養殖サンゴ室たより (ご紹介)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- お知らせ・後悔日誌でもお伝えさせていただきましたが、当店は2021年9月に奈良の店を閉店させて頂き、以後は長崎の野母崎に戻って療養しつつ、 2023年7月に「海水館 NOMOZAKI」として復活させていただく前年の、2022年6月頃から少しづつサンゴ・海藻の販売をやむなく生活費を出すため個人としてヤフオク・ メルカリでさせて頂いておりました。 奈良の頃に比べれば数分の一の規模で、まだまだの状態ですが、細やかに運営させていただいております。以下が7月のシステムや、7/18での現状です。
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-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- <以下は、旧海水館 奈良県天理市営業時(2018〜2021年9月、一旦閉店時)のもの・記事です。> 当店は2011年頃からサンゴの養殖試験を開始し、2012年より大阪から長崎に移転後に小規模ながら本格的にサンゴの室内養殖を開始しました。 2018年5月、地理的な通販改善のため奈良県天理市に再移転し、以降順次再開させていただいております。 養殖とともにシステムと自社の添加剤(ハードドレース、ソフトトレース)の改良など、飼育研究の試行錯誤と改善を続けております。 養殖開始時より自社製造の添加剤類と月間数%の海水・淡水の補充のみでサンゴの増殖がほぼ可能になっており、今後システム、添加剤、生体の研究あわせ、益々の改善 と努力を行ってまいります。 |
養殖水槽の概要など: 水量:合計約1800L
(複数のシステムを連結して使用) |
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令和3年4月28日 ・ハナバチ、スギノキミドリイシの一部に腫瘍発生、対処の報告。 一年近くも記述しておらず、申し訳ありません。 ハナバチミドリイシとスギノキミドイリイの一部で、”サンゴの腫瘍”思われる部分が見られるものが見つかりましたので、それの対処等を中心に報告させていただきました。 このサンゴの腫瘍はサンゴの病気の一つとされ、自然界でもかなり見られも”サンゴの腫瘍”として検索すると論文等を拝見させて頂けます。
腫瘍はポリプでない部分の組織が膨れ上がってブヨブヨの組織で、歯ブラシ等で
軽くこすると落ちてしまいます。その部分の骨格も成長
していまずが、骨粗鬆 (こつそしょう こちらでの対処は、腫瘍部分をスクレーバーで骨格ごと切除し、洗浄しました。約4か月後の現在、切除した部分を正常な組織が覆い
返してほぼ回復しつつあることが観察さ またこのほど4月25日頃、スギノキミドリイシでも腫瘍が見られ、徹底確認したところ、腫瘍または疑わしい部分をもつ個体が10数個みつかり、処置を行いました。 確実な方法は、悪い所を切除するのではなく、あきらかに良い状態の部分だけを
とって他は廃棄することだと思いますが、実験のためあくまで各個体の観察を続けたいと思 ↓腫瘍が発生した個体の切除、その後の経過です。 例1(ハナバチ系ミドリイシ)
例2(ハナバチ系ミドリイシ) この個体も見た目上切除した部分が大半が回復しましたが、下の左の写真の赤丸の部分に2-3mmの再発と思われるものが見られましたので、切除しました。
例3(スギノキミドリイシ) ・他のご報告 回復が見込まれるとはいえ、上記ハナバチ・スギノキミドリイシの腫瘍発見は正直ショックで嫌な出来事でしたが、やはり養殖サンゴを仕事にさせて頂いている以上、嫌な ことほど、ご報告しておかなければならないと思っております。ただ、お陰様で他のサンゴはお陰様で大変元気に育っております。 特に嬉しいのが昨年からしこんでおりましたハナヅタセンターGの増殖がはじめて成功しつつあることです。長崎時代の2013年頃からなんどとなく試しましたが、ことごとく だめになっておりましたがやっと成長してくれました。(こちらの養殖サンゴの照明は基本的にほとんどホワイトLEDだけのため、写真が汚く、申し訳ありません。)
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令和2年5月14日 ・SPS水槽の現状システム、底砂を寒水砂に入れ替え、ホンハナマツムシ駆除、メンテナンス 今月初頭のGW中に、SPS水槽の底砂を、これまで10番のサンゴ砂だったものを、3番サンゴ砂相当の代替砂の寒水砂に入れ替えました。 ・作業後のサンゴの状態 上記作業後のサンゴの状態を確認したところ、全体的にポリプの出方がさらによくなりました。また、ストロベリー系ミドリイシもかなり食害されつつも止まり、再生が見られ >>5/7撮影の動画(mp4)を掲載しました。(フェイスブック掲載)です。<< ・現状のSPSのシステム ミドリイシをご購入いただくお客様から、照明などのお問合せがありますため、あらためて5月14日現在の使用器具の紹介をさせて頂きます。 水槽サイズ:120×45×20cm ※現在種類が増えたため、以前同じ水槽だったウスコモンサンゴのみ別の水槽で増殖させています。 濾過、循環など:集中濾過システム合計1300Lの水槽の一つです。ほかは、ページ冒頭部分↑のステータスをご覧ください。 照明:(すべてE26口金のスポット型です。)GE製スポットホワイト(昼光色)LED18W(照射角約30°)×5、ヤマゼンLDR25D-W/W(照射角度45°昼光色)25W×2、 過去の記事でもありますが、長崎で2013年にこの水槽(システム)を最初に立ち上げ、当時はホワイトとロイヤルブルー、UVを含むライトを組み合わせて比較しなが ・ブルー系ライトなどでの参考撮影 (5/21追記) 以下は、普段上記のホワイト系LEDのみで飼育しているSPSを、(ロイヤル)ブルーを含む一般的なサンゴ水槽用照明で撮影したものです。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- |
令和2年4月6日 ・ハードドレース、ソフトトレースの改良試験が完了、改定製品発売と、サンゴの状態報告です。 前回お知らせから3か月弱が経過し、臭素イオンの継続使用試験の結果、特にサンゴ等の異常がみられないため、このほど実験を一応終了として、添加剤を更新させて 以下、使用試験を行った今の養殖サンゴなどの状態です。
これが本種のもともと生態での周期などによるもので、今回は偶然なのか、または海水の成分や環境が原因なのかがまだ不明なのですが -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- |
令和2年1月15日 ・ハードドレース、ソフトトレースの改良試験を開始しました。 1/11のフェイスブックページのお知らせで、お伝えさせていただき、以下ほぼ同じ内容になりますが追記させていただきます。 このたび約6年ぶりに添加剤(ハードドレース、ソフトトレース)の改良実験を開始しました。今回の(予定)追加物質は臭素(Br)イオンのみです。 臭素の水中での減り方が全然わからないので実験がしにくいのですが、塩素の増減に近いらしく(ということはかなり安定している?)、濃度的にはかなり低くても一応多くの -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- |
令和1年10月2日 ・イエローポリプ 保存・繁殖に成功 久しぶりの追記となり、誠に申し訳ございません。移転から早一年以上が経過し、おかげ様でやっと養殖サンゴも落ち着きを得てきました。 かつてインドネシアからポピュラー種として輸入されていたイエローポリプですが、禁輸以降他の産地からは輸入がないため、現状ではほぼ入手することができない状態と ・ハナヅタブルーの移植・繁殖 本種は種名がはっきりしないこともあり、インドネシアからの輸入時ももともと手に入りにくいものだったのですが、今や皆無ではないかと思います。 >動画@ 上記SPS水槽の、フェイスブックに掲載した動画リンクです< >動画A 上記SPS水槽を一時的にブルーライトで撮影した動画です< -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- |
平成31年4月17日 SPSの増殖水槽と環境 |
平成31年1月26日 〜マメスナジュエルBOXができるまで〜 もの作りと海水魚の世界 当店はこのマメスナジュエルBOXを現在、1個¥2,800で販売させて頂いております。マメスナが完全養殖に入れると楽になるのですが、まだそこまではできていないので、 元の仕入れやかかる時間からしても、相当厳しい価格ではあります。ただ、悲しいかなこれ以上のお値段では売れず、現状でも月に1〜4個程度で決してよく売れているわけ ではないという切実な現実があります。この記事も、少しでも売れて欲しいという気持ちもあって書かせて頂いている面もあります。^^; もし1個一万円などで売るなら真似しようとする人も現れるかもしれませんが、今の海水魚の世界でまずこの工程やかかる時間を見て真似しようなどと思う人は少ないだろ うと思います。 長年、海水魚や特にサンゴの世界は、密漁のサンゴを口八丁とライトマジックで元値の何倍もの価格で売るという商売をしてきた面があり、お客様のために、自分で手間 隙をかけていいものを願わくば安く提供するなどという、普通の商売の概念など遠いところにあるように思いました。 そして、そういうことが徐々にできなくなると、だめになっていったのがこの世界ではないかと思います。 決して、当店の考えや経営方法が正しいとは申しません。当店は当店で大きな問題があり、経営は依然厳しいです。仕事の当然の対価をいただいて、儲けるのはおおい に良いことだと思います。 商売には、売れるお金儲けの面白みや活気も絶対必要で、まして手間隙をかけたものを高く売るのは決して悪い事ではないと思います。 ただ、口八丁や誇張だけでなく、そこに”もの作り”や”育てる”精神、お客様や公からみて後ろ指をさされないような、少しでも誠実な仕事をしようとする意識が大事ではな いかと思います。 それがないと、結局その業界自体が脆弱で景気にいつも大きく左右され、お客さまからいつも一抹の疑いをかけられ、なにかあると今日のようにすぐに だめになるのではないかと思います。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- |
インドネシア産サンゴの禁輸と、一層の業界の冬 平成30年12月11日(一部修正・追記) 奈良県移転して、すでに半年が経ち、まもなく平成最後の年末が終わろうとしております。 平成30年5月、あろうことかサンゴのもっとも中心的な産地のインドネシアからのサンゴの輸入が禁輸となってしまい、当店はちょうどその頃、移転準備のために多くのサ ンゴをすでに手放してしまっており、業界と縁が遠い当店は、移転後の6月になってこの事実を知り、再開のためのサンゴ補充もままならず、一時は絶望的でした。 長崎からもってこれたのは、ハナヅタセンターG、ハナヅタブルー、ミドリイシ、ウスコモン数個、ディスクコーラル数十枚、アザミサンゴのわずかな断片で、しかも ハナヅタブルー、センターGはやむなく行った無理な輸送や店の準備のための設備がととのわず大半が死亡、ミドリイシもいいものが死んでしまいました。 しかしそこから現在で約半年間、ハナヅタブルーはなんとか回復して増殖起動にのり、現在フル操業時の約30%程度に増え、センターGも絶滅寸前でしたが辛うじて生存し て養生中、イエローポリプは8月にヤフ−のオークションでわずか5ポリプしかついていないものを落札してそこから増殖を行い、現在50ポリプ以上にまで増殖、アザミサンゴ は上記でも掲載しておりますが、欠片のような断片から辛うじて増殖ができました。 ほか、外部からの補充では不幸中の幸いで沖縄・ベトナム便がまだ健在でしたので業者からの入荷、またヤフオクで他店から購入したり、またお客様からの買取などで生 体を集めつつ、なんとか体制をととのえつつあります。業界はあいかわらず真冬そのものですが、技術的な進歩でサンゴがうまく増殖し、飼えていることもわずかな希望です。 またこれはすでに数年前からのことで、我々の業界ではあたりまえですが、養殖以外の魚類などの一般生体・一般メーカーの飼育用品販売はまったく絶望的といってよく 、問屋から仕入れる価格以下の値段でネットで売っている状態が普通にあります。大きなお店も閉店が続き、もはや、普通に個人の方が海水魚店をしようと思って もよほどの資本をもった方がやったとしても困難の極みな状態にあります。かつての当店の交友店も多くが廃業したか完全に副業のようになっており、むしろ、うまくやめて いけた方のほうがよほど幸せになっていると言えます。 ついでに脱線しますと、今の様に不景気な上にネット通販店だけが台頭し、町のお店がどんどんなくなれば、海水魚をはじめて下さる方のきっかけを得る機会や場所を奪 い、いずれ皆そろって滅んでしまうのではと思います。また、数十年前からいつも存在した、激安通販店は、圧倒的に有利な仕入れルートをもっているにもかかわらず、なぜ か多くが長続きしないというのも、不思議な事実です。 私個人は、海水魚とかかわってそろそろ30年近くになります。昔から海水魚や生物についての研究やこの仕事に青春のほぼすべてをかけてき、悪意と浅ましさに渦巻く この業界で、及ばずながらですが、なんとか誠実に仕事をしようと心がけてきたつもりです。しかしそれゆえ、研究も、販売業以上につみあげてきたものが多いので、どうに も心情的に捨てることはできず、心中は覚悟しなければなりません。(笑)周りにご迷惑をかけないためにも、借り入れなどは一切慎み、支えて下さった多くの方、また悪口 の嵐の中で、海水魚界の良心だと言って下さった方になんとか期待にこたえ、できればいつかこの海水魚の技術をつかい、過疎に悩む地域に、地域活性化のための小型 水族館として、かつてのマリンスクエアの復活をさせたいと、はかなく夢に描いております。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- <以下は、長崎営業時(平成24〜30年5月)のものです。>
●上記の養殖サンゴシステムで、指標固体として飼育しているフトエダ系ミドリイシの成長記録です。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- |
現在、当店では主な生体商品となりました養殖サンゴですが、この起源は2007年頃から生体販売が年々厳しくなる中での苦肉の策でありました。当店のような小規模小 売店は、普通は輸入業者から生体を仕入れて販売します。当店ではトリートメント・餌付けを行ってからできるだけ丁寧に販売をしてまいりました。 しかし、不況でしかも円高であるにも関わらず輸入価格だけがなぜか高騰するなか、海水魚関連の通販は徐々にそして底なしに厳しい状態となっていきました。 また生体は品質が第一なのは当然としましても通販の魅力はまず安さである、というのが動かしがたい現実です。何年も試行錯誤しましたが、残念ながらどう工夫しても 、今の日本の景気、当店の力量では、もはや一般の生体通販を成り立たせることは不可能に近いと思いました。 そんな中で、多めに仕入れたソフトコーラルが売れるよりも店で増殖するほうが早いという現象が2011年頃からおきてしまい、皮肉にもこれが養殖を可能にするきっかけと なりました。本来、当方程度の規模の水槽で養殖ができるはずは無いと思われましたのですが、現在海藻を含めて30品目以上をそろえておりながら、2017年現在で月間 の販売がやっと100個程度というのが現実です。すなわち、平均で各種10日に1個程度の販売のため、多くの種で繁殖が間に合っている状態です。 まだまだ長い道のりではありますが、どうぞ宜しくお願い出来ますと幸いです。 |