役割を果たし、局所的に非常に強い光がサンゴに悪影響を及ぼしている可能性を考え
  ています。逆にこれがSPSでは良い方向に働いている場合もあるのではと思います。※ミドリイシと照明の関係につきましては、
こちらのSPS補足飼育ガイドをご覧下さい。

 実際の照度測定

  ここには、機関誌BL3、5号において測定いたしました、60*30*36cm規格水槽での照明の簡単な測定結果を報告します。(詳しくは、機関誌に掲載しております。)

(各測定の状態)

    
 左から、蛍光灯一灯式・スーパールミックス、サンライトH150(スタンドに、同社のアクアアーチ使用 ランプから照度計までの距離は約50cmです。)
、スーパークール115(スーパークール115は、サンライトの専用スタンド アクアアーチを使用して測定しました。ランプから照度計までの距離は約45cm程度です)

条件:暗室
測定器具:佐藤商事ライトメーター
蛍光灯器具:ニッソーカラーライト1灯式、および2灯式、
メタハラ:TFWインターナショナルサンライトH150、
スーパークール115

   

-測照度測定結果-

ランプ・灯具

照度(lx)(水槽底中央部) 
<蛍光灯 一灯式 (ニッソー)>  
KS-12000K(興和) 1800
KS-17000ケルビン(興和) 1670
KS-BB450(興和) 1100
PG-U(ニッソー) 970
PG-B(ニッソー) 730
カリビアンブルー(スドー) 1200
メロウ5D(家庭用三波長昼光色・東芝) 1720(水槽端1200)
メロウ5D(アルミホイルでミラー設置) 2400
<蛍光灯 二灯式 (ニッソーカラーライト)>  
反射ミラー付きを用い、17000kと12000kを1本づつ使用 3800
上記と同じものを2機(すなわち4灯)使用 7000
<蛍光灯 インバーター スーパールミックス600>  
ランプ:ブルー&ホワイトW約  7500

<メタハラT.F.W.インターナショナルサンライトH150>
(150W)

 
マルチランプ 13700
アクアランプ 7800
リーフ(半年使用) 4400
<メタハラ ランプネットワーク スーパークール115>
(150W)
 
サンホワイト集光型 85000
マリンブルー集光型 32000(6400)
マリンブルー集光型(半年使用) 30000