※この記事は2005-2006年頃に作成した記事で、2020年現在はあまり使われない蛍光灯などの器具を用いて
おり古い記事ですが、参考に残しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
株式会社アクアシステムマリン・海水館合同企画コラム 監修 株式会社アクアシステムマリン 社長 芝田 正之氏
作者 海水館「本当の海水魚飼育ガイド」シリーズ
追記 2006・10・13
本コーナーでは、海水魚の飼育の基礎を紹介し、海水魚の基本と本質をご紹介するため、あえて30cmという小型水槽での飼育を
紹介をしておりますが、特に本格的飼育を行う場合はスペースが許す限り、はじめての方でも出来るだけ60*30*36cm以上の水槽での飼育を
お願いいたします。
なお、予告無く内容を変更する場合があります。その際は、変更・更新の旨をページ上でお知らせいたします。 始めに ここはこれから海水魚をはじめたいというけれども、いきなり大きな水槽で高価な器具類を購入してはじめるには怖い、やはり最初は小さな 水槽からスタートしたいという方のために用意したコラムで、マリンのご主人さんと相談しまして、「間違った常識を変えて、最新の情報、正し い情報を多くの方に伝えてよう!」という目的で、はじめました。 最近は、あまりにも飼育方法を知らない初めての方に対して、これ幸いと店が「これを買わないと飼育ができない」という名目で高い器具を販 売し、しかも結果的にうまく飼育もできないという状況に陥っている方も大変多いです。 これは、私(海水館)のところもだけでなく、マリンさんのところでもまったく同じでして、飼育相談だけで開店時間が終わってしまうようなことも しばしばのようです。 また、器具類の販売も決して悪くだけ解釈しているのではなく、そうでなくとも飼育の難しい生き物を飼うというときに、せめて設備くらい買っ ておかなければ飼育は難しいと考えるのも、決して無理は無い考えだと思います。 ここでは、当方らなりのビギナーの方でも始めやすい方法を、順を追ってご紹介します。 私も海水魚を飼いはじめてはや13年、(マリンの芝田さんは30年以上?)やっと少しはわかったのですが、海水魚の難しさというのは、器 具をそろえたからといって必ずしも解決するものではなく、敏感な種類をのぞけば、安い器具でも十分に、しかも確実に飼育ができます。 ということで、初めて飼育される方でもわかりやすく、また購入しやすいように、最初は30cm水槽を利用して、考えられる限りの低いコ ストでしかも最低の装備ではなく十分に飼育が楽にできるように構成を考えてみました。 ・とりあえず「難しい生き物を飼育する」という意識を持ちましょう。 「海水魚は簡単に飼えます。」というフレーズは、残念ながら全面的に賛成はできかねます。 やはり海水魚は難しいものであって、数々のポイントと守ってやっと飼育ができるという印象です。 また、高価な器具類は確かに飼育をより成功させるための便利な道具ではありますが、それらさえそろえれば飼えるというものでも決してあ りません。飼育上のルールやポイントをきちっと守ることの方がやはり大事です。 |
・本コラムの構成 第1部 「器具予算約1万6000円、「楽しい金魚セット」からはじめる海水魚」(今回) 第2部 第1部のシステムを高性能・サンゴ飼育・水替え無し飼育用にグレードアップ! 第3部〜 各タイプのセッティング方法と実際の飼育例 第1部 器具予算約1万6000円「楽しい金魚セット」からはじめる海水魚 1.この章の説明と基礎知識 ここでは、30cmの金魚セットをベースに、各飼育理論を最大限に活用して、海水魚を飼育し始める方法をご紹介していきます。 海水魚の細かな知識はほかのコラムを参照していただけましたら幸いですが、すくなくともここでは、病気にかかりにくく、水流などの微妙な 条件を必要としない生き物であれば、十分に飼育できる環境をつくりっていきます。 これ以外の各サンゴを主とした水槽などは、第2部以降で紹介いたします。 (使用器具などが若干異なってきますので、もし一足飛びにしたい場合は、全体をお読みいただいた上、器具をそろえていただいたほうが無駄 がなくてよいと思います。) 2.器具の準備 今回の解説のためにそろえた器具を以下に紹介します。
なお、今回は金魚用の投げ込み式フィルターを活用する方法として、以下のような加工をお勧めします。ホームセンターなどで売っている13 mm(通常、売り場にある一番小さい直径)の塩ビパイプを使って、以下のようなものを作ります。 約10cmの直管と、エルボを左の図のように組み合わせて、右の写真のようにします。簡単です。 上記のパイプは、水槽内に気泡が飛び散らないようにするためと、水流を起こすためのちょっとした工夫です。 なお、ここでは購入した内部式を無題にしないため、上記のような使用法を紹介別途、底面フィルターを別途購入していただいて、セットを していただいてももちろん問題なく、より良いくらいです。 準備するものは以上になります。 これらは、あくまで初めて海水魚を飼育される方が飼育するための器具として出来るだけ簡単かつ安い器具として選別しましたが、いずれ 必要になるものもすべて紹介をしております。 たとえばファンとファン用のサーモですが、これは北海道やよほど寒い地域以外は、結局必要になってくることが多いです。 また、ヒーターはこれくらいの水槽ですと普通はオートヒーターにするところですが、海水魚の場合は、白点病などいろいろな場合を想定し て、やはり温度調節の出来るものを使用した方が良いということで、こちらをお薦めしておきたいとおもいます。。 少なくとも普通に飼育していれば、約半年間は大きなものはほとんど買い足すものはないように考えたつもりです。 |
3.水槽セッティングと場所 さて、いよいよセッティングにかかります。ただし、水槽をセットする場所の強度と、年間を通じての室温が問題になります。特に温度に関しては 、一般的な魚であれば30度、サンゴなど無脊椎であれば普通のものを基準に28.5℃くらいを限界に考える必要があります。冷却ファンを使用し て下がる温度は約3〜4℃です。ですから、少なくとも、生き物によって室温が最大でも32℃くらいにできる場所を探さなければいけません。 それ以上の温度の場所は、魚用のクーラー、またはルームエアコンなどを使用しなければならなくなります。 一応、直射日光のあたらず、涼しい部屋でしかもルームエアコンのあるところにおき、非常の際だけエアコンを28℃〜29℃設定くらいで使用 できるような場所が良いでしょう。 生き物の命がかかっているとき、エアコンの数日分の電気代を惜しんでいる時ではありませんので、どうかここはお譲りください。 28〜29℃設定なら、それほどガンガン冷やしているわけではありませんので、電気代も比較的やすくなります。 これは、ネットのサイト様で勉強させていただいことですが、エアコンの電気代は設定温度1度ごとに、約10パーセント変わるといわれており ます。 それでは、場所が決まったらいよいよ水槽のセッティングに入ります。 @用具を洗いましょう。 魚に使う器具は、すべて水道水で軽くすすぐことをお勧めします。砂は米を研ぐように3回くらい水を替え、洗っている水の濁りがなくなるまで よく洗います。 Aセットをしていきましょう。 今回、ろ過は金魚用のフィルターとサンゴ砂を使ったろ過を行います。こんなんで出来るのか?と心配になられる方、ご心配はいりません。 その理由は、考察として最後に記載いたしますが、ひとまず、セットを済ませたいと思います。 Bまず、普通に金魚を飼育するときと同じように、エアーポンプ、ろ過器、チューブなどをつなげます。 写真のようにセットを行います。エアチューブ用の吸盤がついているときは、ろ過器を底面に固定できるようなつけ方をしておくと便利です。 Cろ過器の突出口に砂が入らないように、ろ過器を片手で抑えながら、もう片方の手で砂をつかみ、水槽内に入れていきます。ろ過器を埋め るように、サンゴ砂を入れていきます。 (接近) ここで一工夫をしまして、埋め込んだフィルターの先に、ホームセンターで買ってきた水道管のエンビパイプをつけます。 フィルターをそのままで使用してもろ過は十分にできるのですが、下の写真のように、気泡が水面で四方八方に分散してしまい、とくにファンや ライトの取り付けをしているフタの無い部分など大変水と塩がつきやすくなってしまいます。 そこで、上記の準備の部分でご紹介をいたしましたパイプセットを用い、フィルターに取り付けることでアワの方向を限定できとともに、わずかな がら水槽内に水流も起こすことができます。(写真はすでに水が入っていますが、ここではまだ水を入れていません。) 泡も、前方向にだけ吹き出すので、塩ダレも少なくなります。
D次に人口海水をバケツに溶きます。この30cm水槽の場合、いっぱいまで入れて約10Lですので砂の分などを差し引いて、8Lくらいの海水 を作ります。バケツにまず水を入れ、人口海水を良く溶いて、見た目で溶解したらしばらく1分ほど待ち、比重計に水をいれて掬って値を見ます。 320gの人口海水の元を使用しますが、比重計で測定を行った方が正確です。さしあたり、比重の値が1.024付近になるようにしておきます。 海水が出来れば、水槽内にいれていきます。さっきせっかく敷いた砂や、セットしたろ過器が浮き上がらないように、手や入れ物などを水槽内に 入れ、水を受けながら注水していきます。 Eヒーター、ファン、ファン用サーモ、水温計など、残っている機材をセットします。これは各機材に説明書にしたがってください。ヒーター(サーモ) の温度は、27.5℃、ファンのサーモの温度は28℃にさしあたりそれぞれセットしておきます。 (機器により、若干の誤差がありますので、後日、水温を見ながら調整してください。ヒーターとサーモで、0.5℃くらいの許容セット差をつくってお くと良いでしょう。) ライトとファンは、水槽のプラフタのワンタッチフィルターをセットするとき用の切り取り部を切り取り、写真のようにセットすると良いでしょう。ただ、 日動のファンのアルミ部分が水に触れないように注意しましょう。あらかじめ、金属用の防錆処理スプレーや、ビニールテープなどを巻いておく と良いです。 G各機材をコンセントにさして、稼動させます。 H各機材に異常・異音・異臭などが無いか、良く確認します。 I(1時間後) 海水の比重・水温をもういちど測定し、値がずれていたらそれぞれ調整します。 Jこれでセッティングは終了です。 |
3.スターティングフィッシュを入れ、水槽を熟成させます。 @2.で水槽のセットが出来たの後、2日間はそのまま生き物をいれずに、空の運転をしておきます。 ここで、細菌のタネとして、またレイアウト用にライブロックを入れることを検討され、また薦められるかもしれませんが、注意が必要です。 まず、この飼育ガイドの一部では、さしあたり病気にかかりにくい生き物の飼育だけを対象にしていますので、良いのですが、最終的に チョウチョウウオやヤッコを中心にしたいという水槽なら、まずライブロックはやめておかないと、病気が発生したとき、薬が使えなくなりま す。ライブロックは表面に付着している生き物などから、一応無脊椎動物とみる必要がありまして、薬品を使うとそれが死んでしまい、水 も汚れてしまうからです。) また、ライブロックにはカニがつきものですが、カニがいると、魚が襲われて、駆除に大変苦労します。もし、病気にかかりにくい魚しか飼わ ないというのなら、カニだけ除去すればさしあたりライブロックも収容できます。 どうしても レイアウト用にほしいということであれば、少しだけ1kgくらいいれ、水槽に入れる前に十分にカニがいないことを確認し、みつけ たら何が何でも取り出して、かわいそうですが駆除しましょう。 もしどうしても飼いたいということなら、隔離箱を作って中にいれておきます。 ただ、あとからサンゴなどを入れるとき、小さな30cm水槽にとってはサンゴ本体あるいはその岩だけでも十分なレイアウトになりますの で、よく考えておいてください。たとえば、ディスクコーラルなどは岩もしっかりしていて、丈夫で飼育しやすいです。 また、単にレイアウト用でよいのであれば、ライブロックではなく、デスロック(飾りサンゴ)にした方がトラブルが無くてよいです。 株式会社マリン 芝田 正之氏のワンポイント! ・飾りサンゴ、サンゴ砂などは、煮沸するとアクが完全に抜けます。それにより、細菌などが付着しやすくなります。 マリンさんでは、お客さんの水槽のセットを行われる場合、岩などは一度煮沸し、一度淡水で洗い、もう一度煮沸すると いう完璧な作業をされています。これは大きな水槽で多量に岩を入れるときにも有効な方法だと思われます。 ライブロックをやみくもに薦められる店は、すくなくとも初心者に配慮があるとは思えないとおもいますので、あまり意見を考慮する必要は ないとおもいます。 もし、上記の理由で、ライブロックを水槽内に収容した場合、ライブロックの一部が腐敗し、これがスターティングフィッシュの変わりのよう な働きをするため、逆に魚をすぐに入れるのは避けた方がよいでしょう。 それでは、ライブロックを入れなかった場合、スターティングフィッシュとして、デバスズメダイを1匹だけ入れることをお勧めします。 水質的には、ルリスズメ、シリキスズメなども丈夫なため、これら他のスズメダイでも良いのですが、性格があらく、小型水槽では最後ま で問題になることが多いです。もし、ハゼなどおとなしい魚をいれていくのであれば、とりあえずデバにしておいた方がいいです。もしあと からハギやチョウチョウウオなど、やや大きめの魚だけの水槽にをいれていくのであれば、シリキ・ルリなどでも大丈夫です。 A水槽に魚やエビを入れる時の注意 水槽への魚の投入するとき、「水合わせ」という作業が必要になります。以下の手順で行います。 @まず生体の入った袋を水槽の水面に浮かべ、15分放置します。(この間に水槽内と同じ水温になります。) A袋を開封し、袋内部の水を、袋の容積の3分の1くらい残るように捨てます。 B袋内に徐々に水槽内の水を入れて、水あわせをします。このとき、混ぜる水の量は、魚の場合、常に袋内の
Cその後、袋の水を一旦別の容器にそっと出し(袋を入れ物の中にいれ、水を出しながら袋を抜き取るようにすると安全です。) (なお、後日入れるサンゴ、イソギンチャクなどは、温度だけをあわせ、すぐに水槽内に入れて大丈夫です。) Dこれで水槽に無事に魚がはいりました。この魚だけで、3週間飼育を行います。この間、餌は1日に1回だけ、1分以内に食べ 尽くす程度です。この間、水中で有害な亜硝酸が増加するため、この魚が死んでしまうこともあります。もし死んでしまったとき は、魚をすぐに出さず、まる2日くらい水中にいれておいて細菌の繁殖を促し、その後廃棄します。あるいは、もし早々に死ん でしまったら1週間そのままにしておいて、残った骨だけとりのぞきます。 もし、魚が死亡してしまったら水槽セット後から3週間の間は魚をいれず、運転させておきます。 E(3週間経過後) 通常、これくらいの時間が経つとまだろ過細菌の繁殖は決して十分ではないものの、さしあたり亜硝酸は水中から消えているため、 生き物を少しずつなら追加が可能になります。 最終的に、2ヶ月くらいたつとほぼ水槽内の細菌の繁殖と活動がだいたい安定して うまく飼育できるようになります。以下に続きます。 4.水槽に目標の生き物を入れていきます。 やっとここから、本来飼育したかった生き物を入れていけます。ただ、今回紹介したこのシステムでは飼育できる生体に、かなり限界 があります。まず、水流が大変弱いので、水流が必要かつ敏感なハードコーラルなどのサンゴの飼育はやめておいたほうが良いで しょう。 -この飼育システムでも飼育しやすい生き物- ※この段階では、薬品を使用することを避けるため病気にかかりやすい生き物を除外しております。 -病気にかかりにくく、飼育しやすい魚- ・スズメダイの仲間・・・シリキススメ、デバスズメ、クマノミの仲間など ・ハゼの仲間全般 ・ハナダイの仲間・・・アカネハナゴイ・キンギョハナダイ・スミレナガハナダイなど -飼育しやすい無脊椎動物- (特に水流を必要としない種類また水質にも鈍感な生物) ・ケヤリムシの仲間 ・エビの仲間・・・水あわせは魚より丁寧にする必要があります! -飼育にやや注意が必要な生物- ・イソギンチャクの仲間・・・シライト・タマイタダキ・サンゴイソギン・ベトナムハタゴなど ・弱い水流で飼育でいるサンゴ・・・ディスクコーラル、イエローポリプ、ツツウミズタ、ハナズタ、バブルコーラル、パールコーラル (各種に関しては、サンゴ・イソギンチャクの右の飼育コラムをお読みくださいませ。 サンゴ飼育講座 イソギンチャク飼育講座 ここでは、例として最近人気になっているカクレクマノミ・クマノミとイソギンの水槽を作ってみたいと思います。 イソギンを収容する際、この水槽で気をつけなければいけないのが、ヒーターによる火傷事故です。 魚はスターティングフィッシュを入れたときと同じ方法で、水あわせを行います。
」 5.日常の管理 @餌やり 魚への給仕は、丈夫な生き物なら1日に2回〜3回程度、1分くらいで食べ尽くすくらいを与えます。たとえば、今回紹介した小さなクマ ノミ4匹とデバスズメ1匹なら、親指と人差し指で軽く一つまみを1回分くらいで良いです。 (器具の紹介で出していたメディフィッシュフードなら、コショウのような感じで給仕しますので、逆さにしてパッパと2振りくらいです。) A水替え さしあたり、水替えで管理を行う際、1週間に一度全体の水量の約3分の1の水替えを行えばそれだけで十分に飼育出来ると思われます。 通常、水替え用の手動ポンプなどで水を吸出しますが、これくらいの水槽なら、プラケースなどで水を救い出し、減った分をいれてやればそ の方が楽かもしれません。 Bコケ掃除・砂掃除 水槽には、だんだんとコケが生えてきます。この対策ですが、出来ればあらかじめ掃除生物を入れておいて、普段からある程度綺麗にして おくとよいです。ガラス面など、手で落とせるコケなら良いのですが、厄介なのは「糸状の藻」です。これが色々な生き物を覆ってしまい特に サンゴなどは最終的に巻かれて死んでしまうため、サンゴモエビ、ノシ貝、タカラ貝、ヤドカリなどがお勧めです。 また、どちらにしてもガラス面はコケがいくらかは生えてきますので、時々掃除が必要になります。マグネット掃除機が便利ですので良いで しょう。おすすめ商品は、ニッソーのマグフロートです。 また、砂の手入れは重要で、普段から生き物などによってある程度砂が動かされていれば、コケも生えにくく、また病原菌、病原虫などがた まることも防ぎやすいので入れておいた方が良いです。ここで紹介した生き物なら、病気の面はあまり心配ではありませんが、コケが生える と全体的にくらくなってしまうので、マガキガイや、水槽の底を走り回る生き物、また砂を食むように餌をとる生き物、あるいは、人間が時々砂 を裏返すなどをしておくと良いです。 また、アイディアとして、新しい砂を一部用意しておき、砂にコケが生えてきたと思ったら水槽内の砂のコケが生えている部分を取り除いて、 かわりに新しい砂を撒いておけば砂の表面は新品になって大変水槽があかるくなります。取り除いた砂は、洗って淡水に漬けておいて外に でも出しておき、また今度水槽内の砂が汚れたときに同じように使用します。 (ただ、なんどもすみませんが、これはあくまで、今回のように病気にかかりにくい魚だけを飼育していたとき、あるいは普段から人為的ま たは水槽内の生物が砂を巻き上げており、白点虫などが砂の中に少ないという条件がそろっていることが前提です。) C電気系統のチェック 海水魚の器具は、海水のせいでとかく漏電しやすいです。海水魚を何年も飼育していると、感電することもしばしばあると思います。 ですから、ライト、各コンセント部、各プラグなど、時々調べて熱を持っていないか、塩がついていないか、やはりみて、手入れをしておくことが 大事です。火事にならないようにだけは注意しましょう。 6.今回のシステム・飼育法の原理と考察、高価な器具類の話 ・今回のシステムについて 海水魚のヘビーユーザーから見られますと今回紹介した飼育法は、一見アホみたいなシステムに見えるかもしれませんが、丈夫な生き物で あればさしあたっては十分に飼育が可能です。 ろ過器が大きくないと飼育ができないという一般論がありますが、多めに敷いてある底砂は生物ろ過器として十分に機能します。また、エアー リフトで稼動させているため、機械が正常に作動している限り、酸欠にはなりません。 また、海水魚は水量が多いほど、安定しやすいため、有利であるという理論があります。確かにそのとおりです。しかし逆に、大きければ大き いほど、一旦悪条件になったときを回復するのが大変になります。例えば水替えひとつにしても大仕事です。 その点、水槽が小さければ何か起きてもすぐに回復できますし、水替えも大変楽です。ですから一概に大型水槽が絶対に有利であるというこ とにはならないでしょう。 また、照明の問題もあります。今回のように、水深が極めて浅い水槽では、この点は大変有利になります。あまり意識されていませんが、当 然ながら光源から離れると光量は減っていきます。大雑把に考えまして、光源からの距離の二乗に反比例して光量は減ってきます。つまり、 ライトからの距離が10cmの場所にあるサンゴと、20cmの場所にあるサンゴでは、当たっている光の強さが約4倍くらい違うということに なります。ただし、反射鏡がある場合は、もう少しあかるく、だいたい3倍弱くらいです。 いつも光源の機器のことばかりが話題になってしてまって、その他水槽内を明るく保つにはどうしてたらよいか、という事があまり話題にありま せんが、前記しましたように、水槽内にコケが生え、砂の色、岩の色が暗色化してしまうと、水槽内は飛躍的に暗くなってしまいます。 新しく作った水槽の明るさと、コケがたくさん生えてしまった水槽は明るさがぜんぜん違います。 -メタハラについて- メタハラは確かに絶大な光量をもっています。それゆえ、ミドリイシ、シャコガイなど光を多く必要とする生体を飼育するときには大変有効で すが、水温の上昇は絶対に避けられないためクーラーとセットで考えなければいけなくなります。 また、メタハラの直下にサンゴをおくと、光が強すぎたために不調になってしまうものも多いのです。メタハラを購入したあげく、光のすくない ところを探してサンゴを置かなければいけないという状況によく会います。蛍光灯で飼育できることもメタハラを使用するときの目安として、 水深が45cmよりさらに深い水槽の場合、検討するとよいと思います。 上記にも記載しましたように、水深が45cm浅い場合、ミドリイシ、シャコガイを除いてほとんどのサンゴは、蛍光灯で十分に飼育できます。 ミドリイシ、シャコガイに関しては、蛍光灯飼育の場合、設置する水深を出来るだけ浅くし、光源から15cm以内のところに置くと良いでしょう。 -プロテインスキマー プロテインスキマーも昨今は無いと飼育ができないように言われる器具ですが、少なくとも、今回の解説の生体では特に設置する必要は ないと考えます。プロテインスキマーの良いところは、水中から有機物をいち早く取り除き、硝酸塩やリン酸塩の増加を減らしくれますが、逆 に特にサンゴに重要なミネラル分も大幅に取り上げたり、酸化してしまうという欠点もあります。 水替えをしたとき、2割くらいしか替えていないのにサンゴが良く開く現象がありますが、これは明らかに成分が補給されたことによるもの だと思われます。プロテインスキマーを設置する意味で一番大きいのは、還元ろ過で取り除けないリン酸を取り除けることで、ミドリイシなど のSPSでは有効・かつ重要ですが、イソギン、ソフトコーラル、またLPS系ハードコーラルでは必須ではないと考えております。 -殺菌灯- 殺菌灯は、ウイルスや細菌を殺すことができます。ですから、皮膚病や細菌性の病気を予防するためには、効果はあると思われます。 ただ、ろ過システムとろ過そのものが安定してくると、水中の菌数が減ってきて病気にはかかりにくくいなってきます。 また、海水魚の飼育 でもっとも大敵な白点病虫は、細菌ではなく、むしろプランクトンなどに近い大きな生物のため、現在の殺菌灯器具のようにほんの数秒〜 数十秒の照射では、残念ながら殺すことはほとんど出来ません。白点を治したいからという理由で購入されたかたも多いかもしれませんが 、これはよほど小さな水槽に、よほど大きな殺菌灯をつけている場合で無いと、効果は皆無になります。 水温の上昇の方も考慮する必要があります。 今回の水槽では、本品もさしあたり不要でしょう。 |