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  養殖サンゴ室たより (ご紹介)

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 お知らせ・後悔日誌でもお伝えさせていただきましたが、当店は2021年9月に奈良の店を閉店させて頂き、以後は長崎の野母崎に戻って療養しつつ、

2023年7月に「海水館 NOMOZAKI」として復活させていただく前年の、2022年6月頃から少しづつサンゴ・海藻の販売をやむなく生活費を出すため個人としてヤフオク・

メルカリでさせて頂いておりました。

 奈良の頃に比べれば数分の一の規模で、まだまだの状態ですが、細やかに運営させていただいております。以下が7月のシステムや、7/18での現状です。

   
(左)システム全体です。合計で約1000Lです。 過去のように還元BOXなどは使用しておらず、海藻による吸収だけで硝酸塩は0ppmです。
(右)ハナヅタブルーです。 

   
(左)今回、はじめて本格的に養殖をしてみたハナタテサンゴです。陰日ですが大変育てやすいです。1〜2日一回、粉末にしたエサを与えています。
(右)スターポリプです。センターと淵がグリーンのいわゆる石垣タイプに近いものです。

   
(左)ディスクコーラル類を(ロイヤル)ブルーライト+イエローフィルター撮影したものです。
(右)飼育している各種をあつめてヤフオクに出品する状態で撮影したものです。

         

 

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<以下は、旧海水館 奈良県天理市営業時(2018〜20219月、一旦閉店時)のもの・記事です。> 

当店は2011年頃からサンゴの養殖試験を開始し、2012年より大阪から長崎に移転後に小規模ながら本格的にサンゴの室内養殖を開始しました。

 2018年5月、地理的な通販改善のため奈良県天理市に再移転し、以降順次再開させていただいております。

 養殖とともにシステムと自社の添加剤(ハードドレース、ソフトトレース)の改良など、飼育研究の試行錯誤と改善を続けております。

養殖開始時より自社製造の添加剤類と月間数%の海水・淡水の補充のみでサンゴの増殖がほぼ可能になっており、今後システム、添加剤、生体の研究あわせ、益々の改善

と努力を行ってまいります。

養殖水槽の概要など:

 水量:合計約1800L (複数のシステムを連結して使用)
   主にサンゴ用システム:1300L + 海藻+魚類等(栄養塩補給用):約500L
 ろ過方式:サンゴ砂を用いた通常ウエットろ過システム
  他、サンゴの種により、水流用に小型ポンプを数台使用。
 使用海水:(※奈良へ移転後) 人工海水(自社 リーフパワーソルトGradius) 
 海水交換:原則的になく、販売で減少する月に20〜40L分を補充、他差し水のみ 
 添加剤:週1回、リーフパワーソフトトレースを各システムに規定量〜倍程度、
 、ハードドレースを適量使用、スーパーKH+、カルシウムを一時添加、
  (製造ロット試験を兼ねた使用を行っています。)
 照明:R.P.LED、一般LED電球
 水温:24〜28℃ 
  管理方法:冷却はエアコン制御、過熱は水槽用ヒーターを使用
 他:
  ・オゾンを弱めに通気 (プロテインスキマーは無し) 
  ・大型カルシウムリアクターBOX
  ・サンゴ水槽水質:硝酸塩:0〜5ppm、
     リン酸塩:0.1〜0.2ppm、
     カルシウム:約400〜450ppm、
     KH:6〜8dH、マグネシウム:約1200ppm   

 

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令和34月28

・ハナバチ、スギノキミドリイシの一部に腫瘍発生、対処の報告。

 一年近くも記述しておらず、申し訳ありません。

 ハナバチミドリイシとスギノキミドイリイの一部で、”サンゴの腫瘍”思われる部分が見られるものが見つかりましたので、それの対処等を中心に報告させていただきました。

 このサンゴの腫瘍はサンゴの病気の一つとされ、自然界でもかなり見られも”サンゴの腫瘍”として検索すると論文等を拝見させて頂けます。
 本体をいきなり死亡させたりはしないので、いわゆる”良性の腫瘍”というべき 見解が多いようですが、原因はまだ分かっておらず慶良間諸島などの水のきれいな場所でも
見られるのだそうです。

 腫瘍はポリプでない部分の組織が膨れ上がってブヨブヨの組織で、歯ブラシ等で 軽くこすると落ちてしまいます。その部分の骨格も成長 していまずが、骨粗鬆 (こつそしょう
)症のように粗く、弱い骨格になっています。 こちらは同種は元の株がすべて同じなので、また頻繁に倒れて接触し、時に固定化して固まっているため数個にくっついて移って
しまった可能性が高いと思います。

 自然界でも起きることですので水槽でもあり得るとおもわれ、もしそういう組織が見当たりましたら、まだ解明できていない面が 多いので、念のため直接手で触れないようにし
、ビニール手袋などをして別容器で海水中で落とし、また海水でよく洗い流し、もちろんその海水は捨ててしまうのが良いと思います。

 こちらでの対処は、腫瘍部分をスクレーバーで骨格ごと切除し、洗浄しました。約4か月後の現在、切除した部分を正常な組織が覆い 返してほぼ回復しつつあることが観察さ
れましたので、この処置で一応回復させられ るのではと推測しております。
 ただ、切除した部分の大方は回復しましたが、ピンポイントの1〜2mmで腫瘍と思われる再発が見られましたので、下にもありますが
再度、切除を行いました。少しでも腫瘍組織が残るとまたそこが病根になり広がることが予想されますので、完全に切除し、よく洗浄なければならないようです。 

 またこのほど4月25日頃、スギノキミドリイシでも腫瘍が見られ、徹底確認したところ、腫瘍または疑わしい部分をもつ個体が10数個みつかり、処置を行いました。

 これら処置をした個体はすべて別水槽で回復を待ち、養生を続け以後、観察を続けます。

 確実な方法は、悪い所を切除するのではなく、あきらかに良い状態の部分だけを とって他は廃棄することだと思いますが、実験のためあくまで各個体の観察を続けたいと思
います

↓腫瘍が発生した個体の切除、その後の経過です。

例1(ハナバチ系ミドリイシ)

 

例2(ハナバチ系ミドリイシ)

この個体も見た目上切除した部分が大半が回復しましたが、下の左の写真の赤丸の部分に2-3mmの再発と思われるものが見られましたので、切除しました。
かつての患部と正常な部分との境目に近いため、最初の切除で落とし切れていなかった可能性があると思われました。

  

   
     赤丸の部分が、腫瘍の再発と思われる部分です。   (右)これを削り落とし、洗浄しました。以後の回復を待ちます。

例3(スギノキミドリイシ)

 
スギノキミドリイシの腫瘍個体の例です。左の写真ではわかりにくいですが、ポリプ以外の部分が膨れており、この部分をハブラシで共肉だけを洗浄して落としたのが
中の写真です。正常な部分と骨格・形状の違いがあきらかです。(右)他の切除・洗浄した各個体です。以後回復を待ち、飼育を続けます。

・他のご報告

 回復が見込まれるとはいえ、上記ハナバチ・スギノキミドリイシの腫瘍発見は正直ショックで嫌な出来事でしたが、やはり養殖サンゴを仕事にさせて頂いている以上、嫌な

ことほど、ご報告しておかなければならないと思っております。ただ、お陰様で他のサンゴはお陰様で大変元気に育っております。

 特に嬉しいのが昨年からしこんでおりましたハナヅタセンターGの増殖がはじめて成功しつつあることです。長崎時代の2013年頃からなんどとなく試しましたが、ことごとく

だめになっておりましたがやっと成長してくれました。(こちらの養殖サンゴの照明は基本的にほとんどホワイトLEDだけのため、写真が汚く、申し訳ありません。)


やっと増殖してくれたハナヅタセンターG 試みてはや7〜8年目くらいでやっと成功です。

  
(左)アザミサンゴです。約3年前、長崎から移転の際、欠片だけしかなかったのこぶし大のものが複数あるまでになりました。
     (右)ミドリイシ水槽の全体です。

  
(左)ハナバチ・ユビ系ミドリイシ (右)滅多にポリプを開かないツツ系ミドリイシが夜間だけは開いてくれるようになりました。

  
(左)ハナヅタブルーです。移転三年でやっと安定してきました。  (右)ディスクコーラルのグリーンです。(ライトは電球色です。)多数の中から稀にきれいなイエローグリーンが
生まれます。

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令和25月14

・SPS水槽の現状システム、底砂を寒水砂に入れ替え、ホンハナマツムシ駆除、メンテナンス 

 今月初頭のGW中に、SPS水槽の底砂を、これまで10番のサンゴ砂だったものを、3番サンゴ砂相当の代替砂の寒水砂に入れ替えました。
 少し以前から、サンゴを食害する有害な貝 ホンハナマツムシ(またはムギガイ?)がしばしばみられ、その都度駆除していましたが特にストロベリーショートケーキミドリイシ
にあきらかに被害が大きく、思い切ってこの水槽だけをはずして、すべて大掃除しました。
 やはり砂の中や、OFカバー内にも10匹くらいの数のホンハナマツムシが見られました。そこ砂の下には多量の沈殿物もあり、いい機会なのですべて洗い流しました。

 この水槽を立ち上げたのは、平成30年の10〜11月頃でした。ホンハナマツムシは、照明時は砂・岩の裏側に隠れますのでその隙間ができない3番サンゴ砂など細かい底
砂が好ましいことが長崎営業時からわかっていたのですが、お恥かしい話ながら、移転当初は底砂さえ新たに購入する費用も厳しく、やむなく所有していた10番サンゴ砂を
当座で用いていました。

      
(左)作業開始、サンゴ一旦、移動させているところです。      (右)一時、移動させた養殖ミドリイシです。
                          水槽に、若干の漏水がみられましたので、水道水を少し入れてスーパーシールWで

   
5/3 夜、寒水砂を敷いて水を入れ、サンゴを戻し始めたところです。         水槽から取り出したホンハナマツムシ(ムギガイ?)の一部です。 

・作業後のサンゴの状態

 上記作業後のサンゴの状態を確認したところ、全体的にポリプの出方がさらによくなりました。また、ストロベリー系ミドリイシもかなり食害されつつも止まり、再生が見られ
 ます。下記の写真は、主に5/17です。

    >>5/7撮影の動画(mp4)を掲載しました。(フェイスブック掲載)です。<<

             
      (左)左から、トゲ、ハナバチ、ユビ系、ハナヤサイなど  (右)かなり食害されてしまったストロベリー系ミドリイシですが、なんとか踏みとどまったようです。 

        
   ユビ系ミドリイシとハナヤサイ                                   スギノキミドリイシ

・現状のSPSのシステム

 ミドリイシをご購入いただくお客様から、照明などのお問合せがありますため、あらためて5月14日現在の使用器具の紹介をさせて頂きます。

 水槽サイズ:120×45×20cm ※現在種類が増えたため、以前同じ水槽だったウスコモンサンゴのみ別の水槽で増殖させています。
 水流:水流専用としてレイシーPポンプ*1(毎分約10L),循環水として毎分約5Lを、時計周りに水が回る方向で放流。 

 濾過、循環など:集中濾過システム合計1300Lの水槽の一つです。ほかは、ページ冒頭部分↑のステータスをご覧ください。

 照明:(すべてE26口金のスポット型です。)GE製スポットホワイト(昼光色)LED18W照射角約30°×5、ヤマゼンLDR25D-W/W(照射角度45°昼光色)25W×2、
     R.P.LEDマルチホワイト約21W(昼光色+電球色LED
の混色照射角約60°×2
     ※ヤフオク出品などのための撮影用場所を左端に設けており、ブルー・ホワイトなどを使用。 

   過去の記事でもありますが、長崎で2013年にこの水槽(システム)を最初に立ち上げ、当時はホワイトとロイヤルブルー、UVを含むライトを組み合わせて比較しなが
 ら使用していましたが差異が感じられなかったため、長崎の過去数年〜奈良へ移転後からここ1年半以上は、一部電球色が混ざっている以外ではほぼホワイト系LED
 のみで飼育しています。 

・ブルー系ライトなどでの参考撮影 (5/21追記)

 以下は、普段上記のホワイト系LEDのみで飼育しているSPSを、(ロイヤル)ブルーを含む一般的なサンゴ水槽用照明で撮影したものです。
(ヤフオクに利用したものの転載です。)

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令和24月6

・ハードドレース、ソフトトレースの改良試験が完了、改定製品発売と、サンゴの状態報告です。

 前回お知らせから3か月弱が経過し、臭素イオンの継続使用試験の結果、特にサンゴ等の異常がみられないため、このほど実験を一応終了として、添加剤を更新させて
頂き、あらたに
ソフトトレース、ハードドレースをそれぞれVer.3.0、4.0への改定、また臭素イオン専用の添加剤(REEFPOWER Br(臭素イオン))もあわせて4/4に発売とさせ
て頂きました。
 当初予定になかった専用の添加剤も出させて頂いた理由は、以前までの当店のリーフパワーソルトもそうでしたが臭素が根本的にない海水、またはあきらかに大きく欠
乏していた場合、ソフトトレースやハードドレースの追加濃度(1〜2ppm)では目的の濃度には足らないためです。
 ただ、臭素の海水中での濃度変化が正直わからないため、誠に不確定ながら、さしあたり飼育している赤色のサンゴの色が薄くなった場合を一応の欠乏の(可能性の)
指標としています。
 今回は製品を製造する前のあくまで実験ではありますが、動物薬事の観点では、販売用の添加剤を用いたことで その生体の状態が良くなったということを言及してはいけ
ないこととなっておりますので、”悪影響は見られはなかった”という表現にとどめさせて頂きます。 

以下、使用試験を行った今の養殖サンゴなどの状態です。

   
養殖サンゴ水槽の4/5の状態です。(左)ユビ系ミドリイシ (右)スギノキミドリイシ ポリプもよく開き、特に異常は見られません。

 
上記は、店舗での販売水槽でもあります60*30*36cmの底面フィルターの養殖サンゴ販売水槽です。
画像の通り、他の水槽と同様の通常の試験使用に加え、3月末に今一度65ppm分を追加しました。こちらも異常ありません。


こちらは昨年ほぼ全滅し、注視できないほど小さくなっていたブルームウミアザミが、水槽の片隅で育っていたものを発見し、以後まとめて観察したものです。
最初、左の写真の1個だけを見つけ、後に同様の個体がさらに2個みつかりました。当初のものが成長後、ここ数日で2個に分裂が見られました。色は以前ほど青みが
ありません。本種はこれまで過去何度も養殖をここ試みて入荷しましたが、最初の一か月くらいは増殖が見られるものの、必ず痩せて死亡してしまっていました。

  これが本種のもともと生態での周期などによるもので、今回は偶然なのか、または海水の成分や環境が原因なのかがまだ不明なのですが
  この度のようなことは非常に珍しいので、今後も観察を続けたいと思います。 もちろんこの間、月間数%の補充以外のみで、水換えなどは行っておりません。

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令和2115日 

・ハードドレース、ソフトトレースの改良試験を開始しました。

 1/11フェイスブックページのお知らせで、お伝えさせていただき、以下ほぼ同じ内容になりますが追記させていただきます。
 (本ページは、添加剤の改良試験などの実験報告も兼ねたページとさせていただいております。
以前の開発・改良過程のページはこちらです。

 このたび約6年ぶりに添加剤(ハードドレース、ソフトトレース)の改良実験を開始しました。今回の(予定)追加物質は臭素(Br)イオンのみです。
 臭素は海水中に60〜70ppmも含まれる成分でありながら添加剤にもリーフパワーソルトにもこれまで入れておりませんでした。
 リーフパワーソルトは昔の古典的な”バックハウス人工海水”というものをベースに研究したために臭素がすっぽりぬけていました。すなわち改良といいますよりこれまで
入ってないのがむしろ欠陥とさえ思えるものです。
 臭素が具体的に特にサンゴにどのような影響を及ぼすのかはっきりしないのですが、調べましたところ原理は不明ながら生体の必須元素であること、サンゴについては赤
色の発色に関係しているらしいということでした。 実は当店のミドリイシ類も赤色の発色がどうも以前から悪く、ウスコモンのレッドも普段はいいのですが水槽立ち上げ当初
などに色が薄くなってしまうことがよくありました。もしかしたら臭素の欠乏が原因の可能性があると思われました。
 こちらではまず1/
81/9に養殖サンゴや店の各水槽を天然海水レベルに臭素イオン濃度(65ppm)分を追加して様子を観察し、以降本日の時点ではまったく異状はみら
れません。 そして1/12以降、改良の試験添加剤として
の使用を開始しました。以降、2〜3か月間の継続的な使用試験で観察を行います。
 しかるのち、状態に異常が見られなければハードドレースVer.4、ソフトトレースVer.3として製品に反映させて頂く予定です。

 臭素の水中での減り方が全然わからないので実験がしにくいのですが、塩素の増減に近いらしく(ということはかなり安定している?)、濃度的にはかなり低くても一応多くの
サンゴが成長するということはこれまでの飼育試験で必然的にわかっていますので、あとは過剰にならない濃度での使用を確認することが主な目的です。
 また安全が確認され次第リーフパワーソルトGradiusの方も臭素(イオン)を含む原料を追加配合して、改良予定です。こちらはもともと一般的な配合でもありますので特に
問題はないのではと思います。

       
(左)試験用に臭素を調合したハードドレースとソフトトレース(4倍濃縮液)です。(右)おまけ 画像にもありますが薬品金庫です。
特定の業種・危険な毒物などをのぞき、薬品を使うこと自体は無許可で可能ですが、保管はこのように施錠できるものに入れることが義務付けられいます。

      
すでに臭素が非常に低い濃度と思われる水槽の状態から、天然海水と同濃度分を追加して数日後です。
昨年加わったスギノキミドリイシ(左)、エダコモンサンゴ(右)です。 成長が早く、養殖に向いています。(照明はすべてホワイトLEDです)
ちなみに昨今、当店の生体業者ではこれらSPSが入手できることが非常にすくなく、ほとんどが一般のお店やヤフオクなどで購入したものがスタートです。

      
(左)現在、今後のために増殖中のオレンジディスクコーラルです。昨年のベトナム便で僅かに入ってきたものを大事に増やしています。
(右)こちらもベトナム産?の珍しいディスクです。成長が早いので比較的早くに販売できそうです。

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令和1年10月2日 

・イエローポリプ 保存・繁殖に成功

 久しぶりの追記となり、誠に申し訳ございません。移転から早一年以上が経過し、おかげ様でやっと養殖サンゴも落ち着きを得てきました。
お客様にも買い取りなどで復旧のご協力をいただき、本当に有難うございます。

 かつてインドネシアからポピュラー種として輸入されていたイエローポリプですが、禁輸以降他の産地からは輸入がないため、現状ではほぼ入手することができない状態と
なっております。当店は禁輸を知らず、長崎から移転する際にすぐまた手に入ると思ってすべて売却処分してきたことを大変、後悔しました。
 
 移転後の昨年8月、ヤフオクでわずか4〜5個だけポリプがついたものがかろうじて出品されていたものを落札し、以後なんとか増殖させて約一年後にようやく販売にこぎつ
けました。お客様の水槽でも増やして頂き、貴重な本種をみんなでシェアできればと思います。

・ハナヅタブルーの移植・繁殖

 本種は種名がはっきりしないこともあり、インドネシアからの輸入時ももともと手に入りにくいものだったのですが、今や皆無ではないかと思います。
現状、養殖・販売は順調ですが、少しでも早めるために下記のような作業を行っております。

   
(左)数か月かけて、プラスチックプレートに繁殖させたものです。(右)これを小さく切って、土台石に接着固定しているところです。(右)

   
(左)接着後、水槽に戻したところです。(右)水槽内で自然に繁殖する部分も多いのですが、やはり手作業で移植したほうがより早く増殖します。
数か月待つと、販売できる状態になります。(上記は今年
7月頃の写真です。)

  
(左)下の4月で報告しておりました指標として育てているウスコモンレッドの成長です。かなり大きくなり、もう手のひらに収まらくなりました。
(右)長崎の頃に一度失敗しましたハイマツ系のミドリイシを養殖してみました。一応、土台部分にも広がって安定して増えているようです。

>動画@ 上記SPS水槽の、フェイスブックに掲載した動画リンクです<

>動画A 上記SPS水槽を一時的にブルーライトで撮影した動画です< 

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平成31年4月17日 SPSの増殖水槽と環境

現在のミドリイシ・SPS養殖水槽の様子を掲載させていただきます。こちらでは、上記の水槽システムのステータスでもありますように、プロテインスキマーはつけておりません
が、ミドリイシは大変状態よく、多くの種が昼間からポリプを満開にしています。写真は2〜3月のものです。

   
(左)平成25年に最初に導入し、以後ずっと枝打ちで養殖を続けているハナバチ系ミドリイシです。(右)平成30年12月に追加した蛍光Gの種類不明のミドリイシです。
照明がホワイトLEDのみのため、色が地味に見えます。

   
(左)用いているライト(アメリカGE製)です。1個18Wで、照射角約30°のスポット型のホワイトLEDです。 
(右)平成30年5月以降、長崎からもってきたウスコモンサンゴのレッドの一部を、増殖環境の指標として、自然のままに大きくしてみています。

     
普段、照明は主にホワイトLEDだけで育成していりますが、ブルーライトだけで見てみると、サンゴの色はある程度綺麗になっています。

●約6年のミドリイシの養殖でわかったこと
 
 当方自身、ミドリイシの飼育・増殖の研究はずっと続けている中で、まだまだ分からないことや自身で勘違いをしている点は多々あるとはおもわれますが、それでもすでに

平成25年頃から約6年以上、SPS・ミドリイシの小規模養殖をするようになり、そのころから上記の飼育方法を取り続けています。

 実際、プロテインスキマーも特殊な照明もなく、自社の添加剤のみを利用して水をほぼ交換しない飼育方法で、同じ種類・元株のミドリイシが今でも成長、増殖を続けてい

ます。プロテインスキマーをつけるどころか、むしろ栄養塩が足らないので、他の生き物にエサを与えている水槽から栄養塩補給のため、わずかづつ水を循環させています。

 プロテインスキマーはミドリイシ飼育に必須なのではなく、他に水を汚す生き物がいるものと一緒に飼育し、
かつそれに許容範囲以上のエサを与えるのため、やむをえず

使用するもので、そうでなければ微量成分を除去してしまうもので、使用しない方があきらかに好ましいと考えています。

一般に雑誌やメディアで言われていることと実際はかなりずれがあるように思います。

 

平成31年1月26日 〜マメスナジュエルBOXができるまで〜 

   
(左)まず輸入などで入荷した天然のマメスナギンチャクを一旦数日間トリートメントし状態が良くなったところで岩から丁寧にはがしながら、さらに
カッターナイフなどで数個のポリプに慎重に切り離します。できるだけポリプの部分をつぶさない様にしないと、腐食しやすくなりますので注意が必要です。
(右)マメスナの養生・作成用水槽です。奥部分が分類用の個室になっており、水流をあてながら、分割したマメスナを収容し、養生・増殖をさせます。

   
 最低数日養生し、状態が安定したもの、また増殖したものでサイズが所定のものになったものを使い、植え付けに入ります。予め、作成しておいたセメント
(モルタル)製の専用土台に接着剤(最近ではホールドファストジェルをよく用います。)などで、各色のマメスナを固定していきます。

   
(左)植え付け直後の状態です。ここから、形が良くなるまで養生します。沢山作成すると、その中で増殖具合や見た目に必ず優劣ができますので、
その中で常に一番良いものから順に販売に出すようにし、形がわるかったりポリプが少ないものほど長期間養生して増殖を待ちます。
(右)これくらいの状態なら、そろそろ販売できる状態と判断しています。

もの作りと海水魚の世界

 当店はこのマメスナジュエルBOXを現在、1個¥2,800で販売させて頂いております。マメスナが完全養殖に入れると楽になるのですが、まだそこまではできていないので、

元の仕入れやかかる時間からしても、相当厳しい価格ではあります。ただ、悲しいかなこれ以上のお値段では売れず、現状でも月に1〜4個程度で決してよく売れているわけ

ではないという切実な現実があります。この記事も、少しでも売れて欲しいという気持ちもあって書かせて頂いている面もあります。^^;

 もし1個一万円などで売るなら真似しようとする人も現れるかもしれませんが、今の海水魚の世界でまずこの工程やかかる時間を見て真似しようなどと思う人は少ないだろ

うと思います。

  長年、海水魚や特にサンゴの世界は、密漁のサンゴを口八丁とライトマジックで元値の何倍もの価格で売るという商売をしてきた面があり、お客様のために、自分で手間

隙をかけていいものを願わくば安く提供するなどという、普通の商売の概念など遠いところにあるように思いました。  

 そして、そういうことが徐々にできなくなると、だめになっていったのがこの世界ではないかと思います。

 決して、当店の考えや経営方法が正しいとは申しません。当店は当店で大きな問題があり、経営は依然厳しいです。仕事の当然の対価をいただいて、儲けるのはおおい

に良いことだと思います。 商売には、売れるお金儲けの面白みや活気も絶対必要で、まして手間隙をかけたものを高く売るのは決して悪い事ではないと思います。

 ただ、口八丁や誇張だけでなく、そこに”もの作り”や”育てる”精神、お客様や公からみて後ろ指をさされないような、少しでも誠実な仕事をしようとする意識が大事ではな

いかと思います。 それがないと、結局その業界自体が脆弱で景気にいつも大きく左右され、お客さまからいつも一抹の疑いをかけられ、なにかあると今日のようにすぐに

だめになるのではないかと思います。

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●(右)2018年12月6日 移転後、やっとミドリイシ、SPSも少量ながら生産、販売再開をできることとになりました。
●(左)2018年10月24日ヒロハサボテングサです。サボテングサ類は長年養殖できず、奈良県への移転後にやっと安定育成できるようになりました。
 海藻はサンゴより一見地味ですが,昨今人気が高く、少量ご購入でのご希望が多く、本種も1株¥500 の少量販売させていただいております。

        
●(2018年10月17日)奈良軒天理市に移転後に再開したアザミサンゴです。インドネシアからサンゴが禁輸となってしまい、長崎営業時の残りのわずかな断片から
  再開しました。

インドネシア産サンゴの禁輸と、一層の業界の冬 平成30年12月11日(一部修正・追記) 

 奈良県移転して、すでに半年が経ち、まもなく平成最後の年末が終わろうとしております。

 平成30年5月、あろうことかサンゴのもっとも中心的な産地のインドネシアからのサンゴの輸入が禁輸となってしまい、当店はちょうどその頃、移転準備のために多くのサ

ンゴをすでに手放してしまっており、業界と縁が遠い当店は、移転後の6月になってこの事実を知り、再開のためのサンゴ補充もままならず、一時は絶望的でした。

 長崎からもってこれたのは、ハナヅタセンターG、ハナヅタブルー、ミドリイシ、ウスコモン数個、ディスクコーラル数十枚、アザミサンゴのわずかな断片で、しかも

ハナヅタブルー、センターGはやむなく行った無理な輸送や店の準備のための設備がととのわず大半が死亡、ミドリイシもいいものが死んでしまいました。

 しかしそこから現在で約半年間、ハナヅタブルーはなんとか回復して増殖起動にのり、現在フル操業時の約30%程度に増え、センターGも絶滅寸前でしたが辛うじて生存し

て養生中、イエローポリプは8月にヤフ−のオークションでわずか5ポリプしかついていないものを落札してそこから増殖を行い、現在50ポリプ以上にまで増殖、アザミサンゴ

は上記でも掲載しておりますが、欠片のような断片から辛うじて増殖ができました。

 ほか、外部からの補充では不幸中の幸いで沖縄・ベトナム便がまだ健在でしたので業者からの入荷、またヤフオクで他店から購入したり、またお客様からの買取などで生

体を集めつつ、なんとか体制をととのえつつあります。業界はあいかわらず真冬そのものですが、技術的な進歩でサンゴがうまく増殖し、飼えていることもわずかな希望です。

 またこれはすでに数年前からのことで、我々の業界ではあたりまえですが、養殖以外の魚類などの一般生体・一般メーカーの飼育用品販売はまったく絶望的といってよく

、問屋から仕入れる価格以下の値段でネットで売っている状態が普通にあります。大きなお店も閉店が続き、もはや、普通に個人の方が海水魚店をしようと思って

もよほどの資本をもった方がやったとしても困難の極みな状態にあります。かつての当店の交友店も多くが廃業したか完全に副業のようになっており、むしろ、うまくやめて

いけた方のほうがよほど幸せになっていると言えます。

 ついでに脱線しますと、今の様に不景気な上にネット通販店だけが台頭し、町のお店がどんどんなくなれば、海水魚をはじめて下さる方のきっかけを得る機会や場所を奪

い、いずれ皆そろって滅んでしまうのではと思います。また、数十年前からいつも存在した、激安通販店は、圧倒的に有利な仕入れルートをもっているにもかかわらず、なぜ

か多くが長続きしないというのも、不思議な事実です。

 私個人は、海水魚とかかわってそろそろ30年近くになります。昔から海水魚や生物についての研究やこの仕事に青春のほぼすべてをかけてき、悪意と浅ましさに渦巻く

この業界で、及ばずながらですが、なんとか誠実に仕事をしようと心がけてきたつもりです。しかしそれゆえ、研究も、販売業以上につみあげてきたものが多いので、どうに

も心情的に捨てることはできず、心中は覚悟しなければなりません。(笑)周りにご迷惑をかけないためにも、借り入れなどは一切慎み、支えて下さった多くの方、また悪口

の嵐の中で、海水魚界の良心だと言って下さった方になんとか期待にこたえ、できればいつかこの海水魚の技術をつかい、過疎に悩む地域に、地域活性化のための小型

水族館として、かつてのマリンスクエアの復活をさせたいと、はかなく夢に描いております。  

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<以下は、長崎営業時(平成24〜30年5月)のものです。>


(長崎営業時2012〜2018年5月の頃の長崎の養殖室です。)

          
●2017/7/1 イエローポリプです。本種は一般に飼育・増殖が楽といわれますが、実際に養殖を行ってみると突然の全滅等が意外と頻繁にあり、安定するまで
数年を要しました。状態が向上しますと右の写真のように一つのポリプが幅で約3cm程度まで大きくなり、一般的に入荷してくる状態とはまったく違うものになりました。 
宜しければぜひ、養殖ものと一般品との状態の差異をおためし頂けますと幸いです。

         
●(左)2017/4/18(更新)当店で土台石から自作しておりますマメスナ、イワスナギンチャクによるマメスナジュエルボックスの作成・養生水槽です。
以前はシリコン・サンゴ砂の土台石でしたが、最近ではセメント製に変えております。しばらくお休みをいただいておりましたが、やっと復旧いたしました。
●(右)2017/7/4 こちらも当店で増殖させたディスクから作成しておりますマルチカラーディスクです。 

         
●ディスクコーラル各種です。  

        
●スターポリプ各種です。 ●2015年6月23日更新 セブ産の貴重種です。栄養塩が低い水質のためか、完全にホワイトLED下でも薄いグリーンに見える色になりました。

        
●海藻は各種別水槽で培養していりますが、万一の全滅に備えて各種を混在した保存水槽も別途用意しています。 ●ウミキノコ全体グリーンの増殖水槽です。

       
●ハナヅタブルーの養殖水槽です。(2014年5月撮影)                   ●チヂミトサカ増殖中の水槽です。(画像は2016年8月です。)

        
●2013年6月からSPSの養殖をはじめ、各種ミドリイシ、ウスコモンなど徐々に種類を増やしています。(画像(左)2016年8月、(右)10月です。)   

       ●上記の養殖サンゴシステムで、指標固体として飼育しているフトエダ系ミドリイシの成長記録です。 

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養殖サンゴの開始の経緯と現状 平成29年 6/17若干修正

 現在、当店では主な生体商品となりました養殖サンゴですが、この起源は2007年頃から生体販売が年々厳しくなる中での苦肉の策でありました。当店のような小規模小

売店は、普通は輸入業者から生体を仕入れて販売します。当店ではトリートメント・餌付けを行ってからできるだけ丁寧に販売をしてまいりました。

 しかし、不況でしかも円高であるにも関わらず輸入価格だけがなぜか高騰するなか、海水魚関連の通販は徐々にそして底なしに厳しい状態となっていきました。

 また生体は品質が第一なのは当然としましても通販の魅力はまず安さである、というのが動かしがたい現実です。何年も試行錯誤しましたが、残念ながらどう工夫しても

、今の日本の景気、当店の力量では、もはや一般の生体通販を成り立たせることは不可能に近いと思いました。

 そんな中で、多めに仕入れたソフトコーラルが売れるよりも店で増殖するほうが早いという現象が2011年頃からおきてしまい、皮肉にもこれが養殖を可能にするきっかけと

なりました。本来、当方程度の規模の水槽で養殖ができるはずは無いと思われましたのですが、現在海藻を含めて30品目以上をそろえておりながら、2017年現在で月間

の販売がやっと100個程度というのが現実です。すなわち、平均で各種10日に1個程度の販売のため、多くの種で繁殖が間に合っている状態です。

 まだまだ長い道のりではありますが、どうぞ宜しくお願い出来ますと幸いです。 

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