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魚類の完全陸上養殖技術の公開

養殖用高効率脱窒素フィルターおよびそれを含む養魚システムについて

1.公開にあたって

 この技術は、閉鎖型の完全陸上養殖の推進とそれに伴い、現在主流になっている沿岸での「垂れ流し」的養殖の減少による将

来的な環境改善のために、基本的に無償で公開をしております。

 ただし、企業がこの技術を正式に採用する場合は、マナーとして当方にご一報願います。 なお、この度の実用新案の作製につ

きまして、書類のチェック等々大変お世話になりました、当店のお客様長谷川様に深くお礼を申し上げます。

 なお、本手法を使用される方は、自己責任でお願いします。当方では一切責任を負えません。

2.この技術の特徴

 このたびの技術の特徴は、以下のような特徴があります。

1.システムの中心になっている高効率脱窒素フィルターが、一般の水槽形状のものをベースにして、きわめて

  安価な資材(発砲スチロール、廃材の汎用ウレタンなど)のみによって作製が可能。また、窒素還元の還元剤

  として、糖分(砂糖など)でよいため、非常に安価である(もちろん、すでに一般的な還元素材としてアルコール

  等の使用でも稼動可能)。

2.同じく、同フィルターによって基本的に、飼育水の換水の必要がなく、陸上の海岸から離れた地域でも実施

  が可能。濃縮した添加剤などの使用により、海水成分の補充のみ必要。

3.実際の内容

まず、以下に実際実用新案を所得した文章を、見やすくするために一部構成を変えて以下に掲載します。

【考案の名称】

 養殖用高効率脱窒素フィルター

【発明の属する技術分野】

 本考案は、水生生物の完全陸上養殖を可能にするための養殖・飼育技術に関するもの

【【課題】
主に陸上など閉鎖的環境での養殖など、魚類を飼育する際に最終的に飼育水中に蓄
積していく硝酸態窒素の極めて安価かつ効率的な除去を可能にする構造の脱窒素フィ
ルターの作製により、完全陸上養殖を可能にする。
【解決手段】
図1に添って脱窒素フィルターの構造を説明する
1ポンプでフィルター内にのみ循環を加える。ただし、これによって3出口、4入口の内部
までは循環しない。フィルター内は嫌気性を保った上に、チャネル現象(一水回路)が生
じず、しかも全体は均一化され、2の有機炭素投入口から細菌の栄養分も充分行き渡る
構造とした。
すなわち、脱窒素フィルター内に循環を加え、内部を均一化することにより、内部の水循
環の偏りを解消し、さらにろ過器内部に有機炭素源としてブドウ糖を添加し脱窒素細菌
を効率よく働かせる。濾材には汎用的なスポンジを浮遊または不動状態で使用している。
またろ過器に注水・排水する水にはそれぞれ同様の濾材を装填した別ろ過器を通過さ
せる。これにより濾過機内に入る水の酸素濃度を下げて内部の脱窒素細菌の活動に適
した環境を作り、また排水される水には濾過機内で添加された有機炭素を可能な限り減
少させることで、実質的な脱窒素作用を得た。

【書類名】 実用新案登録の範囲

【請求項1】完全またはほぼ密閉状態になった脱窒素濾過器内で、飼育装置の主となる水の循環とは別に、

       濾過器内部だけの水の循環を持っている。

【請求項1】

内部の水中への酸素の溶解を遮断する作用を持ち、水より比重が軽い板状の物質を内部で水上に浮か
べた形態で蓋とした脱窒素濾過器本体と、前記脱窒素濾過器本体の内部にポンプ・ペラ等の水流源を備
えたことにより、水中の窒素分を排出する脱窒素フィルター。

【請求項2】

 脱窒素濾過器本体の水の入出口のそれぞれにフィルターを備え、前記脱窒素濾過器本体内に流入する
水に溶解している酸素を減少させる構造を備え、また前記脱窒素濾過器本体から外部へ排出する水に溶
解している残有機炭素を減少させる構造を備えた請求項1に記載の脱窒素フィルター。

【請求項3】

 各部の濾過材に汎用的なスポンジ片を使用している請求項1に記載の脱窒素フィルター。

【請求項4】

 脱窒素のための細菌のエネルギー源として糖、アルコールなどの有機炭素を用いた請求項1に記載の脱
窒素フィルター

【背景技術】

従来の技術では、次亜塩素酸など、化学的に反応させて水中の窒素を取り除く方法の場合があり、
なんらかの特別な物質が化学的な物質が必要であるとともに、飼育生体に対し、危険な場合が多かった。
また細菌を使用するものは極端に効果が低いものが多く、また効率を上げるために細菌のエネルギー源
として有機炭素源を添加しても構造的な問題で有効に使用することが出来ず、またコスト的な問題からい
ずれにして大規模養殖では使用が困難なものが多かった。

【0003】
【考案の開示】

【考案が解決しようとする課題】

1.脱窒素細菌を使用したフィルターは、嫌気的な環境が必要であり、実現するためには、密閉された
容器が必要であるが、これも大規模の養殖などで建造・使用する際には極めてコストがかかる。

2.既存の水生生物飼育用脱窒素フィルターは、大きく分けて二種に分けることが出来、それぞれに課
  題が見受けられる。 
 一つは脱窒素細菌を使用して脱窒素を行うというもの、もう一つは次亜塩素酸などの特殊な物質を使
 用して化学的に窒素を排出するというものである。前者には細菌のエネルギー源として有機炭素を使
 用するもの、また使用しないものがあるが、いずれの場合も細菌を使用する場合は内部を細菌の活動
 のために嫌気的にするため、循環させる水の量を極少にしていた。そのため必然と比較的体積の大き
 なろ過器内部のごく一部しか細
 菌活動が発生せず、結果的に効果が皆無になってしまうものが多かった。また、有機炭
 素源を使用しない場合は、構造の如何にかかわらず、脱窒素効果は皆無であった。
 また後者は濾過器の構造・コスト的に当発明比較すれば大規模養殖には向かず、使用
 する物質がもともと生体に危険である
 ゆえに、細菌を利用して効率の極めて高い脱窒素を起こさせることが必要である。
3.内部で大量に使用する濾材に特殊なものを使用する場合が多いため、この点もコス
 トがかかるため、低コストで性能の良い濾材が必要である。

【課題を解決するための手段】

 通常は密閉された容器を用いてろ過器とするが、大規模な養殖などの設備に実施する 場合は、一般的
 な水槽に、発泡スチロール等、水に浮かぶ比重をもったものを浮かべる
 構造にする。それにより、嫌気性細菌である脱窒素細菌が充分に活動できる程度の嫌 気性を実現でき
 る密閉状態になった還元濾過器内で、飼育装置の主となる水の循環と は別に、濾過器内部だけの水流、
 または循環源を持たせ、濾過機内の嫌気性を保持し
 たまま内部に多量の循環を与えることで、内部の不均一性を解消し効率化を計っている、 さらに細菌慮
 床として使用する濾材には汎用性の高いスポンジを用い、濾過機内全体に浮遊また不動状態で使用している。

【実施例】

 以下添付図面に添って説明する。説明上、図の解説順番が前後するが、まず図2に添
 って説明する。1飼育水槽、2好気フィルター、3脱窒素フィルター(還元フィルター)、と
 し、その水を循環させる4ポンプを配管、5オーバーフローパイプとからなり、海水は2の
 底面から1と3に分配されその必要量をそれぞれに供給する。そして3からオーバーフロ
 ーした海水が配管により2に流れ込む構造である。2は一般的な生物濾過用で、好気フ
 ィルターは底面に一般的な生物濾過材を置いてフィルターとし、その大きさは約60Lの
 容量とした。
 図面1に添って脱窒素フィルターの構造の詳細について説明する。
 これは本考案の主体であるフィルターである。6ポンプでフィルター内にのみ水流および
 循環を加えるが、10出口、11入口の内部はそれによる循環の影響はない。細菌の活動
 の場である9濾材には各所にスポンジ片を用いてあり、フィルター内は嫌気性を保った上
 に、チャネル現象(一水回路)が生じず、しかも10,11内部以外の濾材は水流によって
 水質が均一化され、7有機炭素投入口から細菌の栄養分も充分行き渡る構造となって
 いる。また、8は発泡スチロールなど水より比重が軽く、かつ水質に変化を与えないもの
 で、これの使用により、大面積にわたる嫌気的な容器を用意することを可能にしている。
 以上の飼育設備を測定のための実施例の実験区とし、及びこの設備から脱窒素フィル
 ターのみを欠いた設備を対称区とし、実験区、対象区の双方の水中の硝酸塩の濃度、
 およびpHの変動を計時的に測定した。また、実験区のみにある脱窒素フィルターの作
 動に添加する細菌の栄養源の有機炭素源にはブドウ糖は、水溶液とし、測定開始日よ
 り終了の30日目まで、合計4gを連続的に投入した。
 このようにして測定・実験した飼育装置を実験区とし、また、その他の飼育条件は下記に
 示すとおりである。

測定期間:30日間
初期硝酸塩濃度:50ppm
飼育水槽:90cm×45cm×45cmの規制のアクリル製約160L
ポンプ:実質循環量:20L/毎分(脱窒素フィルターへは毎分約0.1L循環)
脱窒素フィルター内ポンプ:水中ポンプ実質循環量:10L/毎分
水温:28±1(ヒーター、気化熱利用ファンで調整。)
海水の比重:1.020〜1.022
使用人工海水:レッドシーファーム社製レッドシーソルト
照明(蛍光灯):30w×2灯を1日に12時間照射
脱窒素(嫌気)用濾材:ウレタンスポンジ約20L
(脱窒素フィルターの詳細は図2参照)
好気的濾過用濾材:サンゴ砂(粒計3〜5mm)
また、好気的ろ過の細菌を予め繁殖させるため、測定期間以前の3ヶ月間に渡り魚類を
数匹飼育し、それにより硝酸塩を50ppmに調整した。その間、脱窒素フィルターにはブド
ウ糖の添加を行っていない。そのため、脱窒素細菌が繁殖を実用的な数になるほどに
開始したのは、添加を開始した測定期間からと考えられる。
以上の条件で飼育を行ったところ、実験区、対象区で異なる結果を得た。
ここからの説明は、図3、及び図4に添って説明する。
図3に示すように、対象区では初期硝酸塩濃度に変化無く、実験区は30日程度で約1
ppmにまで減少した。また、pHの値も、実験区では最終的に天然海水と同様の値であ
る8.2にまで上昇したが、対象区では初期の値のままであった。なお、還元の作用によっ
て発生する途中生成物であり、生体に有害な亜硝酸は終始発生を見られなかった。
ただし、測定期間の30日間は水質の変動を正確に把握するため、給餌等の必要にな
るため魚類等の飼育は行っておらず、測定終了後、参考的にスズメダイ・ゴンベ・ハナダ
イ・チョウチョウウオ類などの水質に対し敏感な魚種を同条件で3ヶ月間以上飼育し、生
体に対する安全を確認した。この間3〜5cmの魚類を常に5〜10匹飼育を行ったが、硝
酸塩濃度は10ppm以内、pHは7.8〜8の値を維持した。

【考案の効果】

大面積の容器などでも、極めて安価に、脱窒素細菌が活動できる程度の嫌気状態を実
現でき、また濾過器内部の水の流れの偏りをほぼ完全に解消している。また、濾材を浮
遊させることでさらに脱窒素細菌の活動の効率を上昇させている。そして使用する各素
材が、どれも極めて汎用的なものであるため、専用の一般素材を使用するときに比較し、
遥かに安いコストで水中に蓄積する最終的な窒素生成物である硝酸塩を取り除くことが
出来できる。
これらにより、これまでの技術に比較し遥かに低コストでありながら生物を飼育する飼育
水を基本的に交換する必要がなく、完全陸上養殖を可能にする。
【考案の利用可能性】
【図面の簡単な説明】

【書類名】 図面

 【図1】脱窒素フィルターを詳細に示した断面図である。

【図2】実施例の装置全体を示した図である。

【符号の説明】
1 飼育水槽
2 好気的生物フィルター
3 発布スチロールなど、水より比重が軽く、蓋の役割を果たすもの
4 主循環ポンプ
5 オーバーフローパイプ
6 脱窒素フィルター内循環ポンプ
7 有機炭素(ここではブドウ糖)添加用配管
8 発泡スチロール製の蓋
9 スポンジ片(濾材)
10 脱窒素フィルターから排水する水を通過させるろ過器
11 脱窒素フィルターに注水する水を通過させるろ過器


【図3】脱窒素フィルターを設置した実施例と、脱窒素フィルターを設置せずに
対象実験としたものの水中の硝酸塩濃度を測定したグラフである。

【図4】脱窒素フィルターを設置した実施例と、脱窒素フィルターを設置せずに
対象実験としたものの水中のphの変動を測定したグラフである。

4.(実用新案登録証の表示)

 

上記養殖用高効率脱窒素フィルターを含んだ養殖用飼育システムの紹介

最後に、上記の考案である脱窒素フィルターを含み、大規模な陸上養殖を実施する際の方法として、私が学生時代

から、厳密には近大の卒業研究以外で研究をしていたものを紹介します。試作品は学校や、今の家の観賞魚用

水槽などに実際に使用しています。

 下の図は、図案化しているものの、濾過層の構造や水の流動していく高低差などは一応厳密に書いたつもりです。

大量の有機物やゴミが出るであろう、閉鎖循環養魚システムに適応したものとして開発をしました。

一時は、沈殿槽のかわりに、自然のゴカイやヨコエビなどの生体を繁殖させ、有機物の処理を高速化した捕食フィル

ターのようなものを実験をしており、十分な効果がありましたが、万一魚類に病気が発生し、薬品などを使用しなけれ

ばならなくなったときに、それらの生物も死亡してしまうと水が著しく汚れることにくわえて処理能力が停止してしまう

ため、沈殿槽という形で有機物をため、それを定期的に簡単に取り出せる構造にして置いた方が良いであろうと

考えました。たまった有機物は、地中に埋めるのも良いですし、あるいは淡水にさらして塩分だけを洗い飛ばした後、

植物の肥料にもできます。(過去、同じようにたまった有機物を、塩分を飛ばさずにそのまま植物に与えたら、さすが

に枯れてしまったということを、学校の授業で聞いたことがあります。)

 濾過層の構造は、沈殿槽から硝化濾過層を通じて、ある程度の水量の変化では、水位が変動しないような構造

になっています。これは、水位が変動すると、当然濾過層内の水の動きが変わるため、濾過層をかき混ぜたことに

近くなり、水質の不安定を招くおそれを考慮したものです。最終的に、貯水槽だけが水位と水量の増減をしめしてい

ます。脱窒素層と記載してあるのは、すでに紹介したこの度の実用新案です。

ちなみに、学校でこれを友人に手伝ってもらって作製したときは、アクアシンセサイザーなどと名前をつけておりました。

一応正式名称は、「アクアシンセサイザー海水館03」としています。 

.最後に、今回の実用新案やアイディアに関して

 今回の実用新案は、基本的に営利目的で獲得したものではありません。しかし、ただ単に公開すれば、どこかの企業が部分的に変更を行って別物として

いずれ特許をとり、逆に当方が訴えられる場合や広く公に使用されることが遅くなってしまうことなどを懸念し取得したものです。

単に公開公知にすることも考えましたが、こちらも年中特許を監視して似たような新案が出てきたらそれにに竿をさすようなことをするのも滑稽ですので、一応

こちらで実用新案を抑えさせてもらいました。

 現代の特許に関する争奪戦は、本当に醜くてあさましいものです。いかに他人より早くに特許を取るかは良いとしても、いかに他人のアイディアを盗みつつ、

それが特許に引っかからないように使用するか、そして使われた方は如何にして訴えて賠償を請求するか、また知らずに特許になっているものを使用した者

を無理やりに見つけ出し、特許所得者に告げ口をしてあえて訴訟を起こさせ、儲けるという”特許ゴロ”などというクズもおります。

 また、醜悪にいたっては人の開発した技術を盗み出して相手より早くに特許または新案を所得し、盗んだ元の技術の開発者が自分で使用している技術を、

逆に後から訴えるなどという者までおります。

 それゆえ、家電メーカーなどはすべて技術をブラックBOXと呼ばれる建物全体が関係者以外立ち入り禁止の施設内で開発を行っているところも多く、そのよ

うなんなことをしているうちに、国内で企業間が互いに協力して開発している外国に見事に抜かれてしまいます。

 他人に何一つ譲らず、自分等の目先の利益だけを追い求める今の世相がそのまま現象化しています。