活性底面法と還元ろ過、還元ろ過BOX自作サポートなど
初掲載:2005/10/5 最終更新日:2012/3/8
このページは、活性底面BOXや還元ろ過そのものについて、さらに詳しい解説や当店の実験データなどをご紹介するページです。自作法もありますので参考になりましたら幸いです。
観賞魚の世界でいう還元ろ過とは、還元ろ過細菌を利用して硝酸塩(NO3)を解消することです。別名、”脱窒素”ともいいます。 還元ろ過の原理を簡単に表しますと、 反応@ 硝酸塩(NO3)→亜硝酸(NO2) という反応を起こし、これまで水中にたまっていくだけで水替えなどで取り除くしかなかった硝酸塩を常に低い濃度に保つものです。 還元ろ過を行う細菌は、自分でエネルギーを作らず、他のエネルギーを使って活動する従属栄養細菌であるため、別途エサになるものが必要です。これが今まで 還元ろ過というものは、危険性もはらんだろ過で、硝酸塩を解消するまでの過程で必然的に亜硝酸が発生し、また還元素材は細菌のエサになるものであり、安定ま ・水槽内の細菌と、還元ろ過製品について 補足( 還元ろ過細菌他、あらゆる細菌が普通の水槽にはすでに存在を
しておりまして、それらが好む環境やエサの量によって、活動・効果や
細菌数が自然に決まってく |
当方の活性底面BOXを主に例にとりまして、使用前に、本体を飼育水に3日間浸け込む「養生」をお願いしております。 その理由は、特に飼育水につけると1日〜3日目の細菌の繁殖が不安定な時期に上記 0.の反応@だけが多く起こる 飼育水槽内は、基本的に好気的です。しかし、還元ろ過はろ過器内が嫌気的にならなければ活動できません。ろ過器内に最近が沢山繁殖し、べったりとした |
私は、これまで自身の活性底面BOXの使用実験、およびお客さんからの声から還元ろ過が効きにくい場合などのデータをあつめ、その原因を追究してきました。 このほど、また新しい事が分かりましたのでここでご報告いたします。まず、以前から当方の「濾過器の安定・ヘドロと硝酸塩・還元濾過の関係」というコラムで、 さしあたり、「水槽内にヘドロがあるとそれが溶解するため、硝酸塩が減りにくい。そのため、一旦ウールマットなどを魚の病気が出ないように交換・掃除する」という ことを勧めてきました。さしあたり、それは大筋においてそのとおりだったのですが、活性底面BOXを設置すると、水槽内の別の場所にある有機物やヘドロそのもの を、分解する作用が確認されました。具体的には、活性底面BOXを設置すると、物理ろ過のために使用しているウールマットの汚れや、生物ろ過層のろ材の間に 詰まっている茶色いヘドロが、だんだんとなくなってくるのです。 仮説ですが、活性底面BOX内で還元ろ過細菌のほかに増殖した有機物分解細菌がBOXから離れてウールなどの濾過槽に定着し、このような分解作用が起き ているのだと考えられます。 これは、必ずしも良い面だけではなく、本来、溶解する前に取り出すべき有機物が分解されてしまうということは、硝酸塩の増加を招きます。そして、おそらくこれ すなわち、還元ろ過細菌による窒素の除去効果と、同様に増殖した有機物分解効果によって硝酸塩もで出てくるため、見た目の効果が相殺されてしまうのです。 また、この分解効果がよく起きるのは、濾過槽でも水がよく流れている場所だけ起きておりウールやろ材中のヘドロは分解されますが、底に沈殿しているような 、中々硝酸塩が下がらないなあという水槽で、ウールだけを交換すると、2〜3日後くらいにストンと硝酸塩が減っている現象がおきます。 (撮影日2月13日)このとき、すでに還元ろ過(活性底面BOX)を少なめに使用していたのですが、こののち、実験用活性底面BOXを約3倍くらいに増やして
これが現在(2005年10月1日撮影)の状態です。ウールはほとんど真っ白の状態になり、交換直後より綺麗になってしまいました。 ただし、これは極端な例で、この間、当方では活性底面BOXのさまざまな実験をこの水槽で行っていたなか、不完全な構造の活性底面BOX また、もうひとつ同じような事がおきました。以下の写真は、前ページのカクレ、ハマクマノミのはいった実験水槽の上部フィルターをフタをあけて撮影したもの これらの結果から、まだぼんやりとですが、活性底面BOXには目に見えた有機物の分解効果、またそれによるさまざまな影響もあるということが分かってきま |
こちら、安全性についてのご注意喚起を含め、別ページに移動しました。
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実は今発売されている硝酸塩のテスターで、正確不正確はともかく、もっとも敏感に反応するもののひとつは、テトラのNO3試験紙テスターです。 |
最近、少し皆さん硝酸塩に神経質すぎるようです。 ちなみに、10ppm程度の硝酸塩は、多少ヘドロで汚れている水槽内の砂を魚がかき回したり、人間が水槽で作業しただけでも簡単に発生します。 よく、「大変です。硝酸塩が突然10ppmになりました。いったいなぜでしょう。」とか「10ppmから下がりません。還元BOXが効いていないのでしょうか・・」というよ 硝酸塩というものは、本来、そんなに簡単に除去できるものではないのです。いまでこそ、色々な還元ろ過、安定したサンゴ中心のベルリン式などで除去ができる |
内容が似通っていますので、こちらのページにまとめました。一部上記と重複している個所もありますがアーカイブ的に掲載します。) |
2005年2月23日記述 個別のこういった素朴な研究的コラムは久しぶりでゴザイマス。ここでは、硝酸塩と、水槽にたまるヘドロの関係、そして、 それにかかわる濾過・還元ろ過の観点から、実験で判明したことを報告・解説をしていきたいと思っております。 還元ろ過をしても硝酸塩が下がらない水槽がある 以前から、還元BOXや還元ろ過を行っても中々硝酸塩の減らない水槽というのが内外で時々見られまして、その原因を追求 していたところ、ようやく答えがでました。それは、いわば濾過器の目詰まりや、また水槽や濾過層のそこにたまるゴミやヘドロ がその原因になっているということです。いわば、これらは硝酸塩予備軍ともいえるものでしょう。これは、たまっていくわけでから いきなり硝酸塩になっているわけではなく、その体積量が増えるにしたがって、すこしづつ溶解し、発生するのだと思われます。 簡単な実験をしてみました。 @下の水槽は、うちの店の収容水槽のひとつですが、上部フィルターにウールマットだけを入れ、底は粒径1mmくらいの砂を 平均で約5cmほど敷いています。設置してからすでに一年以上経過しています。この水槽は、活性底面BOXを入れてあります がまだ十分に効力がのこっているにもかかわらず、硝酸塩が25-30ppm前後あり、また魚がいない時間を長期間すぎても、 濃度がほとんどかわらず、年中この濃度でした。そして、上部フィルターのウールマットは約半年前に交換したのが最後でした。 Aこの水槽で、魚がいないときに、水槽の底砂を手でかなりかき回してみました。砂のあいだからはいくらかの汚れが舞い上 がり、その約まる1日後、硝酸塩を測定してみたところ、前日まで25-30ppmであった硝酸塩が、一気に70ppm近くまで あがっていました。これは、砂をかき回したためにヘドロを舞い上げ、それが水中で強制的に溶解したり、また濾過器にかかって 溶解したりしたのだと考えられます。いわば、たまっていて少しずつ溶解していっていたヘドロの一部が物理的に強制的に溶解し 結果的に硝酸塩濃度も上昇したと思われます。 Bさあ、これからが面白いです。砂を巻き上げたあと、もう念入りに巻き上げ、砂を掃除して砂の汚れをできるだけ上部フィルタ ーにあつまるようにしてみました。そして、1日経過して水が透明になり、汚れが上部フィルターにたまったところで上部フィルターの 汚れたウールを全部交換し、新品にし、3日間ほど経過させました。その後、硝酸塩を測定してみましたら、見事に5ppm前後に 下がっていました。 水の硝酸塩はすぐに下がる。 上の簡単な実験結果から察するに、硝酸塩はやはり水槽内にたまっていくところの、物理的な汚れからも溶出している部分が 多く、時間がたって堆積すればするほど慢性的に発生してきます。しかし、逆に水中に今あるだけの硝酸塩なら、以外に早く 還元濾過で除去できるわけです。 日記にも書きましたが、新しい還元BOXを2週間水槽内で養生したものを使用して、 50ppmの硝酸塩を含む5Lの水のそれを、40時間以内でほぼなくしてしまえる能力をもっています。 小型水槽での飼育方針 それなら、いったいどうすればいいかということですが、まず今回の実験水槽のようなうちが「海水館式」などと言っている魚を 中心とした飼育方法の場合は、1ヶ月に1回くらいはウールを洗ったり、また基本的に水替えをあまりしない飼育なのですから、 水槽内の掃除もあまりしないということで、水槽の底砂を掃除する生き物を入れておき、汚れが上部フィルターに集中するように しておくと、効果的だと考えられます。 また、病気の面は残念ながら後述するようなオーバーフロー式などの「濾過器の安定」による治癒能力をやはり もちにくいため、薬品による治療をいつでもできるように準備をしておいたほうがいいと思います。 オーバーフロー式ウエット濾過の真の価値 ヘドロは味方?濾過器の汚れはある意味歓迎 私が結構、魚水槽での薬品使用を進めるので、そうは思われていない方も多いと思いますが、本来は私も硫酸銅否定派である のです。(そのために、低比重法併用のほかの薬品をつかった白点治療法などを必死こいて考えたわけですから・・。)本来、海水 魚の魚飼育で最終的に目指すべきだとかんがえていますのは、以前からほかの項でものべましたように、「ウエットフィルターによる 最終的な安定」です。これは、残念ながら、多くの場合にオーバーフロー式くらいの容量がないとなかなか難しい面があるのは たしかです。しかし、最近あまりにも硝酸塩ばかりの話が多く、ウエットフィルターからベルリン式にのりかえた方も多いと聞きます。 しかし、実際にはどうだったでしょうか。硝酸塩は減ったかもしれませんが、病気が出たり、また出たときに治療できない状況に 陥って、結果的に魚が短命におわっているようなことはないでしょうか。仮に今病気がでていなかったとしても、いつでるかわから ない状態でヒヤヒヤしながら飼っているのは辛いものがあります。 上の話とは逆になってしまいますが、堆積するヘドロやゴミによる目詰まりというのは、かならずしもマイナスばかりではないと 思うのです。 サンゴ砂や、あるいはいろいろなろ材をつかった大きなウエットフィルターは、数ヶ月〜1念くらい使用しますと、単なる ろ過能力だけでなく、「本来の安定」がでてきて、実感できるようになります。これは、なんの安定化といいますと、まず病気に対する 安定です。ほとんど病気がでなくなります。白点はもちろん、魚がケガをしても、化膿も糜爛(びらん)もすることなく、自然に治癒しま す。そして水の透明度が非常に高いです。また仮に硝酸塩が50ppm以上もあるような状態でも、魚は元気であり、なんとなく魚が 悠々としていて非常に安心して飼育ができます。私の家の水槽も、2002年に引越しし、2003年頃に水槽をつくって、半年以上前 からようやくこの状態になりました。(これはガイドの飼育記録にあるとおりです) 上の写真は、濾過器の一部ですが、砂の間にゴミというかヘドロがつまっています。この状態は、硝酸塩が増えるという点では 確かにマイナス要因ですが、水をきれいにしているいわば「ヘドロによるフィルター」として機能している面があります。無論、ここまで 目に見えて目詰まりがおきていなくても、十分に安定した状態はつくれますし、できれば、こういう目に見えて目詰まりしている状態に ならずに長期間安定させたほうが、硝酸塩の増加の意味ではプラスだとおもいますが、これは極端な例としてみたってください。 どちらにしても、長期間使用し、ある程度ろ材のこまかいウエットフィルターの安定は魚を飼育するときには「宝」と言えるでしょう。 ある程度目詰まりした濾過器の部分が、細菌レベルの大きさの物理的なろ過による安定ということが望める点では、非常に大きな メリットであると考えます。こうなると、前述の小型水槽での飼育法の方針とまるで逆になってしまいます。 無論、こういった濾過器の場所は、絶対にいじらないようにし、いかに掃除などせずにながく使用できるかがポイントです。 この濾過層にいたる前の部分で、ウールやあるいは沈殿を利用して物理的なろ過を行っておき、生物ろ材にたまろうとするゴミや ヘドロをあらかじめ取り除けるようにしておき、また1ヶ月1回は交換することで、ながく交換していかなった部分を急激にかえ、 病気がでないようにしておくとベストだとおもいます。(このシステムの場合、90*45*45cm2本、濾過層も90同サイズの 3段水槽システムで、ポンプの実質的な流量はわずかに15Lです。それが逆に、濾過層が少々めづまりしても、水が流れなくなる などということがおきにくい原因のひとつです。単純に、ポンプのちからが弱いのであんまり流れていないわけです。それでも水の 透明度は抜群です。)そして、やや強めの還元濾過をくわえ、濾過器に多少はたまっていくであろうヘドロの溶解くらいには対応で きるようにし、魚中心の一般的な水槽であれば、硝酸塩を30ppm以内にしてくことができれば、十分に長期飼育は可能だと思い ます。(もちろんスキマーの設置も、汚れの除去という意味では歓迎です) まとめ ヘドロとどうつきあうか ここで実験・紹介した小型水槽では、いわば水槽内のヘドロは一切排除する方針です。また、オーバーフローなどでのウエットろ過 では、濾過器内には安定の意味をこめて掃除せず、ある程度必然的にたまるヘドロを水質浄化のために濾過器をさわらず残す、 というのがとりあえずのおすすめであります。(今のところです^^後々意見がかわったらご勘弁お) まあ、女性ともつきあってもないのにヘドロと付き合うのは正直気が重いですが、まあ所詮はヘドロのような人生ですし、吸い出され て便所にながされるのも一興だと 本気で思う今日この頃であります。(ヘドロをたくさん含んだ廃水は、水道に流さず、できるだけトイ レに流しましょう!) |