海水館トップページへ

海水水槽内の有害生物&藻類(コケ)の対策および除去生物

※本ページは以前は藻類(コケ)対策専用のページだったものを、令和3年1月に他の有害生物対策も加えて補強したものです。
藻類除去生物には他(動物性の)有害生物も除去してくれる生物も多いためあわせて紹介した方がわかりやすいのではと思いました。
お役に立てて頂けますと幸いです。

令和3年4月17日一旦開設しましたが、まだ随所が更新途中で連日修正しております。
お見苦しい中、何卒ご容赦の程、お願い申し上げます。

更新履歴

<索引>

(第一部)

水槽内の有害動物と対策

(第二部)

■水槽内の藻類と対策

(第三部)

■対策生物の各種紹介

(対策が楽なもの、有害性の低いもの等
 を上から順に書いています。)

 ●ヒラムシに類似した 赤い扁形動物  

 ●コシダカナワメグルマガイ(マメスナの害虫)

 ●赤いプランクトン  

 ●カーリー 

 ●ヒラムシ(サンゴにつくもの)
 (R6/4/3 SPSにつき一部訂正)

 ●ホンハナマツムシ(ムギガイ?) 

 ●ウミケムシ

 ●ウミウシ類(ミノウミウシ・ユリアガイ等)


■水槽内の藻類と対策

●水槽面などにつく薄く柔らかい藻類

●トロロ状藻類(主に水面に出るもの)

●糸状の藻類(いわゆるヒゲゴケ)

  ●サンゴモエビによる除去の様子

  ●ハナビラタカラガイによる除去実験

  ●マガキガイによるツツウミヅタ等
      サンゴ本体についた藻類の除去

  ●ろ過の観点からの参考実験

●シアノバクテリア (分厚いノリ状藻類)

●ハネモ類

 ●サンゴモエビのハネモへの効果確認

 ●タツナミガイ・アメフラシの試験報告 

●シオグサの仲間(ブラシ状の硬い藻類)

●バロニアの仲間

●水槽面につく、硬い褐色の藻類

(エビ・カニ類)

 ・アシナガモエビ

 ・エメラルドグリーンクラブ 

 ・サラサエビ(キャメルシュリンプ)

 ・サンゴモエビ

 ・ペパーミントシュリンプ/アカシマモエビ(アカモエビ)

 ・ヤドカリ類 

(貝類)

 ・コケトリ貝(いわゆる一般的なもの)

 ・タカラガイ類(主にハナビラタカラ・キイロタカラガイ)

 ・タマガイ

 ・ヒザラガイ

 ・マガキガイ (R2/11/26)デメリット追記

 ・ムシロガイ  (記述中)

 ・他の貝類(ムシロガイ、カノコガイ等)(記述中)

(魚類) 

 ・ニセモチノウオ

 ・フタイロカエルウオ 

 ・ヤエヤマギンポ

 

■(第一部)水槽内の有害動物と対策 

 ここでは水槽に発生する色々なこまった主に動物性の生物と、それを駆除してくれる生物、方法を紹介します。

紹介・解説の順番は、対策の楽が楽または有害性の低いものから上から順としています。読んで下さった方が全体のイメージとして少しでもわかりやすくなれば幸いと思って

おります。 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

●ヒラムシに類似した 赤い扁形動物 (※ただし、実害ほぼなし)

 水槽壁面や底砂、岩肌に写真のような2〜3mmのヒラムシによく似た近縁種と思われる生物が繁殖することがあります。名前がすでに一部で知られていて、一時マンダリ
ンのエサとして販売までされていたと思うのですが失念してしまいました。すみません。
 主に光の強い水槽ほど多く増えやすい傾向があり、体内に褐虫藻を持ち光合成をしているのかもしれません。光の弱い水槽にうつすとしばらくするといなくなっています。
いわゆるサンゴにつくヒラムシと違ってサンゴの共肉にのることはほぼ全くなく、サンゴには事実上ほぼ無害な生物で、見た目以外では有害生物とはいえないくらいです。
 原因はわかりませんがこちらの養殖水槽でもしばしば繁殖することがあり、これが繁殖している水槽ではサンゴ自体は非常に好調なことが多く、無理に除去したあとの方
がサンゴが状態を崩すことがあったくらいで、今は無理に駆除しないようにしています。石についたものは水流で、また岩を振ると簡単に落ちるので、販売前に石から落とす
までにとどめている程度です。もしかすると、サンゴに有害な何かをこれが食べてくれているのではないか?と思うくらいです。

対策:

 生物であまり食べるものがないようですが、以前、空腹のデバスズメの群れの水槽に入れると食べたことがありました。またペパーミントシュリンプを複数収容して消えた例
がありました。ほか、ヒラムシと近いことでマンダリンフィッシュなどが食べる可能性があり、当店でもスポッテッドマンダリンフィッシュが食べた瞬間を目撃したことがありました
が、あまり積極的に食べていた様子がなく、数が多いと間に合わなかったようで、決定打にはなりませんでした。
 
 人為的な対策もヒラムシに順じ、淡水での駆除、またヒラムシ専用駆除剤(フラットワームソリューション)が効きますが、現在販売されておらず、実は普通のヒラムシと違って
サンゴに集まってつかない分水槽から駆除するのはむしろ手間がかかる面があります。 
 
 そのため、まずピペットやエアーチューブをつかったサイホン排水などでできるだけ吸い出してしまい、生物の飼育に許す限りできるだけ照明を減らして長期間飼育し、見つけ
次第除去するのが今のところの対策です。 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

●赤いプランクトン 

 水槽壁面に見えることがある0.5mmくらいの赤〜褐色のプランクトンです。よく見ると、色が濃い部分と薄い部分がくっついたような〇●のような形をしています。
何か「ナノロボット」?のように少し動いては止まり、ということを繰り返す感じがありました。
 はたして有害生物と言えるのか確実ではないのですが、当店では2020年以降にはじめて意識したものです。なぜ害虫としたかといいますと、複数種のスターポリプがなぜ
か部分的に不調になる水槽でこれが水槽壁面に多数みられ、これが原因ではないかと仮定し、プランクトンを好んでよく食べるニセモチノウオを入れました。その後約一か月
程度で確実に数が減っていき、ほとんど見られなくなりました。あわせて、スターポリプがこれまでになく全体が好調になり、以降不調があまり見られなくなりました。
 そのため、なんらかの悪影響を与えていた可能性があると思います。ただ、いずれにせよこれらプランクトンが好き放題に横行している状態はよくありませんので、抑えにな
る魚種を何かはいれておくのが良いと思います。 普通、水槽には複数の魚が入っていることが多いので、このような状態になることは少ないと思います。

対策: ニセモチノウオ、他のプランクトンを食べる多くの魚類

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

●コシダカナワメグルマガイ (マメスナの害虫)

対策等:

時々マメスナについている場合があります。直径1cm未満で、口がとんがっています。本種はマメスナギンチャクを食べてしまいますので、見つけたらとってしまいましょう。
いままで大発生などは経験がなく、見つけ次第、手作業で除去することでそれ以上の被害はでたことがありません。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

ヒラムシ (サンゴにつくもの) R6/4/3訂正

 主にLPS系ハードコーラルの特にハナガサ、ナガレハナ系サンゴなどに、ヒラムシと呼ぶ1〜2mmくらいの茶色のチョウチョウのような形をした非常に平たい生き物が多数
つくことがあります。これは、いきなりサンゴが死亡するということは無いのですが、だんだんと増えてきて最終的にサンゴの表面を被ってしまい、ついにはサンゴが開かなく
なって死んでしまいます。
 幸い、これはサンゴを淡水の中につけて軽く振ることで綺麗に除去することができますが、十分な注意が必要です。
まず、多くの種類
で連続で15秒までの淡水とします。もし最初の15秒で除去しきれない時は、海水に30秒程度つけなおし、あらためてもう一度淡水浴をおこないましょう。
 
 また例外として、SPS
※訂正、コエダナガレハナのコロニー(単体)タイプ、アワサンゴの仲間は絶対に淡水浴そのものをしてはいけません。 僅かな時間でも確実に死んでしまい
ます。
※SPSはウスコモン、ヒメエダミドリイシで試したところ3〜4秒程度なら一応耐えることが確認できました。(R6/4/3訂正)
これらの種はサンゴを水槽内に入れたままにして淡水を入れた容器を水槽の上におき、エアチューブなどで淡水を水中で「サンゴの本体部分ではなく、伸びているた
ポリプだけ」にゆっくりとかけ、ヒラムシを剥がすという方法をとります。 あるいは、少し手間がかかりますが、サンゴを小さな透明の容器や別水槽に海水とと
もにいれ、照明も与え、エアーレーションを行いながらサンゴが開くのを待ち、ここでできるだけ落としてしまうようにします。

 生物では、マンダリンフィッシュの仲間が多少は食べてくれるようなのですが、個体差も多いらしく、食べない、効果の見られないものも多いです。
また、ブルーシースラッグという美しい青いウミウシがこれを食べてくれるのですが、残念ながらこれの飼育自体が難しく、実用的とは言いがたいようです。
 もっとも有望なのは、ニセモチノウオという3-4cmの小さなベラで、ヒラムシの牽制にかなり効果がありました。

さらに大変小さなヒラムシにご注意ください!2017/9/6追記分

 上記のようなはっきりとわかるサイズのヒラムシ以外に、大きさが全体で1mmも無い様な、ごくごく小さなヒラムシがわくことがありました。これは、当方でも極めて稀という
よりはじめてのことで、スターポリプなどが不調になってしまいました。とにかく小さく、かなり目のいい人でないと肉眼では発見しづらいです。サンゴだけでなく水槽全体には
びこり、ガラス面などにも見られました。また数にもよるかもしれませんが、ニセモチノウオもいましたが、おさえられませんでした。
サンゴの不調があきらかな場合は、水槽を一度淡水でリセット・大掃除するかですが、もっとも手軽で確実なのは下記、フラットワームソリューションの駆除がおすすめです。

 ヒラムシの特効薬 フラットワームソリューション 

 

※残念ながら2019年以降、本品が輸入されていないようです。
 すでに淡水浴でヒラムシを除去する方法をご紹介しておりましたが、別途大変効果的な薬品がこのお品です。アメリカからの輸入品でヒラムシ駆除の特効薬です。
水槽に所定量を添加すると、ヒラムシがまもなくボロボロと水中へ離れ始めすぐ駆除でき、本当に助かるお薬です。特に上記の小さなヒラムシはもうこれにかぎります。
 説明書には剥がれたヒラムシを除去し、水換えせよと書いてありますが当方は水量が多く、ろ過器がしっかりついていますので、そのままにしております。
 ただ、汚れは発生すると思われますので、そのつもりは必要になります。 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

●ホンハナマツムシ 

 
              (右)スターポリプの表面に付着するホンハナマツムシ またはムギガイ?

 大きさ主に数mm〜1cm未満の細長い、小さな赤いマキガイです。※以前、こちらのページではよく似ている”ムギガイの一種ではと紹介しておりましたが、こちらは誤りと
思われますので、上記画像含め訂正させて頂きます。
 この貝は当然天然にもいる貝で、僅かな数なら、いきなりサンゴをどんどん食べるということは無いようですが、数が増えてきますとあきらかサンゴの表面に寄生し、表面
の組織また粘液を食べているようで確実に被害を与えます。主に夜間に行動し、昼間は特に今現在、日々食べているサンゴの石の裏側、砂との間などに隠れているよう
です。(写真下は例です)

 また、被害をもたらす種が限定されているようで、現在当店で寄生がみられましたのは、スターポリプ、マメスナギンチャク、ナガレハナサンゴ、ミドリイシ類です。同じ水槽
にはウスコモン、ウネコモン、ハナヅタブルー、茶色のウミアザミがありましたが、これらには寄生しませんでした。ほかは現在まだ未確認です。 

対策

 見つけたらとにかく手で除去してしまうのが一番ですが、非常に小さいものもあるので注意が必要です。石を容器の角にあてて、コンコンとあてるとポロポロと落ちることがあ
ります。他の寄生動物と違い、定期的な手作業での除去でほぼ被害は抑えられる場合が多いと思いますが、なかなか根絶は難しいです。
 水槽にあまりに増えてしまった場合は、一度すべての生き物を出して、当方の方法では水温43℃10分程度の高水温状態にすればすべて殺すことができました。
 ちなみに淡水につけるだけでは1日つけても多くが生き延びるようですので効果がありません。
 また、普段からの対策として、これらは昼間はせまいところに隠れる性質がありますので、上記のミドリイシの裏側のように穴をみだりにもうけず、あればボンドなどで塞いで
しまうのもひとつであること、そしてこの貝は、細かい砂にはもぐれないようですので、底砂を3番以上のこまかいものにしておけば、隠れることができないので有利と思いま
す。明確な理由はわかりませんが、ほかのさな生物(ウミケムシ、ヨコエビなど)でも、これらせまい隙間に住み、また隠れようとする生物は、これらのせまいスペースがない
と増える数が抑えられるように思われます。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

カーリー (正式名チギレイソギンチャク、セイタカイソギンチャクなど) 

  無脊椎水槽には、カーリーと呼ばれる茶色で1〜4cmくらいの触手の先が尖がった如何にも気味の悪いイソギンチャクの仲間が発生、また増えることがあります。
 数種がいるるらしく、セイタカイソギンチャク、チギレイソギンチャクなどが該当しているようです。
 これは魚が触れると死んでしまったり、人でも指を刺されます。
除去しようとしてちぎればすべて増えると言うこまりものです。
 (似たもので触手の先が丸く、蛍光色のっている綺麗な物はスズナリイソギンチャクというもので、カーリーとは違いますがこれもカーリーより遅いものの、対策生物が見つ
かっていないうえ、大増殖するので早めにっておいた方が安全です。)

 対策1. ペパーミントシュリンプ・アカシマモエビ・アカモエビ・サラサエビ 

   
ペパーミントシュリンプ     カーリーにかかっていくペパーミントシュリンプ

 強いカーリーにも天敵がおり、カリブ便で輸入されるペパーミントシュリンプと、類似したアカシマモエビという3〜5cmの赤いエビ(¥1500程度)が食べてくれます。アカシマ
モエビとして扱われるものに数種あり、アカモエビとも混同されているようで、確実なのはペパーミントシュリンプです。
 おなかが減っているとラーメンをすするようにものすごいスピードで食べてしまいますが、エサを与えていると食べない場合もありますので除去させたいときは少し控えめにし
ましょう。特に岩が多く、カーリーが発生しやすいサンゴ水槽には、1匹はほしいところです。

 サラサエビによるカーリー除去の様子 

 一般的なサラサエビも空腹時にはカーリーを除去することがわかりました。下記で実験いたしました。ただし、サラサエビはLPSなどがあると先にそちらを食べてしまう
ことが多く、オオバナサンゴなどをまさに食べてしまいますので、それらの水槽では使えません。
 10L水槽にサラサエビ8匹を収容し、カーリー2匹およびイワスナギンチャクの近縁種と思われるものを収容し、観察しました。収容2日目までは食べる様子はみられません
でしたが、3日目 9/24には除去されていました。後、さらに別の水槽からカーリーを2個持ち込んで観察したところ、これもすぐに除去しました。
 

 対策2. 専用の駆除薬・カルシウム添加剤による駆除(BL5号 実験と発見に掲載した内容です。)

  昨今では専用薬が市販されており、また一般的な無機系カルシウム添加剤を注射器などでカーリーの体内にカルシウムの添加液 を直接注入すれば、ほぼ殺すこと
 ができます。 大きな個体は 2回くらい注射しないと死なないものもおりますが、 他の方法よりは大ダメージを与えることができます。
 ※ちなみに当店では、以前マラカイトグリーン、塩、熱湯吹きかけなど色々な方法をためしましたが、めだった効果がありませんでした。

 3.上記の対処が出来ない場合

 とりあえずの他の対処法として、その岩を取り出して、流しなどでその部 分をドライバーの先などでカーリーを岩ごと削るように突き崩し、その部分だけを うまく淡水でよく洗
 い流します。そしてすぐに水槽に戻せば石灰藻も ダメージを受けますが全滅にはならないと思います。水中でつぶすと無数の個体ができてしまう恐れがありますので注意
が必要です。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●ウミケムシ (主にハナオレウミケムシ)

     
画像(右)は指で触って実際に毒毛がささった状態です。ごく軽くさわった状態なら毒毛が表皮でとまって腫れたりはしません。
このときも、ごく軽く触れただけだったので、腫れ・痛みはありませんでした。

 ウミケムシはゴカイに近い仲間で、細長い身体に非常に細かな毒のある毛のような足が生えている生き物です。水槽内でよくいるのはハナオレウミケムシという種類だと
思います。大きさは、数mm〜大きなものでは水槽の中でも10cmくらいのものまでいたことがあります。
 ウミケムシは多くの水槽に少しはいるのですが、
3〜15番程度のサンゴ砂があり、またエサが多い水槽では特に繁殖しやすく、岩の穴や砂の中を住処にしていることが
多いです。毛のような足には毒があり、生体はもちろん、人間でもかるく触れただけで毒毛が乗り移るように刺さります。 

 また、エサをやっていない水槽でもサンゴが多い水槽ではなぜか大繁殖することがあります。

 サンゴは種類によりますが触れられると、翌日くらいに死亡してしまうものから、触れられ方にもより、長期間かけて死んでしまうものもあるようです。丈夫なはずのトサカ
やウミキノコだけがだんだん不調になった場合は、疑う余地があります。ハードコーラルの場合はまず骨格が壁になる種が多いので、一般にウミケムシが共肉に触れにく
い面があり、被害をうけにくいのではと思います。
 ただ、オオバナサンゴなどを砂地に直におくとだめになりやすいのはこのためもあるのではないかと推測しています。
 サンゴはできるだけ岩の上の方に置くことがまず対策です。 また、スターポリプなど触れられても(上を歩かれても)害をうけない種もあるようです。
 魚にエサをあたえていると、砂の中などから赤いウミケムシが出てくるような状態がありましたら可能性が高いです。
 この場合、全体として水槽の底に近い場所においているサンゴから主に被害が出やすく、なんとなく不調になっていきます。
 エサを与えたサンゴの上にのって、エサを横取りしようとしそのサンゴをだめにしてまう恐れがあるので、注意が必要です。
 普段、砂や物陰にはいって隠れ暮らしておりますが、嗅覚がするどいのか水槽にエサをいれるとすぐ沸くように出てきます。
実際には害虫だけではなく、砂の間を掃除してくれる益虫の面もありますが、明らかに大きなものは見つけ次第、ピンセットなどで摘み取るか、岩ごと出して駆除しておくことを
お勧めします。隠れるのが上手で、すぐに岩の中などに入ろうとします。

人が刺された時の対処  (命に別状はありません。)

 よくあるケースがライブロックなどを取り出そうとして岩のその裏側におり、見えないところで触ってしまう場合です。ですからあまり見えない場所を掴むことは避けた方がいい
でしょう。人間への毒性は他の海の恐ろしい生物毒に比較すればたいしたことはなく、刺さった瞬間「イタタ!」と痛みを感じ、その後数日間、触れた部分が痛痒い症状が続き
ます。
 私の場合の対処ですが、触って皮膚に毒毛が刺さってしまった場合、まずタオルで一方方向に軽く拭いて水分を出来るだけ取り、そしてガムテープや梱包テープの粘着部
分で一方方向にこすって取り除くようにしています。通常これだけですが、もし痛みがある場合は次に消毒と、これはタンパク質性の毒であると思われるため、少し熱めのお
湯に患部を1分ほど浸して、成分の分解(失活)を促すと良いと思います。最後に、ステロイド系などの軟膏などを塗っておくと良いでしょう。

対策&ウミケムシを食べる生物 

 まず、大きなサイズのものはピンセットでつまんで取り出すしかないと思います。水槽では長さが1cm前後から、太さ1cm長さ10cm以上もの大きなものまで潜んでいたこ
とがあります。
 また、あまり食べるものが居ないといわれた本種ですが、数cmまで小さななものなら、捕食する生物が複数わかってきております。以下に紹介いたします。

 ・アカシマモエビ ・アシナガモエビ ・ペパーミントシュリンプ ・サラサエビ(キャメルシュリンプ) 等

    
        

     
                             アカシマモエビ

 これらのエビ類全般にいえるのは、かなり空腹でないと食べないことで、魚などにエサをあたえている環境ではあまり効果は期待できません。
アカシマモエビと言われる種類にはどうやら数種の近縁種が存在するらしく、多くは写真のように、体を立てに見て横シマ模様のものですが、ペパーミントシュリンプに酷似し
た縦スジ模様のものが入荷することがあります。また、カーリーを食べる種類として、”カーリーシュリンプ”の名前で取りあつかっている生体業者さんあります。

 カーリー除去に有名なペパーミントシュリンプも、空腹時にはあきらかにウミケムシを食べることがわかりました。こちらで複数回、実験をしました。また、ウミケムシを食べる
くらい空腹のときにはカーリーもかなり旺盛に食べてくれるようです。
 アシナガモエビは令和3年初頭に初めて取り扱いと実験をおこないました種でした。サンゴモエビと同様にトロロ状の藻類を除去してくれる藻類で、普通にエサも与えている
水槽でウミケムシを自らとって食べている姿を数回、目撃しました。比較的積極的な面があるかもしれません。
 サラサエビが空腹時にはカーリーだけでなく、ウミケムシも食べることが確認されました。ただし本種は空腹になるとサンゴ(特にオオバナサンゴ・コハナガタサンゴなどのL
PS)を先にたべてしまうことが多いため、実際にはサンゴ水槽で有効につかうのは難しいと思います。

>>こちらに動画も掲載しました。(音量注意MP4) 2020/7/19<<

・エメラルドグリーンクラブ 

 本種もエサを与えられている環境ではウミケムシを無視しますが、かなりの空腹時には食べることがわかりました。当店でも複数回試験を行い動画を撮影しました。
バロニア・藻類対策が一番の仕事で、サンゴにも害がすくないため、餓死に注意すれば有効かもしれません。
 以下、パイプの内部にいるものを撮影しており、やや見にくいですが、ご容赦下さい。

  >動画をこちらに掲載しています。(MP4ファイル・音量ご注意下さい。)< 

・アロークラブ 

 これはもともと一般的にウミケムシをかなり積極的に食べる効果があり、それで有名なカニです。ただ、残念ながら本種の飼育自体が難しく、最初はエサもたべて元気に
しているのですが、こちらでも在庫中に急に死んでしまうことが多いので、扱いを断念しました。これら足の長いミズヒキガニ系のカニは敏感なのようです。
 また、生きているシャコガイなどもちぎって食べていました。

・ヤマブキハゼ

 機関誌BL6号にも掲載しておりますが、本種がたべた記録や報告が内外であります。ただしこれには個体差があり、食べない個体も多いことが後にわかりました。

 >動画をこちらに掲載しています。(MP4ファイル・音量ご注意下さい。)<

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

●ウミウシの仲間 (ミノウミウシの仲間、ユリアガイ等) ※記述中

       
      スターポリプに寄生したもの                       マメスナギンチャクに寄生していたもの

  
ウスコモンサンゴ(裏側)に寄生しているウミウシ                   ウミブドウなどのイワヅタ海藻類に寄生・増殖したユリアガイ

 各サンゴや海藻の特定の種類やグループ仲間をほぼ専門に食べるそれぞれのウミウシの仲間が繁殖してしまうことがあります。
 総じて繁殖力が旺盛で、卵をどんどん産むうえに、成体は対象のサンゴ・海藻などからついたり離れたりもするらしく、見えている成体を現時点で一度だけ除去してもそれ
だけでは完全駆除がしきれません。最終的に対象のサンゴや生体を全滅させてしまうもので、
 当店が遭遇した海水の無脊椎での有害生物の中で、もっとも厄介ではないかと思われる生物の仲間です。

 自然界では、これら対象のサンゴや生体を増えすぎないように抑える作用を果たしているのかもしれません。

 当店では過去に数度、スターポリプがほぼ全滅に近い状態になり、2019年にはイワヅタ海藻にユリアガイと思われるウミウシの仲間が海藻が全滅一歩手前までになりまし
た。(ちなみにユリアガイは海ではむしろ珍しく、環境がよいところしかいないため、ダイバーの方には発見すると喜ばれる生物だそうです。)
 
 また、2021年1月以降、ウスコモンサンゴの養殖水槽に大発生し、その駆除対応に追われ、4月までかかってようやく復旧にこぎつけました。
 以下、まとまりがない内容ですが、現状で分かっていること、対策などをお伝えさせて頂きます。

対策1 オキシドールによる殺虫処理(対成虫) ※あまりお勧めできません。

 すでにある程度一般的になっている方法ですが、薬局でうっているオキシドール(500mlで¥300程度)を2割程度いれた海水で、数分エアーレーションしながら付け込むこと
で、成体はほぼ駆除できます。また同時にウミケムシも除去できます。(効果を出すために、エアーレーションは必須です

 ただウスコモンサンゴなどはこの処理を行うと、褐虫藻も一旦かなり抜けてしまいます。また、この方法ではウミウシの卵までは除去できないようです。この場合、サンゴが
小さく、また数が少ないなら歯ブラシなどで注意深く落とすと良いでしょう。

 はじめて水槽に入れる前にオキシドールで各サンゴを処理するのは色々な害虫を除去する意味で効果的と思いますが、サンゴの種類によってはダメージがあることと、ウミウ
シの卵までは除去できないのでこれだけではとても完全ではいえない面があります。

対策2 別容器内での水流・水圧での除去 (対成虫)

 バケツなどの別容器内に、海水を入れ、毎分10〜20L程度のパワーヘッドをつけてその水流をあてると、成虫はほぼ落とすことができます。
この方法は、サンゴへの悪影響がほぼないため、時間をかけることができます。
 また当店ではウスコモンで対策1のオキシドールの溶液でまず1分ほど浸し、この対策2をかけ合わせて行ってみたところ、効果的に除去できたと思います。
ただ、いずれにしても見落としに注意しないといけないこと、また卵まではおとせないのでサンゴが小型、少量なら、歯ブラシ等を使い一緒にきれいにおとしておく必要があり
ます。 卵は主にサンゴの裏側、共肉と土台石の境目あたりに産み付けることが多いようです。その上で、対策3と併用した方がいいと思います。

対策3 サラサエビ、ペパーミントシュリンプを使った卵の除去

 サラサエビ、ペパーミントシュリンプがウミウシ本体はなかなか食べないと思われますが、卵ならかなり好んで食べることがわかりました。

2019年に各海藻にユリアガイが繁殖したとき、サラサエビを各10Lの海藻水槽に1匹づついれたことで繁殖をとめ、人為的に成虫をこまめにとることで、駆除しきることができ
ました。
 ただ、イワヅタ海藻類はよほど密に繁殖しないかぎり、サラサエビにとってほぼ死角はないのですが、ウスコモンサンゴ等の場合は、サンゴのサイズ・形状、周囲の岩など
の隙間の状態によってはエビが手が届かない死角に卵をうみつけることも多く、こちらでもサンゴを日によって裏返したりしてまんべんなく食べさせるようにしました。
 サラサエビはウスコモンにつくウミウシ、海藻につくユリアガイの卵 を食べることがほぼ分かっています。

以下、ウスコモンサンゴにウミウシが卵をうみつけたものをサラサエビ、ペパーミントシュリンプが1日で除去した結果です。

   
(左)サラサエビの試験水槽                 (右)ペパーミントシュリンプの試験水槽

対策4.手作業でのハブラシなどでの除去(主にコモンサンゴでの対処)

 2021年1月以降、養殖ウスコモン水槽で繁殖したものは、最終的にこれでしか除去しきれませんでした。当方では多量にあったウスコモンの個体を一個一個をみがき、見え
る卵や成虫はもちろん、見えない部分も丹念に歯ブラシでみがいて海水ですすぎ、まったく繁殖していない別水槽に移し替えました。
 こちらでは一回、丁寧にこの作業をすると多くが完全に除去しきれました。ただ、大きな個体で磨き残しがあったものだけ、再繁殖が見られ、もう一度磨きました。とにかく、

一般の方は、水槽が一つしかない方が大半だと思いますので、その場合は一度完全に磨いたあと、一週間後にもう一度何もなくてみ磨いてすすぎ、以後一週間ごとにサン
ゴの裏側などをよくチェックされるといいのではと思います。 

(イワヅタ海藻での経緯)

 2019年1月頃、当店の海藻を養殖している30cm・10Lの複数(ウミブドウ、キザミヅタなど)の水槽にユリアガイが発生し、生体をいくら除去しても延々と子供が生まれて、海
藻が枯れていきました。そこでサラサエビならユリアガイも食べるのではと思い、各水槽にサラサエビを一匹づつ収容し、他にエサを一切あたえず、様子をみたところ、
ユリアガイ自身は食べませんでしたが、新しい子供はどの水槽も発生しなくなり、ユリアガイだけを手作業で駆除しつづけたところ、ついに完全駆除に成功し、海藻が成長回復し
ました。 このときは、卵そのものが見つけにくいこともあり、サラサエビが卵を食べている現場は確認できなかったのですが、結果としてそれ以外に考えられないと思います。 

 対策4 サラサエビ・ペパーミントシュリンプ等が、ウミウシ自体も食べる可能性がある。

 上記のユリアガイなど襲われると殻にはいってしまうものは無理なようですが、サラサエビ・ペパーミントシュリンプがマメスナ・ウスコモンにつくウミウシをつかんで食べている
姿を目撃したことは数度あります。
 ただ、あらためてこれらがいる水槽に水槽にウミウシを多数いれても、それを積極的に食べる様子は観察できません。
 かなり美味しくないらしく、よほど空腹にならない限り食べないようです。ただ、双方の種のみが5〜8匹入ったの30cm10Lの水槽に、ウミウシおよびその卵が多数つ
いたウスコモンサンゴを数度にわたっていれたところ、まず翌日には卵が完全になくなり、翌々日までにはウミウシも完全に居なくなっていたので食べている可能性は否定
できせん。ただ、普通にエサを与えている一般の水槽では、広いうえ、ウミウシ本体を食べさせることは難しいため、やはり卵を抑えるまでの効果を期待したほうがいいのでは
ないかと思います。

他、補足など

・スターポリプにつくものについて

スターポリプに良く似たウミウシで、これも放っておくとどんどん増えてしまいますが、コモンサンゴや海藻につくウミウシより大型で繁殖が遅いようで、僅かな数ならよく調べて
人為的に除去するだけで間に合う場合があります。(当店では昔、スターポリプが全滅させられました。)最初はほぼ一匹だけのこともありました。
スターポリプを岩ごと海水と別の容器に入れ、水流やピペットなどで本種だけを吹き飛ばしてしまうようにします。

・ウスコモンにつくウミウシは何日で餓死(水槽から死滅)するか


 ウスコモンサンゴについたウミウシが、エサが無い状態でどれくらい生き延びるのか、ビニール袋にいれて試験してみました。
2021年1月30日から開始し、最終的にすべて死亡がみられたのが2/17でした。すくなくとも約二週間強、生き延びることがわかりました。
この間、もちろんエサもなく、水もある程度汚れているはずなのに、この小さな体で強い生命力と思います。
 また、海水を40℃に加温しても一部が生き残るという結果がありました。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

■(第2部)水槽内の藻類と対策

 水槽内で生えてくる藻類やいわゆるコケは大変厄介なものです。※「コケ」というのは本来は不正確な俗称で、主に平面状に薄く広がるタイプの藻類が、陸上の植物の”苔”
に見た目が似ているので、一般にこう呼ぶことが多いです。本ページでは以下、これらの該当する藻類をそのまま「コケ」と書かせていただきます。
これらが生えるには、原因は複合しており、まず水質的にはエサを多く与えていて栄養塩(硝酸塩、リン酸塩)の多
い場合、そして光の強い水槽ほどやはりよく生えます。ただ、実際には硝酸塩・リン酸塩・珪酸塩などをテスター上でほぼ0ppmにしていても徐々に生えてくるもので、やはり
水質だけで完全に抑えるのはまず無理と言えるでしょう。また、発生量はそのシステムがどのようなろ過システムであるかにも大変影響されます。機関紙BL5号にも載せて
おりますが、ベルリン式など物理的なフィルターが無い場合と、通常のろ過式では、やはりろ過式の方が栄養塩が多くても、茶コケ・糸状の藻類の生え方が幾分少ないという
結果が出ております。やはりフィルターにも藻類の組織・胞子が除去されているらしき推測が立ちます。これらは、こちら、
サンゴ飼育ガイドに記述を行っておりますので、ご覧
いただけますと幸いです。
 以下では、主にそういった藻類やコケを食べてくれる有難い生物をご紹介します。水槽のガラス面は最終的には人の手によって掃除しなければ完全には綺麗にできません
が、それでも生物を利用すれば大半を除去をしてくれます。

藻類、いわゆるコケや糸状の藻類であるいわゆる”藻”(も)を防ぐにはいくつかの基本的な方法があります。

 ・照明時間を毎日5〜6時間のみにする。(サンゴ・イソギン・海藻などがもともと健康なら問題ありません。)
 ・栄養塩があまりに多い場合は海水を交換する。ただし、水道水から入りやすい珪素のため、珪藻などはかえって増やす恐れがあります。また、実際には硝酸塩やリン酸塩
  がかなり低くても、藻類は生えます。
 ・藻類を除去する生物を入れる。(ページ下で詳しく記述しています。)
 ・(もともと硝酸塩が低いなら)あまり水換えをしないようにし、添加剤を中心に維持する。
  ※本来、栄養塩を取り除くために海水を替えるのですが、もともと硝酸塩等が低い状態の時に替えますと、珪酸などが新たに追加されるため、相対的にかえって藻類が増
  えることになる場合があります。

補足

 ただし、藻類が沢山生えてしまった状態から、上記の改善策を施してもまずそれだけでは改善は出来たためしがありません。
 この場合は一度すっきり綺麗に水槽を掃除してしまって、 それから上記の対策を行った方が効果的で、特に糸状の藻類は以後全くでないことが多いです。
 また、同じ循環で繋がっていて、まったく同じ水質・ほぼ同じ照明でも藻類が増える水槽とまったく増えない水槽があります。

 大掃除以外の方法は、もし別水槽がある場合、水槽内の光合成を行う生物だけを別の水槽に移してしまい、対象の水槽の照明を完全に消しっぱなしにすれば、藻類は数週
 間でほぼ消滅します。水槽を囲って遮光すればなお効果的ですが、室内の光くらいなら藻類はまず成長はしません。魚がいる場合は少しは照明をしないと病気になってしま
 いますので、1日1〜2時間程度だけ照明すると良いでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

各藻類(いわゆるコケ)の種類と概要 

 水槽の中には、色々な種類のコケや藻類、海藻類が生えます。当方らの種々の実験でどのような際にそれらのものが発生してくるのか、また発生しないかがだいぶ判明
してきました。 本ページ冒頭にも掲載しております本項目の索引をここにも掲載しております。


■水槽内の藻類と対策

●水槽面などにつく薄く柔らかい藻類

●トロロ状藻類(主に水面に出るもの)

●糸状の藻類(いわゆるヒゲゴケ)

  ●サンゴモエビによる除去の様子

  ●ハナビラタカラガイによる除去実験

  ●マガキガイによるツツウミヅタ等サンゴ本体についた藻類の除去

  ●ろ過の観点からの参考実験

●シアノバクテリア (分厚いノリ状藻類)

●ハネモ類

 ●サンゴモエビのハネモへの効果確認

 ●タツナミガイ・アメフラシの試験報告 

●シオグサの仲間(ブラシ状の硬い藻類)

●バロニアの仲間

●水槽面につく、硬い褐色の藻類


●水槽面などの柔らかい緑色、茶色の薄い藻類

 主に水槽の壁面に生えてくる薄く、茶色く、こするとすぐに落ちるコケは、珪藻の類が多く、これは初期は水道水に含まれる珪酸塩が原因で増えることが多い様です。
ただ、珪酸塩は水槽内で準じ消えていく場合が多いため安定期にはだんだんと落ち着いていくものですが、差し水や水換えが多いとかえって増えることが多いです。市販の
浄水器も大変効果があるようです。 
 また、砂の上に生える藻類は、砂にもぐるムシロガイ、砂の表面を撹拌する
マガキガイが効果があります。

 主に駆除効果のある生物:

  タカラガイ類 マガキガイ  タマガイ 一般的なコケトリ貝(シッタカ等) フタイロカエルウオ ヤエヤマギンポ 

・緑色・茶色の硬いコケ

 水槽やガラス面に生える薄い緑色のコケは、石灰藻にも近く、硝酸塩、リン酸塩やミネラルに起因しているものが多い様です。これはある程度予防のしようが無く、磨き落と
すか、コケ取り貝などにも協力してもらったほうがいいでしょう。
 また、水換えを頻繁に行いますと硝酸塩が数割減りましても、 珪酸やミネラルが補給されますことでかえって生えやすくなる場合も あります。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●トロロ状の藻類(主に水面に出るもの)

 トロロ状といっても複数ありますが、ここれは上記の写真のように水面にでるものを紹介させて頂きます。これらは油膜をはじまりとして増えると思われ、生物がほぼ食べな
いのでとりいそぎ、人為的に吸い出すかスポンジなどで早めにふき取ってしまうといいでしょう。
 あと、もともとこれは水面が停滞していることで油膜を機縁に発生したと思われますので、油膜が張らない(水面の水が吸い込まれるような排水状態、水面の水の流れ、
またはエアーレーションなどのなんらかの動きを加える等)を行うようにした方がいいでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●糸状の藻類 (いわゆるヒゲゴケ) 2021/4/21〜4/24

 よく生える藻類で、これは特に硝酸塩・リン酸塩の濃度の他、水槽に物理ろ過能力があるかないかで発生率がかなり違うことが分かってきました。
物理的なろ過能力の高い水槽の方が発生が少ない様です。 
 また、見た目におなじようなヒゲゴケでも種類があるようで、各生物によってえり好みがあり、例えばサンゴモエビが食べないものをハナビラタカラガイが食べるなどという
ことあります。

 主に駆除効果のある生物:

  ◎タカラガイ類 〇サンゴモエビ ○マガキガイ ○ヤドカリ類 ○フタイロカエルウオ ○ヤエヤマギンポ 

●サンゴモエビによる除去の様子

 糸状藻類については、除去する場合としない場合があるようです、写真のように、少しだけ生えている場合は綺麗に除去してくれる場合が多いですが、ある程度成長して
 しまった藻類は、サンゴモエビの群れの中に藻類のついた岩をいれて何日経過してもほとんど関心もしめさないことがあります。

 

●ハナビラタカラガイによる除去実験 (2017/10/24) 

 当店の養殖ミドリイシの土台岩に糸状藻類が繁殖し、サンゴモエビやエメラルドグリーンクラブなどが除去しなかったものを、ハナビラタカラガイが大変積極的に食べ
 る様子が観察できました。

●マガキガイによる、ツツウミヅタ等 サンゴ本体についた藻類の除去

 マガキガイは一般に底砂撹拌が主な目的で飼育されますが、意外に藻類もよく食べてくれます。
主にツツウミヅタやハナヅタなど、ツタ状のサンゴの主にランナー・茎部分に糸状の藻類などがまとわりつくことがあります。この場合、サンゴモエビがとってくれればいいの
ですが、前述のようにえり好みをする場合、マガキガイを試す価値があります。マガキガイは、以下の写真のように掃除機のように口をつかって綺麗にとってくれる例がこちら
でも多数あります。
 ・ただ、マガキガイは重い本体がサンゴの上を移動したり転がることで、これらのサンゴを痛めてしまうことも多く、レイアウトにもよりますが継続すると致命的になってしまう
 こともあります。場合によっては藻類除去のための一時的な収容・飼育にとどめるなどし、悪影響がでていないかよく観察しましょう。
 


ハナヅタ本体についた藻類を除去するマガキガイ 

●ろ過の観点からの参考実験

 これは、ヒゲコケに限らず、他の藻類でもいえることかもしれません。
 以下、サンゴ飼育ガイド・機関紙BL5にも掲載をいたしました同じ時期に立ち上げた3種の実験水槽の写真ですが、それぞれで発生してくるものが明らかに違い
ました。左から、レフジューム(海藻)+ろ過では、全体的に非常にコケなどが少なく、中央のろ過+還元では水槽壁面に薄い緑色のコケ、ベルリン式では糸状の藻類の発生が
もっとも多くみられました。硝酸塩はいずれもほぼ0ppmで、リン酸塩が、多い順<撮影時の濃度で)に、ろ過+還元(0.5〜1ppm)、レフジューム+ろ過(約0.2ppm)、ベルリン
式(ほぼ0ppm)でした。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●シアノバクテリア(分厚いノリ状藻類) ※緑色もあります。 

 

 栄養塩が高い場合でも低い場合でも、発生する、スライムのような通常は赤いものが多い藻類(シアノバクテリア)です。赤いものはレッドスライムとも呼ばれます。
 水質がかわるとさっと消えることもありますが、栄養塩が低い場合でもでるものはなかなか除去は難しく、効果的にこれを食べる生物があまり見つかりません。

 発生原因 

 発生原についてわかったことがあり、上記の写真でもそうですが沈殿物など汚れの上にそれを苗床のようにして生える傾向があります。結果、エサの残り等もそれになりえ
ますのでエサをよく与える水槽で発生しやすいようです。また、当店の水槽作業でわかったことは、これら沈殿物を巻き上げてしまうとそのあとで同じ水が通っているいろいろ
な水槽で発生がみられました。

 対策

 端的には除去効果のある製品で レッドスライムリムーバーという製品が特効薬です。水質が一時、栄養塩が増えるなど副作用もありますが効果はばつぐんです。

 生物では、底砂に生えたときはマガキガイが結果的にはがすことで除去し、濾過槽があれば送り込んで結果的に除去してくれるという効果があります。
 ツツウミヅタなどのサンゴの茎部分に生えたときも本種が有効です。(
マガキガイの項目をご覧ください。

 また同じ赤いシアノバクテリア、あるいは類似した藻類でも種類があるらしく、厚みが薄い、もはやシアノといえない?ようなものは、タカラガイや普通のコケトリ貝でも除去で
きるようです。 
 また、光の照射や時間を控えると、それだけでかなり減る場合があります。当店では、2日消して1日つける、ということの繰り返し、またタカノハヅタの海藻にまとわりついた
 ものを、となりの水槽の間接的なごく弱い明るさにおさえて一週間くらいたつと、海藻は無事でほぼきれいに消せたことがありました。

 注意点 

 レッドスライムリムーバーの使用で注意することは、これを使用しますことでシアノバクテリアが一気に溶解して無くなることです。もしこれで水質が危険になった場合は見計
らって水換えが必要になります。 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●ハネモ 

 

 駆除効果のある生物: ◎サンゴモエビ ○エメラルドグリーンクラブ

 葉幅1〜2mmの細長い、まさに羽のような藻類で、一旦繁殖すると除去が大変困難でとってもとってもすぐ生えてくる藻類です。ハギ類などに普段からかじってもらうか、
生えてしまった時はブラシ、淡水で完全に除去しきるしか対策がないかと思っておりましたが、2016年6月前後の実験で
サンゴモエビが大変有効であることがわかりました。  

●サンゴモエビのハネモへの効果確認

  サンゴモエビは、いわゆる”ハネモ”の除去には大変効果があることがわかりました。ハネモにも種類がありますので、すべてに効果があるかは不明ですが、当方で発生
した、葉の幅1〜2mmのハネモは、サンゴモエビが積極的に除去してくれました。以下、たった1日で確実に判明した実験例です。

         
                                   (右)全体写真※7/3再追加掲載     

●タツナミガイ・アメフラシの報告

 ハネモは、本種のほかはタツナミガイというアメフラシの近縁種が有効と言われており、当方でも20匹程度を収容して各水槽で実験したところ、実際にいくらかは食べて
くれましたが、食べるものの、気まぐれな面もあって、ハネモがあるのに無関心だったり、また本種の飼育自体が難しいようで?最終的に数週間でほぼ全滅してしまいまし
た。タツナミガイは、対策として使いにくいというのが現在の結論です。また、当方現地で採集できるアメフラシも実験しましたが、特に効果はみられませんでした。

 
(左)ハネモを食べるタツナミガイ     (右)2016年5月頃に当店で実験した水槽

●参考補足 サンゴのついた岩に、イワヅタなどがまざるようについてしまった岩の対処 2017/9/28 

 例えば、ハナヅタなどのサンゴが付いた岩に、細かいウミブドウなどの海藻類がついてしまって、手でいくら除去してもまたすぐ生えてきてしまうこまった状態になることが
あります。通常、サンゴモエビは観賞用でもあるウミブドウなどのイワヅタは食べません。ただ、不思議なことに、水槽内で元気に繁茂しているイワヅタは食べないのに、例
えばこれらを除去したい岩があったとして、まず海藻を手でできるだけとって、残ったクズのような海藻のついた岩(放っておくとまたここから増えてきます)を、この水槽に入
れると綺麗に跡形もなくたべてくれます。
 生物は、死に掛けたもの、腐りかけたもの、弱ったものなどを優先して食べるという傾向はしばしば見られるるようです。サンゴの岩にこれら海藻がつくととても困り
ますが、この習性をよく利用して、当方ではうまく除去させてもらっています。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●シオグサの仲間(ブラシ状の堅い藻類)

 

 駆除効果のある生物: エメラルドグリーンクラブ

 ライブロックから、成長が遅いながら、あきらかに堅さをもつブラシのような主にシオグサ科という仲間の海藻(チャシオグサ、ネンジュモ、ジュズモ等)が生える場合があります。
これらの中でも種類があるようです。主に、エメラルドグリーンクラブが食べることがわかりました。ただ、もっとも太く硬いタイプは本種でも食べきれず、根本部分は残ることが
多いです。人為的に除去したほうが早いでしょう。  
 またキイロハギなどの丸い系のハギ類のかなり大きなサイズがいる 水槽で、これを一生懸命食べていた様子を、他の方の水槽で一度だけ見たことがあります。
いずれにしても、小さな生物では歯が立たないようです。  
 僅かな分量なら、人為的に岩を取り出して大まかにハサミやニッパーで契り、上から サンゴ固定用のボンドをかぶせてしまうのも方法だと思います。
 またライブロックでなくしていいのなら、乾燥させて枯らし、あとからブラシで擦り取って掃除して取るという方法もあります。

・エメラルドグリーンクラブがシオグサの仲間(ネンジュモ・ジュズモ等)を食べる様子  R2/11/2 (動画)追加

 
↑画像クリックで動画(MP4)再生します。音量注意下さい。↑

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●水槽面につく、硬い褐色の藻類

 薄い褐色、または黄土色をして、水槽の壁面に薄く難くへばりつき、主に円形でだんだん大きくなっていく藻類が増えることがあります。石灰藻とは違ってあくまで軟質な
ものですが、コケトリ貝などではあまり歯が立りません。当方でためしたところ、コシダカウニなどがゆっくりですがとってくれることがわかりました。
 ただ、ウニ類は水槽のレイアウトをめちゃくちゃに壊してしまうことが多いため、実際サンゴ水槽ではなかなか使いにくいと思います。
結局、ウニが使える一部の水槽以外では、スクレーバーなどで手で取ることにしています。

以下、2-3cmのコシダカウニを4個入れて除去を試みた試験です。水槽サイズ:30*18*22cm

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●バロニアの仲間

 オオバロニアや変形したものなど近似種もありますが、一般にバロニアと呼ばれます。
 写真のように泡状・風船状の見た目に綺麗な海藻なのですが、どんどん増殖してろ過器のパイプやストレーナなどを塞いだりひどくなるとサンゴを覆ってしまうことがあります。
 手で簡単に取れますので、数が少なければそれによる除去も可能です。ただ、水中でプチっと潰すと中の液体からまた無数に増殖してしまうという話があり、つぶさないよう
にそっとはずすようにとるべしといわれます。確かに当方の養殖サンゴ水槽での経験上でも、かつて潰していた水槽でそのあと、徐々に増えていきましたので、結果的に真実
ではないかと思います。
 そのため、少ないうちは、手でそっととってしまうか付着している砂や岩をそのまま外に出してしまって乾かせるか、淡水で綺麗に洗うのも方法です。
 当方では下記のエメラルドグリーンクラブを知らなかったとき、水槽中に増えて困った時は一旦生き物・砂を全部出して砂もとりかえて大掃除したり、紫外線を水上から半日程
度あてて殺したことが何度もあります。

 当店では2017年頃からエメラルドグリーンクラブという小さなカニがこれを除去してくれる情報を知りました。上の写真の手前にも写っております。
ただ、エメラルドグリーンクラブもほかに美味しいエサや藻類があるときはバロニアを食べてくれないことが多く、食べるものがなくなって最後に食べる場合が多いです。

★バロニア除去実験

試験1.

 養殖サンゴを飼育している水槽の一角に、下記のように容器をとりつけ、この中にバロニアが付着している2〜3cmのサンゴの小石と、エメラルドグリーンクラブ1匹を収容し、
様子を見てみました。ただ、途中でエメラルドグリーンクラブが何度も逃げ出しましたので、そのたびに容器に違う個体になりますが、できるだけ1匹を入れつづけました。
 

 
(左)容器全体 (中)同日のバロニア部分の拡大 (右)約11日後の状態。バロニアの多くが色が抜けて枯れてきていました。
※バロニアは非常に丈夫で、サンゴを飼育している環境で自然に枯れるなどということはほぼありません。

試験2.(2017/7/19追加掲載)

 こちらは上記の試験1.の水槽の、容器の外の水槽での観察です。これは養殖サンゴのディスクコーラルの水槽 60*45*10cmの水槽が2つ繋がった(行き来可能)な養殖
サンゴ水槽で、エメラルドグリーンクラブを販売用在庫水槽として利用して、常時合計4〜12匹ほど在庫していました。下記は約2ヶ月の後ですが、実際には一ヶ月くら
いであきらかにバロニアが減っていることが確認されていました。   


--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

■第3部 対策生物の紹介 (記述中)

 すでに上記までの有害生物・藻類除去の対策記事として各対策生物も紹介しておりますが、ここであらためて補足もこめ、各対策生物を重点的にご紹介させて頂きます。

<索引>

(エビ・カニ類)

 ・アシナガモエビ

 ・エメラルドグリーンクラブ 

 ・サラサエビ(キャメルシュリンプ)

 ・サンゴモエビ

 ・ペパーミントシュリンプ/アカシマモエビ(アカモエビ)

 ・ヤドカリ類 

(貝類)

 ・コケトリ貝(いわゆる一般的なもの)

 ・タカラガイ類(主にハナビラタカラ・キイロタカラガイ)

 ・タマガイ

 ・ヒザラガイ

 ・マガキガイ (R2/11/26)デメリット追記

 ・ムシロガイ  (記述中)

 ・他の貝類(ムシロガイ、カノコガイ等)(記述中)

(魚類) 

 ・ニセモチノウオ

 ・フタイロカエルウオ

 ・ヤエヤマギンポ 

(エビ・カニ類)

●アシナガモエビ

  

 2021年1月より初めて入荷し、各試験をおこなっています。主に国産で価格もサンゴモエビと同様で比較的安価なエビです。
 サンゴモエビ同様に藻類を食べ、柔らかい糸状の藻類には食べ方も激しいです。
 ただ、サンゴモエビが食べない糸状の緑色の藻類について除去作用を当初、期待をしましたが差異はみられませんでした。 
 また、サンゴモエビは、硬いシオグサの仲間はあまり食べませんが、シオグサの中でもまだ細くて柔らかいものはたべる場合もありますが、アシナガモエビはほとんど手を
 つけませんでした。その意味では、藻類除去に限ってみればサンゴモエビに譲るといえると思います。

 ただ大きな利点として、1〜2cmのウミケムシをかなり積極的あきらかに食べることを数度、目撃しました。このウミケムシへの積極さは空腹状態にもよりますが、ペパーミ
 ントシュリンプやアカシマモエビより勝ると思います。ただ試験したところカーリーは食べませんでした。
 サンゴへの食害を試験したところ、スギノキミドリイシ、ハナヅタブルー、ウミバラ(LPS)、マメスナには特に被害はみられませんでした。ハナガササンゴの腐食した部分を掃
 除して止める作用も確認しました。
(後日、本館記事に実験データなどを掲載予定です。)

●エメラルドグリーンクラブ (追記2017/5/26)

利点・特徴:

 藻類全般を食べ、なにより他の生物が食べないバロニアを食べてくれます。基本的に、いわゆるコケ・藻(モ)の類よりも少し固い、また高等な海藻類(イワヅタ類など)を好む
傾向があるようです。

 ただし他の藻類の方をあきらかに先に食べ、下記のバロニア除去実験をしておりました間、バロニアを食べてない時にも、ピンセットでハネモや
他の糸状の藻類を本種
に与えると受け取って食べてしました。これらのほかの藻類を優先的にたべてから、しかたがないのでバロニアを食べにかかる、という具合のようです。ただ、トロロ状の柔ら
かい糸状藻類はあまりたべず、歯ごたえがあるものを好むように思えます。
 本種のバロニアの食べ方は、本種のサイズにもよると思いますが、バロニアの組織の一部に穴をあけて食べる程度のようですが、それだけでそのバロニアは体液が抜け
透明になり、やがてなくなります。
 ただ、本種が食べる過程でやはりバロニアの中身が外にでて、散らしてしまうため水槽にあらたにバロニアが増える原因にもなることが考えられますが、実際にこういう除去
生物が常時居れば常にたべるため、全体としては確実に減っていき、また水槽の各所でバロニアが増え始めたとしても、これら藻類は小さい新芽のときほど柔らかく、生物
のエサとしても好まれるため、いずれにしても結果的に除去できることになるのではと思います。

餓死に注意 

 重要なことは、特に藻類が無くなった時、綺麗になったと喜んでエサを与えないと餓死してしまうので、魚用のエサでいいので注意してしっかりあたることが大事にです。

 欠点:さすがにカニだけありまして、おなかが減って、食べ物が少なくなると、小さな魚を襲って食べてしまうことがあるという噂があります。
 →2020年11月現在まで約4年間扱ったところでは、魚類を食べたこと、連絡はまだ一度も経験がありません。    

    2017/8/3 以下追記、ウミブドウなどイワヅタ類なども好んで食べてしまいます。(写真下)ただ逆に、これら海藻類を除去したい場合、除去しきれずに困る場合が
    当方でもよくありましたので、有効な場合もあると思われます。

 適当・必要数の目安 : 海藻の量によりますが、魚を狙う以上できるだけ バロニアをできるだけ除去しておき、予防的に本種を1匹だけでも入れるような使い方が好ましい
 のではないかと思われます。

●サラサエビ(キャメルシュリンプ)

    

 空腹状態ではカーリーやウミケムシも食べることが当店実験で判明しましたが、それくらい空腹だとサンゴ(特にオオバナサンゴなどのLPS)をあきらかに食べてしまう傾向が
あり、サンゴ水槽では飼わないほうがいいでしょう。
 カーリー対策にはアカシマやペパーミントシュリンプがお勧めです。また、一部でスズナリイソギンチャクの除去生物として知られていますが、当方のこれまでの実験では確
認ができませんでした。植物質のものはあまり食べないようですが、食べ物が少ない場合は、イワヅタ海藻類もいくらかは食べるように思われました。 

●サンゴモエビ

 除去するもの: ●糸状の藻類(いわゆるヒゲゴケ)  ●ハネモ類 

 利点:身軽でどの岩にも登ることができます。 ・他の生き物にまず危害を加えません。 ・ハネモを好んで食べてくれます。 

 欠点:いつも餌が与えられる水槽では、藻類をあまり食べません。※お詫びと訂正 以前、普通のエサを与えると食性が変わってしまうと書いておりましたが、空腹になれば
    また藻類を食べるようで、食性そのものが変わるということは無いようです。申し訳ありません。ここに、お詫びと訂正させて頂きます。

    出来るだけエビに餌が回らないようにするべきだと思います。ただし、餌がなくなるとコケを食べるようです。サンゴ水槽では特に餌をあたえなくても生きていくようです。
    また、ある程度育ってしまった藻はあまり食べないようです。以前、全く藻の生えていない水槽に、モエビを多数(10匹ほど)収容していました。すると2ヶ月たっても全く
    藻が生えなかったのですが、そこへ藻の塊になったような岩を入れてみて様子をみてみましたところ1ヶ月経ってもその岩だけまったく藻の塊のまま変わらない状態でし
    た。また、他の水槽も、すでに目に見えて成長している藻はほとんど食べていないようです。    

 適当・必要数の目安 (100L水槽):本種のみなら、100L水槽でレイアウトの複雑さにより、現状、藻類があまり生えていない状態で 2〜3匹

●ペパーミントシュリンプ / アカシマモエビ

        
ペパーミントシュリンプ                   アカシマモエビ

 性質・目的が近いエビですので、あわせて紹介させて頂きます。

 ペパーミントシュリンプはカリブ便で輸入されるエビで、カーリー除去には本種が一番かつ確実です。ある程度空腹な時間がある状態にしておけばほぼ確実に食べてくれ
ます。この積極性は平均的に見て、アカシマモエビやサラサエビにあきらかに勝ると思います。
 アカシマモエビは、国産・輸入の双方があります。普通、本種は縦に太い縞模様ですが、ペパーミントシュリンプに酷似したものが来ることもあり、また”アカモエビ”という種
類など、数種が混在しているようです。カーリーに対する除去能力は、かなりばらつきがあります。
 上記でも紹介しておりますが、双方かなり空腹なときは、小さなウミケムシも食べてくれることを確認しました。ウミケムシについては、平均的にアカシマモエビの方が食べる
性質がやや強いように思えました。

●ヤドカリ類


(観賞用としても人気の高いユビワサンゴヤドカリ)

 除去するもの:糸状の藻類、底砂など、エサの残りの除去、トロロ状のような藻類 

  利点:かなり丈夫です。ただし、種類によって違い沖縄での普通種(マーグイヨコバサミ、スベスベサンゴヤドカリなどは丈夫ですが、 ・サンゴモエビより大食漢です。    

  欠点:殻が重いため、サンゴモエビのようにどこにでも上れる場合ばかりでは無いようです。小さな固体が一番役に立つでしょう。
      ・ヤドカリ同士のケンカがしばしばあるようです。

  適当:必要数の目安(100L水槽):本種のみなら、100L水槽で3〜5匹

 → 
(コケ・藻類がついた石を、ヤドカリが掃除する様子) この間 約1日です。 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

<貝類>

・タカラガイ類(ハナビラタカラガイ・キイロタカラガイなど)


(左:キイロタカラガイ 右:ハナビラタカラガイ)

  除去するもの:糸状の藻類、岩や壁に生える薄いコケ類、砂の表面のコケもいくらかは食べてくれます。 

  利点: 本種自身が鑑賞に堪えます。  ・シッタカ貝類より幾分丈夫で、裏返っても外套膜を出して元に戻ることができます。    

  欠点: シッタカよりはだいぶ丈夫なものの、特にエサ不足になりますと死亡が多くなります。ウミケムシに大変狙われやすいようで、砂の中にあきらかに多い水槽の場合
       は断念をお勧めします。
他、コブヒトデなどに捕食されてしまいます。イソギンの刺胞にも、ややられやすいようです。
       サンゴなどのレイアウトが不安定なおき方をしていると、倒されることがあります。
       石灰藻類も少し食べる?様子があります。  

  適当: 必要数の目安(100L水槽):本種のみなら、100L水槽で5〜10匹

・マガキガイ

  除去するもの:底砂など、水槽底部のコケ、エサの残りの除去、砂の清掃、 ツツウミヅタ、ハナヅタなどサンゴの本体にへばりつく藻類

  利点:かなり丈夫です。また、底砂攪拌・掃除だけでなく、特にツツウミヅタなどソフトコーラルにまとわりつく糸状の藻類などを、掃除機のように口をつかって綺麗に
      とってくれます。これはおそらく、マガキガイでないとできない除去作用と思います。(※サンゴモエビも同様の除去をしてくれる場合が多いですが、水槽が広
     い場合や、また種類的に食べない藻類もしばしばあるようです。)普通のコケトリ貝などと違い、口だけを延長させることができる本種の有利点だと思います。

  欠点:動きが結構おっとりしているため、劇的に効果が出にくいです。60cm規格水槽で本種のみを底掃除にするなら、大きなもの(3-4cm)なら1〜2個、小さなもの
     (2-3cm)で2〜3個程度が
良いでしょう。
     ・本種の糞も、結構な量があります。
     ・これは本種のせいではありませんが、底砂を急にひっくり返させると、白点虫が潜んでいた場合に白点を引き起こす可能性があります。
     そのため、できるだけ水槽立ち上げ初期から、また白点をあらかじめ除去しておくか、かかる魚が居ない環境で収容しましょう。

    (2020/11/26)
     ・数が多すぎて、他のサンゴの上に頻繁に乗ったり当たったりすると、重量があるのでサンゴが閉じてしまうことが多く継続すると致命的になってしまうこともあります。
      悪影響がでていないかよく観察しましょう。
 
      

  適当:・必要数の目安(100L水槽):本種のみなら、100L水槽で4〜5匹 他にコケトリ生物がいるなら1〜2匹でも足りる場合がもあります。

・シッタカの仲間

 除去するもの:糸状の藻類、岩や壁に生える薄いコケ類、砂の表面のコケもいくらかは食べてくれます。 

 利点:・安価な場合が多いです。    

 欠点:・種類にもよりますが、特にエサ不足になりますと死亡が多くなります。1年も飼育しているとほとんど死亡してしまう場合が多いです。
     ・特に大きなものではサンゴなどのレイアウトが不安定なおき方をしていると、倒されることがあります。   

・タマガイの仲間

 ※ナメクジのような体に、小さな貝柄がついた貝の仲間です。大きさは3cmくらいまでで、商品として売られていることはほとんどなく、サンゴの岩などについてきます。

 除去するもの:岩や壁に生える薄いコケ類、エサの残りの除去、 

 利点:・これは、水槽内で自然に増えることがあり、これらが増えるとそれだけでコケがよく除去される大変便利な水槽になることがあります。
     主に夜間だけ出てくることが多いです。

 欠点:・特にありませんが、もともと居ないと増えないため、誰かに数固体をもらうか、生息している水槽から移植などすると良いでしょう。

 適当・必要数(100L水槽)の目安:自然に増え、特に問題なし。

ムシロガイの仲間

 (記述中)

・他の貝類 (ノシガイ、カノコガイ等) 

 除去するもの:エサの残りの除去、またノシガイはコケは食べませんが、壁を伝って歩く事で除去されるようです。 

 利点:・他の貝類に比べ、非常に丈夫です。あまり死んでしまうことがありません。生き物の死骸なども食べてくれます。

 欠点:・コケそのものを食べているわけでは無いようですのであまり除草能力が高いわけではありません。

 ※ムシロガイや他の貝類が居れば、あえて本種を入れなければならないということは、あまりないと思います。 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

<魚類>

・ニセモチノウオ

除去するもの:各種プランクトンやヨコエビ類を好んで食べ、増えすぎるこれらをかなり効果的に抑えてくれる作用があります。他の多くの魚類もその作用があると考えられます
が、本種はいつもサンゴや石の間を探しながら泳ぎ、小さな個体でも効果が高いです。

 サンゴ・シャコガイのベストパートナーと言える魚です。サンゴに泳ぎ方含め一切害がなく、色々な雑微生物をつつくので抑制効果が高いです。
他にすでに魚を多数飼育しているならあえて入れる必要はない思いますが、サンゴのためだけの水槽を作る場合、当店が好んで本種のみをいれます。
 これは、他人様からの未確認情報ですが、シャコガイの吸血貝も食べてくれるというお話もいただいたことがあります。

 適当・必要数(100L水槽):水槽のサイズによらず、1匹(ケンカをするため)

・フタイロカエルウオ

 除去するもの:糸状の藻類、底砂など、岩や壁に生える薄いコケ類、エサの残りの除去、 

 利点: ・かなり丈夫で、元気に動き回りますが、あまりサンゴなどをひっくり返すことがありません。
      ・無脊椎水槽・魚水槽のいずれにも向いた魚です。 

 欠点:  ・本種より小さい大人しい魚には、結構攻撃的な場合があります。 あまりに空腹だと、LPSをかじってしまうという情報を頂きました。2021/5/7

 適当・必要数(100L水槽):水槽のサイズによらず、1匹(ケンカをするため)

・ヤエヤマギンポ

 除去するもの:糸状の藻類、底砂など、岩や壁に生える薄いコケ類、エサの残りの除去、 

 利点:・フタイロカエルウオより体が大きい場合が多く、その分掃除の能力も高いです。 

 欠点:・意外に水質に敏感です。(上記フタイロカエルウオより敏感です。)
     ・図体が大きくて力も強い場合が多く、サンゴの上を踏んで移動することが多いため、どちらかというと魚専用水槽に向いていると思います。

 適当・必要数(100L水槽):水槽のサイズによらず、1匹

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

海水館トップページへ